『アクション・コミックス ACTION COMICS』創刊号(DC Comics, Inc., 1938)が百万ドルで売られたというニュースを見た。新品同様の状態(グレード8.0、very fine)。セールスは
ComicConnect.comの Stephen Fishler が取り仕切った。売り手はニューヨークで有名な個人コレクター。買手は同社の顧客で、以前もっと状態の落ちる創刊号を購入していたそうだ。
一九三八年、アメリカのコミック雑誌界でオリジナルな作品を集中的に出版していたのはセントール(Centaur)とナショナル・ペリオディカル・パブリケーションズ(National Periodical Publications 後のDetective Comics)の二社だけだった。
同年、ナショナル・ペリオディカルの新しいオーナーとなったドーネンフェルド(H.A.Donenfeld)は編集者のサリヴァン(Vincent Sullivan)に何か新しいキャラクターを見出すように命じた。
同じ頃、マックルー・シンジケート(McClure Syndycate)で働いていた十代の編集者メイヤー(Sheldon Mayer)は、クリーヴランド出身の二人の少年があちこちの出版社に売り込んだものの、どこも買ってくれなかったという、クリプトン星からやって来たスーパーヒーローを使うことを思いついた。
しかし上司のゲインズ(M.C.Gaines)はそのキャラクターがいけそうだと思いながらも新聞配信用には向かないとして、サリヴァンに紹介した。サリヴァンはすぐにそのヒーローの魅力を認め、新しく創刊する『アクション・コミックス』の目玉にすることに決めた。
そしてスーパーマンが自動車を持ち上げている絵を表紙にした創刊号が一九三八年春ごろに出版された。しかし、当時、それはちょっと突飛で風変わりすぎたようだ。読者たちがただちに喝采して飛びついたというわけではなく、売上げもパッとしなかった。しかし徐々に火が点き始め、四号目あたりから部数もどんどん伸びて五十万部に迫る勢いになったという。
以上マイク・ベントン(Mike Benton)『THE COMIC BOOK IN AMERICA』(Taylor Publishing Company, 1993版)より。ここからスーパーマンはアメリカ合衆国とともに世界征服(?)に乗出すわけだが、そもそもは昭和十三年の出来事だったのか……。