渚と街角の神話
2009年5月19日初版第一刷発行
著者 福島清
装幀 林哲夫
みずのわ出版
文中に広島の「あき書房」さんが登場しているので、一部を引用しておく。
《それは石踊一則[ルビ=いしおどりかずのり]という名の還暦を過ぎたばかりの、狭い店内にうずたかく積まれた書物の中を泳ぐ紙魚のような男なのだ》《武蔵野美術大学のテンプラ学生[六字傍点]のときに宮本常一の知遇を得たということだが、少しの会社勤めの後に宮本の激励もあって本屋を目指し、神田の社会科学系の古書店で月給三万五千円で修業をした。住み込みは三食付きだと思っていたが、昼食代として月に五千円を受け取り、夕食代として五千円を支払った。日曜日や休日は自弁なのも辛かった》《店主の子供のオシメを替えるのも仕事のうちだったが、遊び相手を断ると「オドリ、バンメシヌキダヨ」と幼児に言われてしまう虚しさも経験した。辞めるときには三年半が経っていた。
この皆実町に古本屋を開き、細々とした経営を続けて三十年になる。》
前著『男達の神話』では登山用のピッケルをカバーにレイアウトしたので、今回はノコギリにしてみた。内容とはまったく無関係である。