

モンパルナス墓地のトポールの墓石。通路に面しているので見つけやすかった。陽光が射して写真にはどうしても影が入ってしまう。参拝者は少なくないようだ。蝋燭やメモが置かれている。

帰国の数日前にようやくトポールの伝記を手に入れた。フランツ・ヴェラン『ローラン・トポールあるいは絞殺された笑い』(FRANTZ VAILLANT "ROLAND TOPOR OU LE RIRE ÉTRANGLÉ" BUCHET/CHASTEL, 2007)。
本が届くと言われた予定日の翌日、ジベール・ジョセフの四階(五階)へ行き、予約注文をお願いした女店員をつかまえて尋ねたら、首尾よく到着していた。トラブルがあったらどうしようかと気をもんでいた。ただしもう一冊の絶版本は渡してくれなかったので在庫していなかったのだろう。深くは問い詰めなかった(本も増えていたし)。
支払いのために0階のケース(レジ)へ。窓口が五つくらい開いており、それぞれ十人ていどの行列ができている。こんなに本が売れるのかなあと不思議なくらい。じつはどこでも嫌われる二〇〇ユーロ札をここで崩そうという魂胆もあって、そういうときには男性の方がいいかなと思いつつ(ポンピドゥーの例も踏まえて)、若い男性のレジ係のところに並んだ。
すると誰かがトントンと背中をつついた。振り向くとアフリカ系の警備員(背広姿のボディガード)が、あっちでも精算できるよ、というふうにアクイユ(受付)を指さすのだ。そこには例のぶっきらぼうなマダム(前回来たとき最初にトポールの有無を尋ねたおばさん)がふんぞりかえっている。このカウンターは少し高くておばさんも少し高い椅子に座っているので、威圧されてしまう。やばいなーと思いつつ、警備員の好意を無にするのもなんだし、早く済みそうでもあるし、そちらで支払うことにする。
定価二三ユーロのところに二〇〇ユーロ札を出す。案の定、マダムは露骨に嫌な顔をした。「小さいお金はないの!」というので、じつは五〇ユーロ札もあったのだけれど、それは掌で隠しつつ、「あいやー、一〇ユーロ札しかないあるよ」と財布を拡げて見せた。「ケッしょうがないワね」(とは言わなかったが、そんなかんじ)とブツブツいいながらレジの銭箱から二〇ユーロ札をかき集めておつりをくれた。なぜか本を入れてくれたG.J.の袋が皺だらけだった。やれやれ。

表紙4のバーコードのシールを見ると、注文者の名前が印刷されていた。三月十日受取り、アヤシ。