東海散士『佳人之奇遇』(柴四朗、明治十八〜三十、八篇十六巻)の端本三冊。いずれも200円だったか。何年か前に二冊見つけ、久しぶりに一冊手に入れた。昔はよく端本が出たそうだ。明治二十年代頃のベスセラーのひとつ。柴四朗については下記ページが詳しいが、白虎隊の生き残り、東京で勉学に励み米欧を視察し、谷干城農商務大臣の下で秘書官、大阪毎日新聞の主筆などを経て衆議院議員となった。かたわら『佳人之奇遇』の執筆をつづけたそうだ。
http://www.plib.net.pref.aomori.jp/top/museum/meihin_62.html
毎卷、二または三葉の石版口絵が挟まれていて、それが目当てである。石版を担当している小柴英は初期石版技術者の一人、明治十七年に秋葉原の近くの東松下町で開業した。長男の小柴英侍はその後の石版印刷技術に大きな影響を与えたそうだ(森登「東海散士『佳人之奇遇』」『日本古書通信』956号)。画家は印藤真楯、浅井忠ら(詳細不明)。上図は「清国人米人ニ軽侮セラルゝノ図」(卷二)。何か元になる絵があったのであろう。