パリの古書店ジャン・クロード・ヴラン(Librairie Jean-Claude Vrain)の二〇〇七年の目録を眺めていたら、書店レッテル貼込帳が出ていて釘付けになった。古いノートに142点貼り込み。フランスでは書店レッテルのことを「エティケット・ド・リブレリ étiquette de librairie」というようだ。ワインのラベルをエチケットというのと同じ。むろん礼儀作法のエチケットの意味もある。
住所は12サンシュルピス通(12, rue Saint-Sulpice, 75006 Paris)、ストリートヴューで確認して見ると、昨秋、この前は通っていないことがはっきりした。古本屋が二軒ならんでいる。セーヌ通り沿いの古本街には違いないが、少しサンシュルピス通を東に入っている。まあ、行っても何も買うものはないな、こりゃ。
パリの古書店のなかでもヴラン氏は屈指の実力者らしい。まあ、目録見れば分かります。ほんの一例、ランボーの自費出版『地獄の季節』(一八七三年)、刊行当初ごくわずかだけ流布した後、一九一四年になって印刷所の倉庫から五百部発見されたうちの一冊。まっさら、17000ユーロ。
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金沢文圃閣の『文献継承』14号に書物蔵氏の「古本界の重爆撃機!ー『古本年鑑』と古典社の渡辺太郎 附.年譜」が載っている。これは有り難い。沼津の古典社は知られているのに渡辺太郎のことはあまりよく分からなかった。スムース文庫は古典社の『ふるほんやたいへいき』も復刻しているのだ(えっへん! これはユーレイ同人の吉川氏の唯一の足跡、といってもアイデア出しただけだけど。残部少しあります)
《オモシロがられて「年鑑」の広告ビラだけが復刻されたことさえある》
などと書かれて光栄なり(『sumus』11の付録ビラのこと)。上の写真が『古本年鑑 1933年版』(古典社、一九三三年十月一日二版、初版は九月一日)。
渡辺についての詳細はこの論考を参照していただきたいが、簡単に略歴を紹介しておく。一九〇三年生まれ、雑誌記者、社会主義運動家などを経て一九三〇年に沼津の自宅に古典社を設立した。戦後は出版業から撤退して古本屋をやっていたようだ。没年不明。
《最後に古本屋というのは、愛書家にとって、ひとつの理想ではなかろうか。》
なるほど、なるほど。