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<   2012年 06月 ( 34 )   > この月の画像一覧

カルモチン

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しばらくぶりのオフということで、まずは京都文化博物館で平清盛展を見る。出品されている絵画の多くは江戸期のものだった(江戸期には源氏物語と同様に平家物語も人気があった証拠だろうか)、平安時代のものは一部の消息や陶磁器などに限られた。なかでは、やはり平家納経は見ておく価値がある。装飾過多とも思えるテキスト面そのものもキラキラしてまぶしいけれど、その留め金具や打紐などの細工がまた見事だった。

そこから寺町の尚学堂へ。古絵葉書が詰まった函をかきまわしていると黄色い小箱が目についた。「ブロムワレリル尿素錠 1号 カルモチン錠」とある。昨日の記事に関連してくるが、カルモチンと言えば、芥川龍之介や金子みすゞ、太宰治が自殺に用いた薬としてよく耳にする睡眠薬ではないか。

 ブロムワレリル尿素錠
 1号
 カルモチン錠
 「タケダ」
 鎮静催眠剤
 1錠中日本薬局方ブロム
 ワレリル尿素0.1gを含有
 製造発売元武田薬品工業株式会社
 大阪市東区道修町2丁目27番地
 [用法]
 鎮静剤として一回二〜三錠宛一日三回服用
 催眠剤として一回五〜八錠を温湯にて頓服

《ブロムワレリル尿素(ブロバリン,bromisovalum,α-bromoisovalerylurea,bromvalerylurea)は,古くから催眠鎮静剤として用いられており,医療薬として処方されるだけでなく,催眠鎮静薬や解熱鎮痛薬,鎮うん薬の成分として配合され,一般薬(OTC薬)としても販売されている.入手の容易さから,現在,ブロムワレリル尿素による中毒は,わが国の代表的な薬物中毒の一つである.
 (財)日本中毒情報センターへの問い合わせ件数は,2000年に76件1),2001年に70件2),科学警察研究所資料3)による中毒死者数は,1999年に37人,2000年に42人(多剤同時摂取を含む)となっている.》(日本中毒学会HPより)

ブロバリンは商品名。他にリスロンS、カルモチン(武田薬品工業・販売中止)、ウットなどがある。つげ義春は1962年にブロバリンを用いて自殺を図ったが、未遂に終わった。

昭和レトロ商品博物館・太宰治とカルモチン
http://www.lifeshot.jp/1179949321/photos/1199890683/

そこから南下しメリーゴーランドで空中線書局の展示を見た。このとき、みなみさんと遭遇。徳正寺へ行くというので「案内しますよ」と先導したはいいが、道を間違えて行きすぎてしまった。冷や汗。

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徳正寺の本堂には、稲垣足穂の全著作、遺品(眼鏡、ハンコ、クレヨン、色鉛筆など)、色紙や絵画作品が並べられていた。タルホの絵はなんともオシャレだ。色が美しい。何人かの顔見知りの方々にお会いする。林海象上映会は失礼して、はんのきへ。ダンデライオン氏が店番中。夏場から秋にかけてのいくつかの古本イベントについて情報を得た。なかなか面白そうだ。本日、気温高く、雨模様でむしむしとした一日だったが、楽しい半日を過ごせた。
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by sumus_co | 2012-06-30 20:38 | 古書日録

鬼火

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ミッシェル・ラゴンの『だまし絵』のつづきを書こうと思いつつ日が経ってしまった。日本人が登場する箇所を二つほど引用しておく。まずパリの芸術家が貧乏暮らしをしているという例として挙げられている部分。

《ほかの人間が誰も暮らせないようなところでなければ世間は彼の存在を見逃してくれない。フォントノワはある市場の上に建てられた奇妙な棟割長屋に住んでいる日本人の芸術家たちのコロニーを知っていた。実は大きな倉庫がこの市場の上にあって、抜目のないその所有者は崩れた柵を使ってそこを無数の小部屋に仕切ったのであった。もちろんこの長屋のなかでは煖房したり炊事したりすることは禁じられていた。日本人たちは床にじかに寝、冷たい米を食っていた。》

