山口青邨『草庵春秋』(龍星閣、一九四三年、装幀=福田豊四郎)。納涼の百円均一テントにて。なんだか今年は不評だった百均だが、小生はそれなりに満足した。驚くようなものはなかったけれども。
伯林(ベルリン)の「古本車 Bücherwagen」について書かれたエッセイに目がとまった。
自動車文庫については先日触れたが、それに関して書物蔵氏のブログで
配本車の存在も知った。今回は古本車。
《ところところ街の角のちよつと側に入つた処に車の上にしつらへた屋台に本棚を並べて古本を売つてゐるものを見る、之を古本車(Bücherwagen)と呼んでゐる。移動性のあるのが特徴で方々どこでも自分の好きな場所に店を開けばよいのである。然し実際はちやんと定まつてゐるやうである》
《私はよくこの古本車の前に立つたものである。私の知つてゐるのはウンターデンリンデンの伯林大学の裏横の通りのもの、伯林工科大学の裏門通りのシタインプラツツに近いところ それから僕の下宿に直ぐ近いところにある二ケ所》《伯林大学の近くのはこの車が三四台並んでゐたが、あとのはみんなただ一台きりであつた》
《さういふ古本車がリンデンの街路樹の下などにあつて、ひつそりと閑としづまつてゐるのは私には嬉しかつた。ぶらりと立寄つては一つ一つ珍しさうな本をひつくり返して見るのは退屈なときにはよかつた》
Y! ドイツを検索してみたが、「Bücherwagen」というのは「キャスター付きの本棚」のことで、古本車というイメージは見つからなかった(ドイツ語はよく分からないので、御教示を待つ)。たぶん
生田耕作編訳『愛書狂』(白水社、一九八〇年、装幀=野中ユリ)の挿絵にあるようなものかな、と思うのだが、あるいは『彷書月刊』のQ.B.B.氏の漫画「古本屋台」みたいなものだろうか。
某氏より御教示いただいた。《ドイツ語は相当自由に新造語を作ることができるので、辞書に載っていない単語が数え切れないほどあります。Buecherwagenなら、本を積んだ車であれば、自動車文庫でも、キャスター付き本棚でも、古本車でも可能です。念のためgoogleを見ると、
buecherwagen im Hasiというサイトに実物の写真がアップされています。でも、これは見たところ古本車ではなく、自動車文庫のようです。》
この図は河盛久夫「紙上銀ブラ」(『時事漫画』一九二六年五月一七日)の部分。銀座の露店を紹介しているなかの古本屋。車輪が付いているのでこれもやはり古本車だろう。
『草庵春秋』後見返しに二枚のレッテルが。神戸・宝文館と大阪駅のSVAL。