西秋生『ハイカラ神戸幻視行 コスモポリタンと美少女の都へ』(神戸新聞総合出版センター、二〇〇九年、装幀画・デザイン=戸田勝久)を頂戴したので早速拝読。イナガキ・タルホと谷崎潤一郎『細雪』を中核として神戸にその足跡を記した文学者(一部美術家)を整理して展開してくれている。巻末の参考文献リストもひとつの神戸書誌となっており、一家に一冊備えておきたい、そんな本になった。主な登場人物は以下のごとし。メジャー、マイナーとりまぜてなかなかの神戸文学絵巻ではないか。
イナガキ・タルホ、谷崎、竹中郁、江戸川乱歩、横溝正史、戸田巽、酒井嘉七、小松益喜、中山岩太、小泉八雲、中河与一、正岡子規、山本周五郎、尾崎放哉、石川達三、小出楢重、堀辰雄、西東三鬼、大坪砂男、渡辺温、十一谷義三郎、淀川長治、野坂昭如、井上靖、久坂葉子。および「ハイカラ神戸」の分析。年表、引用文献。(文学地図があればカンペキだった)
さて、ここで問題です(神戸検定!)。上記のなかで神戸市内(現在の行政区分でよろしい)で生まれた人は誰と誰でしょう? あんがい少ないよ。ちなみにタルホは大阪生れ。谷崎はむろん江戸っ子だが、旧神戸市内には住んだことがないというのも面白い(阪神間で十数回転居しているが、現在の区分で神戸市内になるのは武庫郡=東灘区のみ)。神戸は異邦人の街なのだ。
マン・レイのネタをここでも発見。中山岩太夫妻はパリ時代にマン・レイの恋人だった頃のキキと知り合って遊ぶようになったそうだ。マン・レイその人とのつき合いはなかったらしいが。岩太は帰国(一九二七年)後『アサヒカメラ』に発表した短い論文にマン・レイの名前を繰り返し記しているという。