もう一ケ所は「アトランの土曜会」と呼ばれる画家の自宅での集まり。アトランは実在の画家。

《マルセル・アルランは彼のアトリエの常客だった。ジャン・ポーランも時々そこへやって来た。クララ・マルローとジャン・デュヴィニョーはアルチュール・アダモフと同じく、名立るこの土曜会の常連のなかに数えられていた。》《そこではいつも新顔が見られた。しかめつらしく自分らだけの片隅から動かぬ幾人かの日本人、もっともやかましいスカンディナヴィア人たち》

パリにいた日本人の生活と性格が目に見えるようだが、具体的にこの時期(一九五〇年代初め)には誰がパリで頑張っていたのだろうか。フジタがパリに戻ったのは一九五〇年だったようだ。

『だまし絵』読了後はドリュー・ラ・ロシェルの『LE FEU FOLLET SUIVI DE ADIEU GONZAGUE ゆらめく炎』(EDITIONS LIVRE DE POCHE, 1967、これも作家某氏の旧蔵書で赤ボールペンによる線引きがところどころにある)を神戸への行き帰りに読んで、精読ではないが、なんとか会期中に読了。予想したよりずっと面白かった。

ドラッグと酒に溺れた男がパリ郊外の療養所で治療をしている。三十歳だが、これまで働いたこともなく女に食わせてもらってきた。生きることの意味がまったく見いだせずに、その意味を求めてパリ市内に住む若い頃に遊んだ友人を次々と訪ねて歩く。その二日間が描かれている。最後に男はルヴォルヴェ(短銃)で自殺を図る。

元版は一九三一年に NRF から刊行されている。歿後に未刊原稿が発見され、それによって編集し直された版が一九六四年に出ている。その前年にはルイ・マル監督の映画「Le Feu follet 鬼火」が公開されていたから、ナチスドイツ協力者としてのドリュー・ラ・ロシェルに対する再評価が始まった時期だったのだろう。作者自身も一九四五年、友人アンドレ・マルローの亡命の勧めも聞かず、三度自殺を図り、ガルデナルの服用によって三月十五日に死亡した(フランス語ウィキによる)。

本来の「Feu follet」は鬼火、狐火、人魂などに似た現象を指すようだ。英語の「ジャコランタン Jack o' lantern (Jack à la lanterne)」に相当する。すぐ手許にある白水社『現代フランス語辞典』(一九九三年)には「とらえどころのない人; 束の間のもの」という第二の意味が添えられているが、ネット上のフランス語辞書ではそういう意味は見当たらない。「鬼火のように être comme un feu follet」は「はしゃぎすぎた、浮かれた」だという。一九五三年版『ヌーヴォ・プチ・ラルース』は同義語「Farfadet 妖精」とだけ。

ルイ・マル「鬼火」
http://chirashcol.exblog.jp/15134764/

Pierre Drieu La Rochelle : tous les livres
http://www4.fnac.com/Pierre-Drieu-La-Rochelle/ia50747

調べてみると戦前すでに山内義雄訳で『女達に覆はれた男』(フランス現代小説. [第10]. 第一書房、一九三六年)、堀口大学訳『夢見るブゥルジョア娘』(新潮社、一九四〇年)、新庄嘉章訳『フランスの生きる道』(利根書房、一九四一年)が出ている。戦後も何種類かの著作が翻訳されているが、『ゆらめく炎』は一九六七年に河出書房新社から出た菅野昭正・細田直孝訳(人間の文学)が最初のようだ。
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by sumus_co | 2012-06-29 21:11 | 古書日録

ロスト・モダン・トウキョウ

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生田誠『ロスト・モダン・トウキョウ』(集英社新書ヴィジュアル版、二〇一二年六月二〇日)。個展中に届いていたのだが、紹介する余裕がなかった。生田コレクションの質量からしてみれば、こんな本なら何十冊でも作れるだろうとは思うが、とにかく絵葉書による東京案内ベスト・セレクション第一弾という感じ。

なかでは東京タワーの夜景写真がひときわ印象に残った。エッフェル塔建設には美的観点から猛反対する人々(たとえば有名どころではモーパッサン)がいた。電波被害などの見地からスカイツリーに反対する立場はもちろんあったし京都タワーもかなりもめた。東京タワーの場合はどうだったのだろうか?

