注文しておいた田中栞『書肆ユリイカの本』(青土社、二〇〇九年、装幀=高麗隆彦)が届く。田中女史、ユリイカ探求の総集編といったおもむき。書肆ユリイカの本の目録であることはもちろん、それより何より、本というのはどのようにして調査するのか、どこをどう調べるのか、いかにして閲覧するのか、いかにして買い集めるのか、その心構えまでも含めた「書物探索」のかっこうのガイドになっている。
ユリイカ本の買いっぷりの良さには呆気にとられる他はない。かなり以前、たぶん二〇〇三年ころに一度その蒐集ぶりについて女史より直接お話をうかがったことがあるが、その具体的な内容が数字入りできわめてクールに羅列されている。
《平成二一年八月現在、筆者の手もとには書肆ユリイカの本が二五四冊(異版・異刷・異装本二二冊を含む)、雑誌が八四冊ある。他に、完本を買い直したり、持っているのを忘れて買ってしまったりした重複本が四二冊、雑誌の重複が九冊ある。こうして買いまくってもまだ完揃いには至らず、当分は蒐める楽しみを続けられそうである。》
「凄い」の一言に尽きる。昨日触れた加藤八千代の第一詩集『愛と死の歌』は26頁に出ている。
誤植というわけではないが、このブログで六月に触れておいた「フランコの嘘」についてだが、デッサンではなく銅版画の方がより良いように思う。
http://sumus.exblog.jp/11208081
もうひとつ言えば、フルカラーで書影を全点入れて欲しかった。みずのわ出版でもできたのだから青土社でできないはずはないだろう。編集方針の違いかも知れないけれど。しかし、とにかくこの本ができたことは快挙だと思う。81頁の伊達が裏に昭森社の地図を書いた名刺(田中清光氏蔵)、これ欲しい!