二冊目が『CAMERA』(昭和24年11月1日発行、アルス、第38巻・第5号・通巻228号)。ネットで購入したとのこと。林忠彦による写真の説明がある。
《今月は、一人はアドルム中毒で、狂人になつたとまで新聞誌上にデマの飛んだ、坂口安吾氏、一人は画家で、朝日連載「花の素顔」のモデル問題で、告訴事件まで起きて、センセイシヨンを起した、佐野繁次郎画伯です。》(「文士と画かき」)
《この立派なアトリエが、数寄屋風の日本間につくられた、セツト[3字傍点]だと、お気付きの方は、まず、ありますまい。半日掛りで出来上つた、セツトですが、全く、すきのない道具建て、画家の神経というものは、実に鋭いものと、ホトホト、感心させられ驚きました。何しろ、カメラポジシヨンが、必然的に一ケ所に、決められ、動きがとれず、してやられた感じのまま、余儀無く、二三枚シヤツターを、きらされたような訳で、口惜しくてたまらず、数時間かゝつて、ついにこれはと思うポーズを発見、到頭、ものした一枚です。雑談中こそ自然なポーズの生れるもの、そのチヤンスを素速く掴む訓練が必要だと、つくずく思われました。》(「佐野繁次郎氏」)