水明洞の店頭100円均一では展覧会図録がよく出ている。これまであまり図録類は買わなかったが、最近は、自分でも不思議だが、美術系の資料に回帰している感じなのである(画家と名乗っている以上、当り前と言えば言えないこともないけれど)。これもそんな一冊。日本橋東急百貨店一九七一年一〇月八日〜一八日に開催されたもの。
要するにこの集合写真に惹き付けられた。キャプションには《草土社第七回展覧会記念/写真 後列左から二人目中川 芝川 二/人おいて木村 川幡/前列 田村 横堀/劉生 椿 中島》とある。中川一政、芝川照吉、木村荘八、川幡正光、田村憲、椿貞雄、中島正貴、他三名である。みんな若い。草土社第七回展は大正八年の十二月に赤坂溜池三会堂で開催された。岸田劉生は二十八、中川一政は二十六。
そして草土社を後援していた芝川照吉は四十八だった。佐野繁次郎の父親の親友で親戚にもなる人物。おそらくこの大正八年に佐野繁次郎は上京して、御茶ノ水の駅のすぐそばにあった芝川の広壮な屋敷に寄宿していた、のではないかと、小生は推測している。今、改めて『幻想のコレクション 芝川照吉』展図録を調べると、ちゃんとこの写真も掲載されていた(ただし人物説明はない)。
パトロンなのに記念撮影ではいちばん後ろに立つ芝川、この控えめな様子が好ましい。劉生はもちろんいつも前列の真ん中だ。