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Vanves![]() ![]() パリ市内の南端、ポルト・ド・ヴァンヴへ。ポルト(門)は文字通り門のある場所で、中心部からはけっこう遠い。ヴァンヴはクリニャンクールの蚤の市とともに古道具の露天市としてはよく知られている。道具類を買う気はまったくなかったので、ただの見物。 人出は多い。日本人の女性客やバイヤーらしき男性たちも少なくないようだった。古本屋、古絵葉書店もいくつかあった。写真にも見えるように絵をたくさん売っていて、それが売れているから不思議だ。 ヴァンヴへ来た目的は蚤の市の近くにある前回も訪れたジョルジュ・ブラッサンス公園の古本マーケット(毎週土日開催)。しかし、この日は寒さのせいか客はまばらだった。手持ち無沙汰な店主たちはひとところに集まって雑談に花を咲かせていた。トポールを探して歩くが、書影なし。 ![]() ![]() 冷えるとトイレが近くなる。パリではトイレ探しに苦労する。ボックスタイプの公衆トイレもあるにはあるが、数が少ない。ヴァンヴにはメトロ駅から出て蚤の市のとっかかりに一基ある。順番待ちの盛況だった。幸いブラッサンス公園には日本と同じようなちゃんとした公衆トイレが設置されていた。もちろん無料。紙もハンド・ドライヤーも備えられていて快適だった。公園内では子供たちのために人形劇が定期的に開かれているようだ。 ![]() ![]() ある店にランボー関係の本が二十冊ほど並んでいたので、買えるものはないか、あれこれひねっていた。すると中年の店主が近づいてきて話しかけた。 「ランボーお好きですか?」 「じつはうちはシャルルヴィルに店があるんですよ」 「シャルルヴィル、ご存知でしょ、ランボーの故郷です」 名刺を渡してくれる。Librairie LE TEMPS DES CERISES。アルデンヌのCHARLEVILLE-MEZIERES に店舗がある。さらに 「そうそう、これ見てください」 携帯電話を取り出して、写真を探しはじめた。 「このポスト、ランボーが使ったポストです」 小さな画面に黄色い箱が写っている。どこにでもある黄色く塗られた鋳物(?)のポストだが、ランボー時代からとなると何かしら有り難く思えてくる。「へえ、すごいですね」と感心してみせる。店主は同業者にも「ほれ、これがランボーのポストだ」と自慢していた。残念ながらその平台には買いたいものがなかった。 ![]() あまりに冷えるのでそろそろ引上げようか、と思って出口に向っていると、カルコの『芸術放浪記 De Montmartre au Quartier latin』(AUX EDITIONS DU NORD, 1928)が目にとまった。ベルギーで刊行されたディニモン(DIGNIMONT)のカラー挿絵が多数入った版(フランスで出た初版はたしか一九二七)。永田逸郎訳で読んだことがある。たいそう面白かった。 だが、付値は35ユーロ(フランスの発音ではウーロ)。しばらく眺めてもどし、となりのペトリュス・ボレルを取り上げると40ユーロ……。やめた。閑だから目敏く店主が寄ってくる。 「値引き(remise)しますよ」 ルミーズ(値引)が一瞬分からず、「?」な顔をすると。カルコの35を指さしながら 「トゥー・ゼロ」 20ユーロにしてやるという意味らしい。「ヴァン(vingt=20)?」と聞き返す。「ウィ、ウィ」。え、そう、それならもらいましょう。タコというのもゲンが悪いし。「オーケー」(オーケーはフランスでも通じる、この程度の会話です)。袋に入れながらおやじがお世辞を。 「いい買いものだよ」 ほんとかな。後で、もう一声押すところだったかとも思ったが、しょせんただのアマチュアなので、これで満足。冷えた。
by sumus_co
| 2010-03-19 14:53
| パリ古本日記
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