モンパルナス墓地を訪れる。ここには作家や画家が多く眠る。メトロ四号線のラスパイユ下車すぐ。エミール・リシャール通から墓地内に入った。裸の並木が寒々しい。
何はともあれ、まずはトイレ(!) 正面入口横の建物。五十センチ角くらいの平たい陶器の便器、そのなかほどに足乗せ台が作ってあるスタイル。端に丸い吸い込み口が開いている。用足しを終わってヒモを引くとザザザアーッと足許が洪水になる。手荷物など床の上に置いたりしていると大ごと(この点はボックス式の公衆トイレも同じ)。
さっぱりしたところでトイレにほど近いサルトルとボーヴォワールの墓(ふたりでひとつ)。参拝者が絶えない墓には花やメトロの切符、メモの紙片などがいくつも置かれている。
目的のひとつはマン・レイの墓。ところが、場所が分かり難い。あっという間に通り過ぎてしまい、トリスタン・ツァラのところまで来た。これはちょっと珍しい形式。なかなかカッコいいと思った。
引き返して、通路から少し入ったところでようやくマン・レイの墓石を発見。ここには写っていないが、新しい花が飾られていた。墓碑銘は「unconcerned but not indifferent」(マン・レイ・イスト氏は「呑気にしているけれど、無関心ではいられない」と訳しておられる)。
近くにボードレールの墓もあるが、あまりに有名なので省略。こちらはジョリス=カルル・ユイスマンス。ちょっと込み入ったところにあるのだが、すぐに見つかった。
さらにサミュエル・ベケット。
そして偶然見つけたフリオ(またはジュリオ)・コルタザール(Julio Cortázar)。アルゼンチン出身(生まれた場所はベルギーのブリュッセル)の作家、翻訳家。ペロン政権に対立して、一九五一年、フランスに移住、一九八四年にバリで歿した。スペイン語国の訪問者が絶えないようだ。
ブランクーシ。この彫刻家については改めて書く。
トポールもここモンパルナスに眠っている、こちらも改めて紹介したい。
ブラッサイの墓をさがしあぐねていて、ふと目を挙げると、向こうの方の墓石の陰で小用を足すふとどきものがいた。冷えるからねえ。でもトイレは二ケ所あるのだよ。