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The Nude

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歳暮の漢詩で締めようと思ったが、あまりに寒々しいので、ちょっとホットにケネス・クラークの『ザ・ヌード』(Pelican Books, 1970、ペリカンの三版、元版は 1956)を。もっと寒々しいって(!?)。一九五三年にワシントン・ナショナル・ギャラリーでメロン財団に招かれてレクチャーしたときの内容を三年がかりで単行本にまとめたものだそうだ。西洋美術におけるヌードの歴史と意味を探るというようなことだろう。

その昔、学生時代に日本語版で読んだ記憶があるが、覚えているのはひとつだけ。「ネイキッド」と「ヌード」はぜんぜん意味が違うということのみ。今、開いてみると、それは冒頭に書かれていた。ひょっとして冒頭しか読んでなかったのかも。

The English language, with its elaborate generosity, distinguishes between the naked and the nude. To be naked is to be deprived of our clothes and the word implies some of the embarrassment which most of us feel in that condition. The word nude, on the other hand, carries, in educated usage, no uncomfortable overtone. The vague image it projects into the mind is not of a huddled and defenceless body, but of a balanced, prosperous and confident body : the body re-formed.

クラークの著書では『ケネス・クラーク自伝 芸術の森のなかで 』(平凡社、一九七八年)も読んだが、その少年時代の豪勢な暮しの方が印象深い。そういえば、たしか日本でもクラークが案内役をつとめるBBCの「シヴィリゼイション」という番組が放送されていたことがあった。

それよりももっと思い出深いのは、イギリスのフォークストーンに住んでいたころ、近くのハイスというドーヴァー海峡に面した小さな村にあるソルトウッド城を偶然に訪ね当てたことだ。当時そのあたりの村村をスケッチをしようと絵具箱をかかえてうろうろしていたときに、たまたま中世の石造りのお城を見つけた。元来は五世紀に要塞として作られたという由緒ある建物だった。それを一九五五年に購入したのが、このケネス・クラークである。日本に帰って自伝を読んだときにそうだったのかと合点したはずだ。内部の公開はされていないそうだが、記憶では、城壁の中を歩いたような気がする(建物の中には入れなかったのかも)。鄙びてとてもいいところだった。

クラークの息子アランはサッチャー政権で大臣をつとめたそうで、今はアランが管理をしているらしい。ネットで見ると当時よりもきれいになっているように思える。

Welcome to Saltwood Castle
http://www.saltwoodcastle.com/

Castles and Fortifications of England / Saltwood Castle
http://www.ecastles.co.uk/saltwood.html

ということで良いお年を。
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by sumus_co | 2010-12-31 20:09 | 古書日録

歳暮

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 一出郷園歳再除
 慈親消息定何如
 京城風雪無人伴
 独剔寒燈夜読書

七言絶句「歳暮」、『頼山陽詩集』(註訳=頼成一+伊藤吉三、岩波文庫、一九四四年)より。文化八年(一八一一)の年の暮れ。京都で二度目の除夜を迎えて、親しい者たちを思いながら、風雪のために静かな夜、ひとり読書をしている……と本日の空模様にぴったり。年譜によればこの年《新町に寓す》とある。新町といえば、丸太町烏丸の西だろうか。

つづいて頼春水の五言律「歳暮書懐」、『春水遺稿』より。

 成人不自在
 自在不成人
 開此育英地
 置吾敷教臣
 官雖愧尸素
 志欲報涓塵
 歳月滄江晩
 令人感慨新

これと対になる「歳首書懐」に《半百看過去》とあるので寛政の九年ごろか? そうだとすれば松平定信に働きかけて朱子学を幕府正学とすることに成功した時期になる。

《十二月聖堂を改革し弘文館を学問所と改称し官立と為す。是歳魯人多く蝦夷に往来す》(大増訂国史大辞典)

微力ながら教育につくしてきたという自負と感慨だろう。《成人不自在自在不成人》はどう理解すべきか無学なので分からないが、ドラ息子(?)の山陽との対比で考えると面白いような気もする。検索するとどうやら出典は宋代『羅大經』(鶴林玉露) 卷九、引朱熹小簡らしい。
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by sumus_co | 2010-12-31 16:24 | 京のお茶漬け

桑島玄二詩集

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桑島玄二の初期の詩集がようやくここまで集まった。左から

・少ない雨量 エバンタイクラブ(広田善夫、西脇市)昭和三〇年六月一日
 装幀=津高和一
・工業の周辺 蜘蛛出版社(君本昌久、神戸市)一九六二年四月一日
 装幀=貝原六一
 http://sumus.exblog.jp/11732762
 http://sumus.exblog.jp/10917227
・今日の契約 エバンタイ・クラブ 昭和28年3月25日
・目測について 巨離社(野口正一、尼崎市)昭和27年4月10日
・竹薮 天秤パブリックス十九番 天秤発行所(伊田耕三、神戸市)昭和五十年十月一日
・輪 72 桑島玄二追悼号 輪の会(伊勢田史郎、神戸市)1992・11・10

