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LUCIAN FREUD

サントル・ポンピドゥーへ、ルシアン・フロイド展を見に出かける。三月十日オープンで七月十九日までやっている。長丁場。いつもながら工事中のような外観が街並にまったく調和していない。
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長いエスカレータを登って行くとパリ市街が一望できる。ついカメラを向けたくなる。
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ルシアンは精神分析学のフロイドの孫、一九二二年ベルリンに生まれた。ナチから逃れてイギリスに渡り定住。フランシス・ベーコン、マイケル・アンドリュース、キタイらとともにロンドン派と呼ばれることもあるようだ。フランスでは一九八七年以来の展覧会だという。

アトリエでモデルを前にして描く正統派(?)の油彩画家である。裸体の人物が多いが、街景、室内、樹木などを細密に描くこともある。初期作品はシュールレアリスムからモダニズムの影響を受けており、それらの素朴な味がいいのだが、今回は近作が多く、ごく初期の作品は一点だけだった。

入場者はまずまず。記録映画(というか、ちょっと見た感じでは物語風に作ってあった)も上映されていた。アトリエの様子やモデルになった男女が登場している。展示されている大作の裸体人物(等身大以上の大きさ)は迫力満点ともいえるが、やはり壮年期と比較するとややゆるい感じもある。ただし日本風にいえば米寿なのだから、驚きのパワーだとも思う。

会場の出入口にポンピドゥーの発行している冊子(展覧会案内)を無料で配布していますと書いたパネル表示があった。0階ホールのインフォーメーションでもらえます、と。だから展示を見終わった後、だだっ広いホールの真ん中にある案内コーナーへ行って、数人いる係員のなかの中年のマダムにそのカウンターにもあった表示を指さしながら

「マダム」

と呼びかけた。これをくれというつもり。マダムは「おや?」という表情でこう答えた。

「ユー・スピーク・フレンチ・ヴェリィ・ウェル!」

日本人と見て英語できた。あのう「マダム」って言っただけなんですけど、あんたこそ「ユー・スピーク・イングリッシュ・ヴェリィ・ウェル!」だよ、と心の中でつぶやきつつ、にこっりと微笑んだ。フランス語が読めるのね、と言いたかったのだろう。マダムはこの冊子をカウンターの下から一冊取り出し、ポンと放ってよこした。「メルシ!」

表紙はフロイドの自画像。
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これは絵葉書。中央はモデルになったデヴィッド・ホックニー、右がフロイド。
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下の階ではヴェリブや公衆トイレをデザインした若きデザイナー、パトリック・ジューアン(Patrick Jouin)の展示もあった。

あるいは、一九三二年アイスランドで生まれて一九五八年ごろからパリに定住し、戦後のダダ、シュールレアリスムの影響下で活動してきたエロ(Erró、本名はGudmundur Gudmundsson)のコラージュ作品を五十年代から近年まで並べた展示も見応えがあった。コラージュ作家はいろいろいるが、エロはまた一種独特な作風である。
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他には女性作家の作品を歴史的に展開した企画展示もやっていた。例によって草間弥生が出ていた。そんなに広いとも思わないのだが、やはりかなり広大なスペースである。もともとはレ・アール(中央市場)の駐車場だった場所。名前の通りポンピドゥー大統領が実現させた。ちょうど開館(一九七七)の前年に訪れたときにレ・アール全体にわたり巨大な穴を掘って大工事をやっていたことを記憶している。
by sumus_co | 2010-03-31 21:33 | パリ古本日記
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