芦屋ルナホールで第23回残月祭(谷崎潤一郎の生誕記念祭、芥川龍之介の河童忌でもある)の講演、出久根達郎「猫派の谷崎潤一郎と犬派の太宰治」を聞いた。谷崎から「猫と庄造と二人のをんな」が「源氏物語・若菜」を下敷きにしていること、太宰から「畜犬談」、そして「葉桜と魔笛」がオー・ヘンリの「最後の一葉」を下敷きにしていることを指摘した。
最後に太宰「富嶽百景」の井伏鱒二の放屁について。井伏が放屁を否定していることに関して、最近、土屋嘉男(俳優、黒沢の「七人の侍」、怪獣映画「マタンゴ」等、脇役として活躍)が少年時代、井伏の放屁につづいて、土屋少年も放屁し、太宰が大笑いした、ということを発表した件について(検索してみると発表誌は『週刊新潮』2009年7月2号)。小説では次のようにある。
《井伏氏は、濃い霧の底、岩に腰をおろし、ゆつくり煙草を吸ひながら、放屁なされた。いかにも、つまらなさうであつた。》
シチュエーションを変えたのだろうと推測される。
最後、聴衆からの質問で、太宰の自殺の原因について問われ、作家・芸術家の自殺はなべて仕事の行き詰まりが原因であると思うという意見を述べられた。
会場の芦屋市民センター(ルナホール)へは初めて入った。ちょっと不思議な建物だ。設計は坂倉建築研究所。竣工が一九六四年だけにかなり老朽化しているふうではあったが、それなりに手入れされている。下は芦屋川沿いで「読む人」。
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帰宅すると『納涼古本まつり目録』が届いていた。パラパラッとめくると、あの一冊がこんな値段で出ていた。具体的に書いてしまって何らかの影響が出ては申し訳ないので、書名はひかえるが、すぐに注文しそうになったから、恐ろしい。思いとどまったけど……。