『工業の周辺』と『輪』はMさんより譲っていただいた。『目測について』と『竹薮』は街の草さんで。『今日の契約』は某書店目録、『少ない雨量』は「日本の古本屋」より。これ以降は理論社、書肆季節社、編集工房ノアなどから刊行されており、比較的手に入りやすい。『sumus』12の「書肆季節社と政田岑生、そして桑島玄二」にリストを掲げているので参照されたし。『兵士の詩』、『白鳥さん』、『つばめの教室』、『近代文学遊歩』、『物言わざれば』が未入手。それらは評論などで、詩集に関してはすべて手許に集まった。

と思ったのだが、『目測について』のあとがき「ノウト」を読むと、

《戦い終つて間もなく、私は私の失つた年月と奪われた友達のためにのみ、百頁ほどの詩集を刊して、それに「錬金術」と名づけた。そのような名前を好むほどすこぶる中世的に、焦土の首都を彷徨していた。その頃といまと、すこし違う。
 ただその折、その詩集を飾つてくれた、杉山平一氏と衣更着信氏の美しい文章が、印象づいていて去らない。》

などと書かれていた。『錬金術』! まぼろしの詩集がまだあったのか。さらに、ご教示によれば、それだけじゃなくて『即興風に』(卓子くらぶ、昭和19年5月1日)までもあった。これはまだまだコンプリートの道は遠いようだ。『目測について』より「わが速度と速力について」の冒頭。

 凪の近く
 桃の花咲く
 古い里に生うて
 来る日も来る日も 額を切つた
 あの 錆びた秩序を
 いまこそ 黒い帽子とともに捨てれば
 髪は透いて 陽の傍で 炎え
 降りしきる新しい時間は
 わが皮膚に触れて 音たてて熟れた
 熱い肢体で
 砂を駆けあがる
 そのための姿勢に 速力を満せよ

『輪』72号より桑島の年譜(丸山創一)をかいつまんで引用しておく。

一九二四 五月一日 香川県大川郡白鳥町松原(現・東かがわ市)に生まれる。
一九三七 香川県立大川中学(現・三本松高校)入学。
     先輩に衣更着信がいた。
一九四四 高松高等商業学校(現・香川大学)卒業。
     いすず自動車入社。応召。陸軍航空通信隊で終戦を迎える。
一九四七 いすず自動車退社。金井重要工業入社。
一九五九 金井重要工業退社。自宅裏の工場で自営。
一九六〇 義兄経営の白鳥の手袋製造業・橋大商店の共同経営者となる。
一九六四 橋大商店倒産。広島の丸高建設入社。
一九六九 丸高建設倒産。大阪の高島屋工作所に移る。堺市に住む。
一九七六 大阪芸術大学非常勤講師。高島屋工作所退社。
一九七九 同専任講師。
一九八四 同助教授。
一九八五 同教授。
一九九二 五月三一日肝不全のため逝去。

同郷の詩人である衣更着信が『工業の周辺』の跋として「詩人の周辺」を執筆しているが、そのなかに中学時代の桑島がボン書店鳥羽茂を崇拝の的としていたと書かれている。おそらく、そのためではないかと思うが、石神井書林の目録から桑島の詩集を買ったとき、内堀さんが桑島本人にボン書店について尋ねたことがあるというようなメモを添えてくれた。そう言われると、処女詩集(?)である『目測について』など、どことなくボン書店ふうの姿かな、と思ったりもする。衣更着は跋文をこう締めくくる。

《桑島玄二が歩いた道には常に息苦しさと抵抗感が満ちている。学校、軍隊、工業ーどこへ行っても、かれはそこにやすやすととけこめた人間ではない。にもかかわらず、学校では優等生、軍隊では経理部幹部候補生、そして、工業ではトツプ・マネジメントのユニークなひとりである。与えられた息苦しい環境のなかで、かれは自分と闘うことによって生き、成績がそれについて行く。しかし、その闘志はどこから?》
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by sumus_co | 2010-12-30 20:56 | うどん県あれこれ

大和通信

受贈多謝のなかに『VIKING』720号(バイキングクラブ、二〇一〇年一二月一五日)および『大和通信』第87号(海坊主社、二〇一〇年一二月一〇日)を洩らしていたので追加しておく。書影は省略御免。

