
『本の雑誌』2009年1月号(本の雑誌社)を久々に買った。「坪内祐三の読書日記」に『佐野繁次郎装幀集成』についての言及があったからだ。
《十一月三日(月) きのうの東京堂での私のトークショーに出席していた西村義孝さんからもらった『佐野繁次郎装幀集成』(みずのわ出版)を眺め読む。サブタイトルに「西村コレクションを中心として」とあるように、これは、西村さんの集めた佐野繁次郎装幀本の図録集だ。西村さんを私は、吉田健一本のコレクターとして知った。十年ぐらい前だろうか。西村さんは、いわゆる何でもかんでもという古本マニアではない。一作家集中主義だ。その西村さんが、「佐野本を探す蒐集のきっかけは『sumus』の2号(2000年1月20日発行)特集「画家の装幀本」の中の一つ林哲夫「佐野繁次郎」」だったという。それが僅か十年足らずでこのコレクション。西村さんは特別の金持ちでなくごく普通のサラリーマンなのに、凄い人だ。》
坪内さんはいち早く、そして、つねに『sumus』を支持してくれた人である。西村氏の凄さについても前々から口にしていた。素直によろこんでおこう。
それにしても同じ日記に、『図書』の岩波新書創刊70年記念号「私のすすめる岩波新書」のアンケートは、回答謝礼が広辞苑最新版だとあるのには驚いた。手許にあるその『図書』を見ると218名の回答が載っている。一人三冊岩波新書を選ぶのだが、そのなかでもっとも多くの人が挙げたのが『バナナと日本人』である。九人。
小生、岩波新書はそんなに架蔵していないけれど、すぐに思い浮かぶ印象深かったタイトルは下記の通り。
・漢字 白川静
・画家と画商と蒐集家 土方定一
・京都 林屋辰三郎
『漢字』は松岡正剛氏が『京都』は南川高志氏が挙げている。土方は忘れ去れているようだが、美術の見方を広げてくれた好著だと思う。ちなみに坪内氏は謝礼の広辞苑が場所をとりそうだから断ったそうだ。
この『本の雑誌』の巻末にある椎名誠「今月のお話」を読んでいると、休刊しなければならないほど売れ行きが落ち込んでいると書いてあった。なんとか今回は休刊は思いとどまったものの、そうとうキビシイらしい。坪内日記の立ち読みしかしない者がどうこう言う筋合いではないが、続けて欲しいものである。