Makino氏よりメールあり。
《高橋啓介『向日庵・宗悦・志功の限定本』(湯川書房S58年・6/250番・定価18000円)を¥15,000で買いました。美しい本です。ここに紹介されている限定本を一挙にそろえる財力はむろんありませんが、そのうち1冊づつでもいつか入手したいと思うと、生きる張り合いが出ます。もっとも、著者はぜんぶそろえたわけで、その蒐書の情熱には圧倒されますが》
高橋啓介という方はとにかく凄い。かろうじて小生が架蔵しているのは『限定本彷徨上巻』(湯川書房、一九八七年)のB版だけだが、それでもその蒐集への執念は痛いほど伝わってくる。その中から二頁紹介する。上は佐野繁次郎が表紙画を提供している堀口大学著『ヴェニュス生誕』(裳鳥会、一九三四年)。裳鳥会は秋朱之介の版元。ただ、高橋氏は佐野にはまったく関心がなかった。
《掲載十九篇中の七篇について描かれた棟方志功の画が、挿絵として扱われず、別冊となり、又本冊表紙の画が別人の画になっているのは何か理由があったと思う。》
「別人の画」はちょっといただけない。堀口大学が棟方志功の挿絵を気に入らなかったというのが別冊になった理由らしいが、実際、志功の絵はヴェニュス生誕のエロティシズムには相応しくない。どう見てもヘタウマの漫画。佐野の裸婦デッサンがピッタリ合っているとも思えないが、まだ少しはましだ。秋の民芸趣味と大学のデカダンスは噛み合っていない。
こちらは東郷青児の装幀になる北園克衛『詩集 火の菫』(昭森社、一九三九年)。二百部の和紙本と十二部の木炭紙本があるそうで、和紙本の方がインク滲みがなく本文が綺麗だとのこと。東郷青児の装幀本ではもっとも高額だろうと箱庭さんがおっしゃっていた。