リンゲルナッツ『木造の記念碑1』(板倉鞆音訳、国文社、一九五八年、装幀=蛭間重夫)。ピポー叢書47。リンゲルナッツ(Joachim Ringelnatz)はペンネームで、草蛇(Ringelnatter)という意味にひっかけているらしい。本名は Hans Bötticher(7 August 1883 - 17 November 1934)。第一次大戦中は海軍に入っていた。その後、二〇〜三〇年代にはキャバレーでコメディアンとして暮らしたが、一方で、ナンセンス詩人として、また画家としての活動も行った。二百点以上の絵画作品が残っているそうだ。ナチによって活動を禁じられた。
「小蛇」全文。
小蛇が悪魔を訪れた
おとなしく、行儀よく
すると悪魔は抱きあげて
なでてやり
小蛇を好きになった
小蛇が
天使を訪れて
お辞儀をしてすぐ去ろうとした
小蛇を
天使は好きになり
やさしく言った
ーーおいで!」
津田京一郎氏の「板倉鞆音捜索」(『spin』02掲載)によれば
《足場を失くした人間が足場のないことをつきつめて行つたら虚無の世界へ頭を突つ込んだ。ーーこの虚無の中で吐かれた溜息。》
と、これが板倉鞆音のリンゲルナッツに対する感想というか、感嘆であった。
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どこやらで飲んだくれていた人が話題になっているときに、まったく逆の意味で名前を上げたのが、ハルキ・ムラカミだ。作家は作品で、とも思わないでもないが、誰にでもできることじゃない。
Haruki Murakami
Murakami defies protests to accept Jerusalem prize
そんでもってイスラエル版『海辺のカフカ』はこちら。
Kafka on the Shore