『VIKING』、中尾務さんの連載「VIKING 2」(十一)は久坂葉子の死についてなど。

《一九五二年の大みそか、久坂葉子(本名・川崎澄子)は、午後九時四五分、阪急神戸線の六甲駅において三宮発梅田行特急に飛びこみ、その生を閉じる。》

『久坂葉子詩集』
http://sumus.exblog.jp/6603181

久坂葉子資料手引き目録
http://sumus.exblog.jp/13423086

また『大和通信』での連載では『島尾敏雄日記』について書いておられる。『「死の棘」日記』(新潮社、二〇〇五年)と『島尾敏雄日記ー「死の棘」までの日々』(新潮社、二〇一〇年)に収録された島尾敏雄の日記にはすっぽりぬけおちている部分がある。島尾敏雄が一家で上京し、島尾の女性関係によって「死の棘」的状況が現出するまでの間、妻を狂気に追いやった夫の不行跡が消去されたかっこうになっている。

それは妻である島尾ミホによって廃棄処分されたと従来言われていたが、再生不可能なほどに破壊されて破片の状態で保存されていたことが判明した。『島尾敏雄日記ー「死の棘」までの日々』カバーにその写真が使用されている(http://www.shinchosha.co.jp/book/310107/)。それに関して中尾さんはじつに興味深いことを記しておられる。

《実は、八年前の秋、林富士馬の追悼会の翌日か翌々日かに、島尾の『こをろ』以来の友人、眞鍋呉夫さんから、筆者は、こんなことをおしえてもらっている。
「ぼくは、「死の棘」の女性を紹介したということで、はやくから島尾家に出入り禁止になっているけど、じっさいは、ちがうんですよ。あの女性は、ぼくのカノジョだったんです。ぼくが島尾に紹介したんではなくって、島尾がぼくからうばったんです」。》

う〜ん、なるほど。
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by sumus_co | 2010-12-30 12:02 | 写真日乗

山上夜雨歌集

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『山上夜雨歌集』(波屋書房、一九二三年一一月一日再版発行)。装幀は斎藤与里。川田順と矢沢孝子(明治十年兵庫県出身で『スバル』の歌人。山上の歌の恩師)の序文がある。これは以前にも少しだけ紹介した(http://sumus.exblog.jp/11972493/)が、カバー付きをごく最近入手したので再度掲げる。夜雨は本名貞一(1899. 1.13〜1971. 5.17)。劇評論家、小説家。早稲田大学中退、松竹大阪支社入社。岡本綺堂を師とした。共著、単行本には下記のようなものがあるようだ。

岡本綺堂編『ふたば集』 第五巻(波屋書房、一九二五年)「武士の敵」
岡本綺堂編『現代戯曲傑作集』 (日本図書更新社、一九二六年)
岡本綺堂編『ふたば集(戯曲)』 第六集(武蔵野書院、一九二八年)
短篇小説集『春鶯囀』(波屋書房、一九二六年)
『芝居見たまゝ二十五番集』(創元社、一九二九年)
戯曲集『出発前』(婦女世界社、一九三四年)

本書、奥付およびカバーでは再版となっている。ただ奥付頁をよくよく見ると、ノドのところで切り貼りしているのが分かる。カバーのない初版も架蔵しているので較べてみたが、どうやら奥付だけ取り替えたように思える。

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初版で返品になったものの奥付だけ刷り直して再版として再販する、ひとつの販売テクニックとして例のあったことらしい。本書もおそらくその手管が使われたか?

斎藤与里は明治十八年(1885)九月七日、埼玉県北埼玉郡樋遣川村(現・加須市)生れ。本名與里治。浅井忠の聖護院洋画研究所で安井曾太郎、梅原良三郎(龍三郎)らとともに学び、二十一歳でパリに留学、後期印象派やフォーヴを学んだ。大正元年、岸田劉生らとフュウザン会を結成。解散後は文展に出品した。大正十二年九月に大正日日新聞大阪本社に学芸部次長格として迎えられ、翌年、大阪美術学校(校長・矢野橋村)の設立に協力、洋画部教授となる(以上、加須市のHPより)。

「巻末に」に本書刊行の経緯が書かれている。

《常に私の芸術に対して深甚な理解を有つてゐてくれるある人[三字傍点]に、久振りに逢つたのを幸ひに私の抱負を語つて後援を頼みました。抱負と言つても別に大した事でなく、(一)自作戯曲の発表機関誌の発行。(二)創作集の刊行。(三)歌集の出版。といつたものです。するとその人は歌集の出版に対して多大の後援をすることを誓つてくれました。》

