清水常太郎『高等小学読本字解巻下』(清水常太郎、一八九二年三月二一日)。見返しでは「版権所有・教育書屋」となっているが、著作者兼発行者は清水常太郎である。住所が京都市上京区室町頭下木ノ下町三十一番戸寄留。この時期の高等小学校は現在の小学五年から中学二年までの四年間に相当する(後に変遷あり)。小学読本に出ている漢字を網羅し読みと意味を付した参考書。
清水常太郎は日本・支那・朝鮮・台湾などの地図を製作したことが知られているが、具体的な伝記的事実は未詳のようである。検索してみると、朴泳孝と金玉均らの朝鮮親日派の協力により清水の編輯した『
朝鮮輿地図』(鹿田静七他、一八九四年)に正しく竹島などが描かれていることが指摘されている。清水光憲の名前で『京都名所独案内』(漫遊館、一八九五年)を著してもいる。
発売所の中村浅吉は現在も伏見区で出版社として営業している風祥堂で、明治十九年頃に富小路三条上ル福永町二十八番戸で出版書肆として開業したと思われる。出版内容は実用書が中心だが、昭和期に代替わりしてからは仏教書専門に変って行った。これは出版においてはもっとも手堅い路線であろう。
印刷は銅版刷。印行者は後藤七郎右衛門。京都で金工家として江戸時代から続く。著書に『ちえくらべ画探新題』(山中勘次郎、一八八九年)の絵手本があり、やはり地図の製作にも携わっている。
検印紙が貼られていないのが残念。