谷川俊太郎文+中辻悦子絵『よるのようちえん』(福音館書店、一九九八年九月一〇日二刷)。今年最初のブックオフ詣にて。
第17回ブラティスラヴァ国際絵本原画展(スロヴァキア)でグランプリを受賞したそうだ。写真を荒くコピーした画像とイラストを組み合わせた手法を絵本に使ったのが斬新な効果を生んだように思う。谷川俊太郎のオノマトペがなんともいい。
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手前は今江祥智『冬の光 続・優しさごっこ』(理論社、一九九二年一二月一二刷、そうてい・さしえ=長新太)。舞台は京都。画家とそのひとり娘の父子が主人公である。古本屋と丸善の話題だけ拾っておく。初版は一九八一年。
《三人で古本屋まわりを始めることにした。
とうさんは古い飜訳本の棚だけあたった。藤田さんは地方史ものを探していた。そして百合ちゃんは、スポーツ書の棚を探しているふうだった。おかしなとりあわせ、奇妙な探し方だったが、三人とも理由あってのことだから、何軒かは、そのままばらばらに、続けた。百万遍から河原町今出川まで歩く。ここからまた二条にかけて、何軒かあるはずだった。目指す本は見つからなかったが、古本屋さんのほとんどが、昔のままに残り、店をあけていてくれるのがうれしくて、とうさんは学生にかえったみたいに、疲れることなし、次々と本棚を漁っていった。昔読んでやがて売ってしまったようななつかしい本が見当ると、それをとりだしてパラパラ頁をめくってみた。古本の間から、失われた時のなつかしいにおいがこぼれ落ちてきた。》
《丸善の洋書売場は、相変わらずすいていた。
とうさんはゆったりした気分で大部な画集を一冊ずつ眺めていった。とりわけアフリカの美術、ピカソの未発表の画集が面白かった。どちらも生き生きしていて、呼応しあうものがあった。いらいらした主婦の衝動買いとは逆の気もちから、とうさんはその二冊を包ませた。
それから絵本の棚へ移った。毎年年末にある海外新作絵本即売会の売れ残りが積んであり、とうさんは落穂拾いをするつもりで、また念入りに見ていった。いつかこうして、一冊の美しい絵本を見つけたことがあった。あれは神戸の丸善でだったが、水彩画で、一枚の絵に一つのエピソードを短くつけた日誌ふうなつくりのもので、"Zeek Silver Moon"といった題だった。》
神戸の丸善は大丸方面から元町のアーケードに入ってすぐ左手(海側)にあった古い建物で、売場がT字のような形をしていた。たしか三階(?)に洋書が置いてあり、神戸に住んでいた頃には絵本や画集を立ち読みによく通った。
Amy Ehrlich『Zeek Silver Moon』(First Pied Piper, 1972)の
画家はRobert Andrew Parker。一九二七年ヴァージニア生まれ。四十冊以上の絵本を手がけておりコルデコット賞も受賞している。イラストレーションという言葉が流行った時代を思い出させる画風だ。