この「ある人」は宇崎純一の弟祥二ではないだろうか。生年が近い(祥二は明治三十三年、貞一は三十二年)のと、後援の内容が出版のことばかりだから、おそらくそうだろうと思う。

 *

岡本綺堂といえば『日本古書通信』977号に八木福次郎さんが「岡本経一氏逝く」という記事を寄せておられる(中野翠さんも朝日の読書欄で触れておられたが)。昭和六十三年一月、二月、同誌に八木氏との対談「青蛙房主人の世界」を連載しているそうだ。その要約が出ているので、さらに要約しておく。

明治四十二年三月岡山県の勝間田生れ。旧姓森部。十二三歳で郷里の先輩額田六福を頼って上京、食堂や新聞配達などを経て岡本綺堂の書生となり、昭和十二年六月には岡本家の養嗣子となった。昭和十九年応召、北支で終戦、シベリアで強制労働を強いられ二十二年秋に復員した。作家・劇作家を目指したこともあったが、出版に転じ、『舞台』編輯、サイレン社、大東出版社を経て昭和三十年十二月に青蛙房を創立。三田村鳶魚、柴田宵曲らとの知遇を得て出版方針が定まった。青蛙房の出版総点数はおよそ四百。その活動に対して昭和四十二年に菊池寛賞、六十四年に長谷川伸賞を受けた。現在は長男修一が継承している。平成二十二年十一月十五日歿。百一歳。
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by sumus_co | 2010-12-29 21:10 | 宇崎純一資料

神戸新聞「新兵庫人・新兵庫人輝く」

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『神戸新聞』の「新兵庫人」第二十一部は「本の森から」と題して十二月中に四本の特集記事が掲載された。(1)出版の水脈では平尾隆弘(文藝春秋社長)、間村俊一(装丁家)、村松信人(澪標)、香山哲(漫画家)が、(2)装丁の道では多田和博(装丁家)、戸田勝久(画家・装丁家)、須川誠一(須川バインダリー)、延命光行(創文社)が、(3)書店の根幹では工藤恭孝(ジュンク堂書店会長)、福岡宏泰(海文堂書店店長)、平松二三代(ひつじ書房)、森忠延(井戸書店)が、そして(4)古書の狩人では林哲夫(画家)、浜松彰(勉強堂書店)、尾内純(口笛文庫)、野村恒彦(畸人郷主宰)が紹介されている。

かなり業界に通じた人選だと思った。電子書籍元年にそれぞれの分野でそれぞれ思いを抱きながら「本」にこだわっている人々を訪ね歩いたという感じか。兵庫県の書物力がかなり高いということが分かるような気がする。それにしても、なにがそんなにうれしいのかねえ、このおじさん……。
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by sumus_co | 2010-12-29 14:45 | 著述関連

讃州堂書店/リバー書房

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讃州堂書店の鉄道線路をはさんで真向かいにある建物。なかなか絵になるなあと思ってパチリ。今回は読むための文庫本を探す(病院の時間待ちだとか)つもりが、こんな本を買ってしまった。

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『字学夷考』。題箋も刊記もない。内容は易にいわくから始まって、中国の字(書)の歴史をのべてわが国にいたる。ひとえにこの印刷技法に魅かれて。以前求めた『長谷寺縁起文』と同じように文字の白い部分は紙の表面を剥ぎ取ったように凹んでいる。同一かどうか『字学夷考』で検索すると小田切圖南の法帖(文政四年上梓)がヒットした。

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リバー書房は高松市の目抜き通りに面している。こちらにもいろいろ欲しい本はあったのだが、軍資金の関係もあってながめるだけで終った。一冊だけ、大木惇夫『海原にありて歌へる』(アルス、一九四三年四月一〇日)の裸本を迷ったすえに購入。迷ったのは裸本だからだが、しかし裏の見返しに貼ってあった書店のレッテル「教育図書/書肆・回天堂/京都・河原町・四条北/電話本局(2)五三二二番」の魅力に負けた。また奥付を見ると印刷者に松岡虎王麿の名前が出ている(三鐘印刷株式会社=東京市神田区錦町三ノ一一)。このブログにおける松岡虎王麿についての記事は下記。

ボードレール『巴里の憂鬱』
http://sumus.exblog.jp/8517928

渋川玄耳『支那閨房秘史』
http://sumus.exblog.jp/10368154

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『海原にありて歌へる』は昭和十七年にジャワのジャカルタにあるアジヤ・ラヤ新聞社のアジヤ・ラヤ出版部から発行された(これは稀覯本。昔、ある目録に出ていたのを見たことがある)。「国内版あとがき」で出版の経緯に触れたところに活字の話が出ているので引いておく。

