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ナポリ フラッグ

ナポリ フラッグ_b0081843_19531453.jpg


黒田維理『ナポリ フラッグ』(如月出版、二〇〇九年八月二四日、表紙デザイン=島村アン)。同じ著者の『SOMETHING COOL』(如月出版、二〇〇七年)についてはかつて紹介した。

http://sumus.exblog.jp/6452429

『SOMETHING COOL』以外の詩・短篇・紀行文・論説などをまとめたもの。黒田のデッサン「いちじくの静物」が版画になって巻頭に添えられて居る(限定二百)。このスッキリした表紙がとても似つかわしい。「ナポリの雲」全文。

 足もとに犬がやってくる
 おや? 君
 さっきから 僕がパイプにつめて喫ってしまったせいか
 ナポリには雲がないね

 菫はマカロニの孔をつたって匂ってくる

エッセイのなかでは「三人の詩人 在りし日の歌 上田保 吉田一穂 北園克衛」がとりわけ興味深い。たとえば学生の黒田は吉田一穂を訪ねて「先生は昭和期で日本の詩人では誰をいちばん評価なさいますか」と訊く。

《先生は即座に「逸見猶吉のウルトラマリンだ」とお答えになった。わたしはなるほどと納得した。》

そして北園克衛。

《先生はそのころ紀伊國屋書店の月報「机」の編集をなさっていた。新宿へは何度となくお供した。VOUの印刷所、神田の昭森社、新橋のデザイン事務所、はては先生の通っていられた銀座の教文館のうえの歯科など、ずいぶんいろんなところへお供したことを懐しく思い出す。》

《二ヶ月半か三ヶ月に一度ぐらいの割りに、銀座の並木通りの六丁目あたりや、日動画廊から阪急の旭屋書店、晴見[ママ]通りのイエナ書店のあたりなどでブラウンの服をきた北園先生に不意にでくわすのだった。なぜあんなによく出くわしたのだろう。なんだか行動範囲が似ているようだった。そして晴見[ママ]通りの千疋屋の二階や三笠会館の喫茶室、並木通りの六丁目の角の風[ママ]月堂などでお茶をのんだ。先生がお亡くなりになったあとも、よく銀座で、先生にお姿の似たひとを見かけて「あっ、北園先生だ」と錯覚したりして仕方がなかった。》

『SOMETHING COOL』復刻版とともに大事にしたい一冊である。

÷

某氏よりファックスが届いた。それは変体カナの女性の手紙だったのだが、引き続きの電話では、どうしても読めないところがあるという。うちのファックスそのものがあまり性能が良くないのではあるが、なんとか判読できるていどにはプリントされていた。しかし、変体仮名というもの、外国語と同じで、いつも使ってないと即座には読めない。なんだかとても急いでいるようだったから、いったん電話を切って、ヘンタイのアンチョコを取り出して、あーでもない、こーでもないと頭をひねる。

同じかなもじをいろいろな漢字で書いてある。日記のようなものなら、だいたいこの字はこの漢字というふうに書いた人の癖がでるので文章の通るところから類推できるが、それはちょっと凝った内容の手紙で書き方も凝っていたのだ。ただ崩し方そのものはかなり忠実で、その点ではアンチョコが役に立った。十分ていどでだいたい判明。折り返し電話して報告。一字、漢字が断定できなかった(推定はできた)。今思えば、仮名も一字間違っていたかもしれない。許してね。

÷

京都新聞は何十万部も出ているそうだ。さすが京都の人からはいろいろ反応があった。時期も時期だし京都近代文学館などできるはずもない(できるならとっくにできているはず)。何か提言をするという主旨のコーナーなので敢えて説いてみた。

しかし、文学保管館なら可能かもしれない、などと甘いことも考えないではない。購入するとか寄贈してもらうとか、それもいいのだが、あなたの本や資料を置いておいてあげます館というのはどうだろう。書庫がわりに管理してくれて、その代わり一般に閲覧を許すみたいなのは。閲覧のときに一定の閲覧料金をもらって閲覧ごとに所有者に使用料(損料)を払うとか(ブログのアフィリエートみたいに)……ダメかなあ。
by sumus_co | 2009-09-14 20:50 | おすすめ本棚
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