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「銀座通りの市電[昭和戦前期]」と説明されている一枚に「書籍」の文字が読める。どこの本屋だろうか? 右手の茶色い大きなビルを松坂屋と見れば、昭和六年に立て替えかれた銀座紀伊國屋書店かなあとも思うのだが、すると左手の奥の大きな建物は何かという話になってくる。右手の茶色い大きなビルはこの本の二十六頁に載っている松屋銀座似ているようだ。しかしそれなら手前に三越が建っていなければならない。どうもなんとなく場所が特定できないような画像操作がされているような気がしなくもないが、はっきりしない。


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昭和戦前期の神田神保町すずらん通り。当時はすずらん通りがメインストリートだったようだ。


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細部までとことん面白い絵葉書の魅力をたっぷり楽しめる一冊になっている。
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by sumus_co | 2012-06-28 20:42 | おすすめ本棚

個展最終日 

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本日も千客万来でした。各地から珍しいお客様が来てくださいました。小生の学生時代を知っているという武蔵美の先輩も見えられて冷や汗でした(!)。「将棋同好会をやってたでしょう」などと昔も絵とは関係ないことで目立っていたようです。何はともあれ、おかげさまをもちまして無事終了できました。ご支援、ご来場いただいた皆様に御礼申し上げます。

上の写真、高速道路を京都南で降りて桂川沿いに走っていると柔らかな夕焼けが目にしみました。
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by sumus_co | 2012-06-27 21:18 | 画家・林哲夫

パリの書店を描く

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パリの書店を描く
林哲夫作品展 油彩画・水彩画・コラージュ
20120年6月17日(土)〜26日(水)
12〜19時 火曜日18時まで 最終日17時まで

ギャラリー島田deux(一階)
神戸市中央区山本通2-4-24リランズゲートB1
TEL/FAX:078-262-8058
http://www.gallery-shimada.com/index.html

案内葉書ご希望の方は左欄外メモ帳「お問い合わせ…」よりメールいただければお送りいたします。(あいや〜、誤植発見! とほほほ。このままにしておくしかないですねえ。)

1F 林 哲夫展 パリの書店を描く
http://gsblog.exblog.jp/15564166/
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by sumus_co | 2012-06-27 09:22 | 画家・林哲夫

個展十一日目 ランボオ降臨

一日休養したので、元気よく出勤。

芳名帳を見ると、昨日も沢山の方が見えられていた。お会い出来ずに残念と思う方々ばかり。本日も京都から何人もの方が。町家古本はんのきに置かせてもらった案内葉書を見て、という方もおられた。また、東京から来てくださった方も。深謝です。夕刻、戸田勝久さん来場(本日はロイユはお休み)。最近少し凝り出した軸物の情報などをうかがう。戸田さんはもう何年も熱心に研究されているということだった。水越松南についてはとくに詳しく調べておられるとか。なるほど、なるほど、勉強になることばかり。

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また、先日見えた某氏はわざわざランボオの本を持参してくださった。これは有り難い。『RIMBAUD PAGES CHOISIES』(LIBRAIRIE HACHETTE, 1955)と『酔ひどれ船』(新城和一訳、白樺書房、一九四八年一月一〇日)、前者は上の写真のようにランボオ・シリーズとして描けるたたずまい。表紙の肖像はファンタン・ラトゥールによる有名なもの。後者の発行人は矢野文夫。「古本夜話209 金鈴社と矢野文夫訳『悪の華』」に詳しいが、この名前、長谷川利行の著者として覚えていた。仏文系の人だったのか。白樺書房には他に『ボオドレエル詩集』矢野訳一九四八年、『悪の華』矢野訳、一九四七年、そして長谷川利行『空しき青春』一九四七年などの出版物があるようだ。
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by sumus_co | 2012-06-26 22:20 | 画家・林哲夫

