『A COMPANION TO The Boobus and the Bunnyduck』(ARION PRESS, 2007)という小冊子というか刊行案内書を頂戴した。エリオン・プレスというのは一九七四年にホイエム(Andrew Hoyem, 1935-) によって創立されたプライベートプレス。詳しい社史は
Arion PressのHPをごらんいただきたいが、メモていどに紹介しておく。
アメリカ合衆国でもっとも優れたタイポグラファーとして認められていたブルース・ロジャーズ(
Bruce Rogers)の最良の弟子を自認するグラブホーン兄弟(Edwin and Robert Grabhorn)がサンフランシスコで一九一九年に創立したのがグラブホーン・プレス。(英語発音のカタカナ表記は適当です、御教示あれ)
グラブホーン・プレスのすぐそばでホイエムは一九六一年にヘイゼルウッド(Dave Haselwood)といっしょにアウハーン・プレス(Auerhahn Press)を始めた。ここは主にビート・ジェネレーションの詩人たちの詩集を印刷していたそうだ。(とおりすがり氏よりコメント《ビート詩人の詩集も出していましたが、ブラックマウンテン派やサンフランシスコ在住の詩人たちの詩集のイメージも強かったかなと思います》)
しかし六三年に閉業し、ホイエムは翌年グラブホーン・プレスで働いたが、そこも六五年に閉店。グラブホーンの弟ロバートとホイエムはいっしょになって印刷業を続けていたが、一九七三年のロバートの死後、設備や貴重なタイプのコレクションを買い取り、七四年にエリオン・プレスを開業したということである。
エリオン・プレスを取材した短い番組が youtube で見られると教えていただいた。アメリカ合衆国でも絶滅に瀕した印刷製本術を受け継いでいるとのこと。
Creating Fine Letterpress Books at Arion Press on PBS NewsHour
文学作品とオリジナル版画などを組み合わせた豪華本の出版で気を吐いているようだが、『
The Boobus and the Bunnyduck』も詩人のマイケル・マクルーア(Michael McClure)が娘のために創作したお話をジェス(Jess)がクレヨンでイラストレーションをつけて手作りした本の復刻版である。
しかしこの冊子だけを見てもハイレベルな活版印刷だ。文字も美しいし、そうとうに荒目の木炭紙のような紙にぴったりとよどみなく印刷されていて、おぬしただものではないな、と思わせられる。
「Bunnyduck」バニーダックという言葉はマクルーアの造語のようだが、十九世紀末頃にダック・ラビット「
duck-rabbit」というだまし絵が流行ったらしい。見ようによってダックのようでもあり、ラビットのようにも見えるというマンガである。
♪まねき猫ダ〜ック