『定本草野天平全詩集』(弥生書房、一九六九年)を頂戴した。感謝です。語りかけるような作風がとくに好ましく感じられた。「一少年に」後半部分。
物ごとは
なんでも初めは一人です
世の中を善くするのも悪くするのも
唯この一人からです
いいですか
たうてい動きそうもない遠大なものでも
たつた一人の力
あなた自身の力の出し方しだいで動きはじめるといふことを知らねばなりません
生意気にならない、といふことも同じ理屈です
恐らく人は子供つぽいといつて馬鹿にするでせう
くやしいこともくやしいし悲しいことも勿論悲しいです
そこをぢつと耐へるのです
辛抱しきるのです
その位のことが出来ないで
どうして人の心を打ち動かすことが出来るでせうか
事柄はちつぽけです
実にちつぽけです
ところがこのちつぽけこそが実は大変なのです
まあやつてご覧なさい
苦しいですがまた非常に雄々しくもありますから
年譜を見ると生まれは東京だが(本籍は福島県)、大正十年十一歳で京都市相国寺東門前町に転居し京極小学校に転入、翌年平安中学に入って一年ほどで東京にもどっている。また、昭和二十五年には比叡山に滞留し、翌々年そこで歿した。享年四十二。
経歴のなかで興味をひかれたのは昭和十二年に三省堂の編集部で高橋錦吉と親しくなったこと、『婦人画報』編集部に入社して土門拳と仕事をしたことなどである。
いわきBiweekly Riview 日々の新聞 草野天平の頁
http://www.hibinoshinbun.com/files/tenpei/tentobira.html
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恵文社一乗寺店より《「みんなの古本500冊」の第二弾を出す予定です》ので参加くださいというお誘いがあった。むろん参加しますと返事をしておいたが、さてどの本について書こうか、ちょっと迷っている。
そうそう、ようやく『晶文社図書目録1973・5』が手元に届いた。目録もなかなかいいが、「晶文社常備寄託店一覧」は時代を感じさせる。京都の欄を見るとなくなった名前ばかり目立つ。駸々堂、京都書院、丸善……。おや、寺町二条上ルの三月書房の他に河原町三条上ルにも三月書房がある。