蓬莱屋印刷所のPR誌『帖面』(16.0×15.5cm)。矢部登氏が『サンパン』第十四号に発表された書誌によれば昭和三十三年五月から五十八号および増刊号一冊が発行された。山田耕一の書肆山田の本造りを請け負い、細川書店岡本芳雄の本も作っていると、これだけで蓬莱印刷所の実力のほどは容易に想像できよう。実際、手にした幾つかの本は背筋のピンと伸びたゆるみのない仕事だったように思う。矢部リストには書肆山田よりの受託製作として草子のシリーズ、瀧口修造『地球創造説』(一九七二年)など二十九冊が挙っている。他に自社でも私家版と限定版を造っており、二十八冊が書影入りで紹介されている。
架蔵の『帖面』は四十七号(一九七二年一月)までが五つの帙に入っており、創刊号は復刻版である。他にバラで二冊、五十二号と五十五号。そして矢部リストには入っていない(除外された?)蓬莱屋印刷所の手帳が二冊(一九七九年、一九八〇年)ある(二番目の写真中央)。『帖面』同様に装画は麻生三郎。よく見ると七九年版には羊(未)が、八〇年版には猿(申)が描かれていた。
むろんこれらは購読していたわけではない。松本八郎さんが何かの折りに(倉庫を整理されたときだろう)送ってくださったもので、手帳は保昌正夫先生から松本さんへ贈られたもの。松本さんは『サンパン』を休止されてからほとんど音信不通状態なのだが、聞く所によると、某大学でエディトリアル・デザインを講義されているようで、先頃、神戸へ学生たちを引連れて製本所の見学に来られたということである。お元気そうで何より。