一千十秒物語ほか

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『一千十秒物語』第一号(扉野良人、二〇一二年六月三〇日)。イナガキタルホに関する催しの数々が紹介されている内容。六月三十日の徳正寺はぜひ行って見たい! くわしい情報は下記へ。

ぶろぐ・とふん
http://d.hatena.ne.jp/tobiranorabbit/

 *

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『本と本屋とわたしの話2』(宮井京子、二〇一二年四月二〇日)。個展をご覧下さった方から頂戴した。五十嵐節子、明石八重子、宮井京子、浜田裕子。四人の女子が本と本屋の思い出をつづった爽やかな冊子。

《たまたまそこで手に取らなければ読むことはなかったようなマイナー・ポエットの著作と出会うのは、新刊書店より断然古本屋だ。たとえば、津村信夫の散文『戸隠の絵本』や港野喜代子詩集『凍り絵』ろは四天王寺や中之島の古本市で出会った。
 花月書房で出会ったのは結城信一。》(宮井京子「花月書房は石段の下」)

 *

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『湯気新聞』ピクニック号(湯気カンパニー、二〇一一年四月二九日)。琴子さんより頂戴した。去年の号だけど、森元暢之さんのマンガ八頁!

同じく琴子さんから頂戴した明治学院大学図書館の蔵書に捺されている蔵書印を栞にもなるように印刷した刷り物。ヘボン塾から始まって築地大学校〜東京一致神学校〜東京一致英和学校〜明治学院と百五十年の歴史があるだけに印影もさまざま。面白いなあ。
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by sumus_co | 2012-06-25 21:49 | おすすめ本棚

個展九日目 インタビュー研修

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予報は雨だったが、もちこたえて、ちょうどよい散策日和となった。そのためか通りすがりの入場者も多く、たぶん今回のレコード(数えてないので断言はできませんが)。じっくり見てくださる方が少なくなかったのが印象に残る。ゆっくりと何度も見て回ってくださって「これは水彩画ですか?」と質問されると、ちょっとガクッとなるが、もちろん丁寧に対応させていただく。「こちらが水彩画でこちらが油絵です。そちらは筆ペンです」などなど。

某新聞社の既知の記者の方が大学生の女子を連れて来場。在学中に取材の実地研修を行うのだということで、学生さんによる仮の個展取材が始まった。学生さんというだけあってじつにストレートな質問。「どうして絵を描いているんですか?」。う〜ん、好きだから、かな…? 「どんな絵を描きたいんですか?」…むむむ、「それを探してます」。取材メモからちゃんとした個展紹介記事としてまとめられるらしい(むろん新聞には掲載されない)。読ませてくれるとのことで楽しみ。

 **

電車の行き帰り、画廊のヒマな時間帯に読書すべく何冊か鞄に入れ、画廊にも置いてある。まずは一冊読了。ミシェル・ラゴン『だまし絵 Trompe-l'œil』(大久保和郎訳、河出書房新社、一九六〇年、元版=Albin Michel, 1956)。ラゴンはフランスの美術評論家でかつては日本の美術雑誌にもよく登場していたように思う。母子家庭で教育もろくに受けられず、独学で著述家となった。ナントで青年期を過ごし、一九四五年、二十一歳のときにパリに出た。食べるためにいろいろなことをしたらしいが、セーヌ河畔のブキニスト(古本屋)でも働いたそうだ。その一方で詩や小説を発表、『だまし絵 』も美術評論を中心とする執筆活動に入る以前の作品である。

とは言え、扱っている主題は戦後のパリ画壇の変転で、モンパルナスを根城にするマネースというリトアニア系ユダヤ人の抽象画家がパリの画壇から故意に排斥されて妻にも見放され自殺してしまうという大きな流れに、当時の美術界のいろいろな側面(コレクターたち、画商たち、モンマルトルの画家たちなどなど)をちりばめてある。結局、マネースが死んだ後になって、その作品が高騰し抽象絵画の時代が訪れる。というような皮肉たっぷりの内容で五〇年代のパリ画壇が実際のエピソードに基づいて描かれれている。主要な登場人物は架空の名前になっているが、アトラン、スーラージュ、ポリアコフ、ド・スタールなど実名で現れる画家たちも多い。