《日本語のわからぬ現[ママ]住民を使つて、さらでも不足してゐる日本活字の中から出来るだけ綺麗な活字を選び出し、大小、幾通りかの活字を写真によつて或は縮小し或は拡大して一体に統一し、その一字一字を台紙の一齣一齣に貼つけ、ルビも同様の工程の後に丹念に貼つけ、何回かの校正を了したものを更に写真製版して出来上つたのである。》

これだとオフセット印刷だったということになろうか。
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by sumus_co | 2010-12-27 20:43 | うどん県あれこれ

県庁

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なんとか帰宅しました。こんなところへ行ったりしていました。
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by sumus_co | 2010-12-26 18:02 | 写真日乗

昨日の眺め

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天野忠『詩集 昨日の眺め』(第一芸文社、一九六九年一〇月一日、212×156mm、91pp、装幀=中塚勝博)。カバー、表紙、奥付。第一芸文社については『書影でたどる関西の出版100』(創元社、二〇一〇年)の山本善行による記述をご覧いただきたい(その図版のひとつに山村順『枠』が出ているが、これは湯川成一さんから小生が頂戴したもので、山本氏に譲った想い出の一冊)。中塚勝博は社主である。

この『昨日の眺め』もやはり某氏より頂戴した。珍しい本だと思う。有難きことこのうえなし。作風としてはニヒルで重い感じが徐々に裏返ってくるような過渡的なものではないかと思う。ここを通過すると例の軽々としたヒューモアが漂ってくる。

「あとがき」より

《五十才になったとき、ギャッと叫び度くなった程、自分の在りように驚いた。六十才になった今、オヤオヤと思うばかり。そしてあたりをソロッと見廻したりしている。このごろ少しばかり、躰に肉がついてきたような自覚がある。生れて初めてのことで、これもオヤオヤと思う。そして何だか妙に手持ぶさたで、肉親の顔をまじまじ見たりする。》

今、見返しをふと見ると「忠」と細めの万年筆で目立たないように書かれている。ご本人のサインか? よし!

 * * *

今年は引越以来三年振りに本を大幅に処分した。そのせいでもないが、そのせいもあるが、古本を買った冊数も例年よりは少ないと思う。うれしかったものベストテン選んでみた。

・小さな町 小山清 http://sumus.exblog.jp/13629204
・江戸庵句集 籾山仁三郎
・俳文評釈 坂本四方太
・今日の契約 桑島玄二
・テリア犬の知識 http://sumus.exblog.jp/14345965/
・川上氏りいどる絵本 川上澄生 http://sumus.exblog.jp/14471418/
・本の話 由起しげ子 http://sumus.exblog.jp/14589910/
・LOGIQUE DU SENS, G.DELEUZE
・マゾヒストたち トポール http://sumus.exblog.jp/13267600/
・大沢昌助絵葉書 http://sumus.exblog.jp/13787253

ドゥールーズはミニュイ版三冊五百円だったから。このなかでいちばん高額な買物は『今日の契約』(!)。桑島玄二単行本コンプリートにはまだまだ……。

 * * *

急用ができてしまい、明日からしばらくブログを休ませていただきます。たぶん一週間くらいになると思いますが、みなさま善き年末をお過しください。
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by sumus_co | 2010-12-18 18:10 | 古書日録

第2回古本きんどう市 本日最終日

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きんどう市スナップ
http://konohanas.exblog.jp/

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日時/2010年12月10日(金)11日(土)・17日(金)18(土)10:30-18:00
   (最終日は17時閉場)

場所/used books このはな文庫
   大阪市中央区淡路町2-5-8 船場ビルディング213号
   電話 06-6228-5300 FAX 06-6228-5445

アクセス/
   地下鉄御堂筋線 淀屋橋駅 (11番出口) 本町駅 (1番出口)
   地下鉄堺筋線 北浜駅 (6番出口) 堺筋本町駅 (17番出口)
   いずれも徒歩7分ほど。淡路町通り北側、黄土色のタイル張りの建物です。
   お車でお越しの方は付近のコインパーキングをご利用下さい。

ご参加下さいます箱主さま/

   古本オコリオヤジ http://sumus.exblog.jp/
   善行堂 http://d.hatena.ne.jp/zenkoh/
   古本くうきむし http://d.hatena.ne.jp/airbug/
   moderna(モデルナ) http://moderna.jp/
   スナバブックス http://ameblo.jp/sunaba/
   旅するふるほん屋 ぼちぼち堂 http://izou.exblog.jp/
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by sumus_co | 2010-12-18 09:56 | もよおしいろいろ