石川桂子『大正ロマン手帖 ノスタルジック&モダンの世界』(河出書房新社、2009年12月30日発行、装幀・レイアウト=高木善彦、1600円)。野崎泉さんの『東郷青児』と同じ「らんぷの本」シリーズ。石川女史は竹久夢二美術館の学芸員なので夢二を中心にして高畠華宵、加藤まさを、蕗谷虹児、須藤しげる等をもれなく紹介しながら、宇崎純一もとりあげてくださっている。
他に画家だけでなく着物や洋服、流行色、化粧品、ヘアスタイル、キャリア・ウーマン、女学生、モダン・ガール、恋愛、マダム、少女歌劇、オペラ、キネマ、楽器、おやつ、百貨店、文化住宅、広告などなど、豊富な資料図版をカラーでおしげもなく紹介してあり、じつにコンパクトに繁栄する大正時代の側面にどっぷり浸れる構成となっていて、じつに楽しい。
驚いたのは「大正ロマン」という言葉の初出が一九七八年だということ。詳しくは本書をごらんいただきたいが、夢二生誕九十年あたりから使われ出したということだ。じゃあ、大正時代はどうだったのか(?)と思って、国会図書館のキーワード検索にかけてみると、やはり「ロマンス」「ローマンス」という単語を使った例はかなりあるが、「ロマン(浪漫)」は見当たらないようだ。「浪漫主義」はいくつかヒット。言葉はいつも意外なものだ。