つづく
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by sumus_co | 2012-06-24 22:24 | 画家・林哲夫

個展八日目 シトロエンCX

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土曜日、好天。入場者多数あり。水彩画、そしてコラージュを何点かお求めいただく。戸田勝久さんのイナガキタルホへのオマージュ展が今日から始まったということで、会場のギャラリーロイユへ回られる方も少なくなかった。小生も帰り際にのぞかせていただいたが、タルホマニアだけあって充実した内容、タルホの色紙、短冊(戸田さん所蔵!)、テクストのコピーや書籍も展示されており、足穂ファンならずとも楽しめる展示だった。戸田さんも今春パリで挿絵本を買って来られたそうだ。

以下は本日の目玉ひんむき。ご来場いただいた某氏のシトロエンCX(セ・イクス)。一九七四年にデビューしたそうだが、翌年登場した高級仕様のプレスティージュ(Prestige)である。全長五メートルを超えるとか。内装がまたチョー、カッコイイ。メーターが独特で数字がくるくる回転する仕掛けになっている。ちょっとだけ座席に座らせてもらったが「サンダーバード、ア・ゴー!」という感じだった。

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by sumus_co | 2012-06-23 22:04 | 画家・林哲夫

個展七日目 永遠、それは…

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本日はお日柄もよく…初日を別にすれば、これまでもっとも入場者数の多かった一日(とはいえ台風、大雨でしたから仕方のない面もあります)。北野の洋館をスケッチに来られた熟年グループ、島田の常連の方々、井上さん(地階で個展されている方)の関係の方々などなど。『関西の出版100』の主要執筆メンバーである宮内さんもご友人と。宇崎純一展のチラシとポスターをもって与謝野晶子文芸館の林さんと、協力者の大浦さん。ブレーンセンターの社長さん(ここには書けないようないろいろ興味深い裏話をお聞きした)。海文堂書店の皆さんも。

初日のいちばんに「永遠、それは……(ランボオ)」を予約していただいたことで、その後、予想外にはずみがついた。昨年のメリーゴーランドに出品した「ランボオ」はすでに個展前にDMを見た方によって売約済みになっていた。その絵をご希望だった方(お求めいただけなかった)に今回はお求めいただいた。ランボオさまさまです。

ただ、この絵については、ある方よりランボオの絵葉書(新しいもの)を頂戴したことが直接のきっかけである。絵葉書を古く見せて、何かのオブジェと組み合わせようと思っていろいろ構図を考えた末にたどり着いた。

「永遠、それは……」という気取った題はランボオの「レテルニテ(L'Eternité 永遠)」の最初と最後に置かれた有名な詩句から一部をいただいた。鈴木創士訳(『ランボー全詩集』河出文庫)ではこうなっている。

 また見つかった。
 何が?ーー永遠。
 太陽とともに
 行った海だ。

 Elle est retrouvée.
 Quoi ? - L'Eternité.
 C'est la mer allée
 Avec le soleil.

これが堀口大学訳(岩波文庫)だとこうなる。

 もう一度探し出したぞ。
 何を? 永遠を。
 それは、太陽と番(つが)った
 海だ。

堀口訳は意訳が多いのが特徴ではあるが、この場合も鈴木訳は「行った」と素直に読んでいるのに反して、堀口訳は aller を「番う」というふうにひねりを利かしている。以前にも似たような比較を試みたことがあった。

『地獄の季節(地獄の一季)』から「一番高い塔の歌」(「最高の塔の歌」)
http://sumus.exblog.jp/4594260/ 

「allée avec le soleil.」は英語で言えば「Gone With the Wind」(風と共に去りぬ)と似たような表現になるから文語調なら「太陽とともに去りし海」でもいいかもしれない。ただし『風と共に去りぬ』もかつては種々の題名で発行されていたことは以前に触れた。

『風と共に去りぬ』の邦題について
http://sumus.exblog.jp/6521068/
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by sumus_co | 2012-06-22 21:43 | 画家・林哲夫