矢も楯もたまらず四天王寺さんへ。天気はまあまあだったが、風が冷たかった。何はともあれ百円コーナー。落ち穂拾いの気分で。まずは『浪漫古典』第八輯(昭和書房、一九三四年一一月一日)トオマス・マン研究特輯。巻末に既刊号の目次も掲載されており、それを見ると、そうとうハイレベルな文学雑誌だということが分かる。編輯兼発行人の根岸秀次郎とはいかなる人物だろうか。『エスプリ』という雑誌も出していたようだ(創刊は『浪漫古典』と同じ昭和九年)。
他にボロボロの『改造』六巻八号(一九二四年八月一日)。岸田劉生の「昔の童話しんぱんゑばなし猿蟹合戦」と「海鯛先生の清玩論」、稲垣足穂「星使ひの術」、辻潤「エイシヤクバイ」などが掲載されていた。
後は、シュトルム『湖』渡辺格司訳(矢代書店、一九四七年)がちょっと嬉しかった。矢代書店への興味から見つけ次第確保している。……と書いていてはキリがないので、またおいおいに紹介する。会場全体にどの店も五百円均一、三百円均一(五冊千円)だとか、二百円均一だとか、投げ売り状態だ。けっこうほんとにいい本も混じっている。
ところで、行きの阪急電車のなかで若い男性二人が立ち話をしていた。平服だったが、どうやら、車掌か運転手の新人らしい。電車の車両の数を間違えて停まった場所がどうのこうのと喋っていた。で、こんなことを言った。
「淡路と高槻は駆け込み乗車が多いよな」
「そうそう、でも、淡路と高槻の駆け込み乗車の質が違うよな」
ホウ! 駆け込み乗車の「質」とはいかなるものや? もう少し詳しく聞きたかったが、そのあとすぐに降りてしまった。