林蘊蓄斎の文画な日々
by sumus_co
カテゴリ
古書日録
もよおしいろいろ
おすすめ本棚
京のお茶漬け
東京アレコレ日記
佐野繁次郎資料
宇崎純一資料
渡邊一夫の本
青山二郎の本
spin news
読む人
パリ古本日記
写真日乗
あちこち古本ツアー
装幀=林哲夫
著述関連
画家・林哲夫
雲遅空想美術館
淀野隆三関連
喫茶店の時代
うどん県あれこれ
貧乏こっとう
ほんのシネマ
以前の記事
2017年 03月
2016年 11月
2016年 01月
2014年 02月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
more...
フォロー中のブログ
フランス落書き帳
フランス美食村
退屈男と本と街
ニューヨークの遊び方
gyuのバルセロナ便り ...
奥成達資料室blog版
空ヲ洗フ日々 十谷あとり
浅生ハルミンの『私は猫ス...
古書渉猟日誌
bookbar5
わたしつくるひと
猫額洞の日々
トスカーナ オリーブの丘...
フォロニアム
昨日の続き
モンガの西荻日記
往来座地下
天音堂★山口ヒロミ工房_...
NabeQuest(na...
フランス古道具 ウブダシ
Mの日記@古本T「たまに...
日常と夢の記憶
Gallery Shim...
and so on...
亡兎観現世
石のコトバ
ボローニャに暮らす
糸巻きパレットガーデン
Kumatetsu Ga...
Muntkidy
Lenzgesind
奈良 智林堂書店  
うらたじゅんの道草日記
高遠弘美の休み時間・再開...
ネジ式
さし絵のサイン
机の上で旅をしよう(マッ...
森のことば、ことばの森
新潟絵屋Blog
オックスフォード便り
白 の 余 白
Madame100gの不...
ツレヅレナルママニ(みど...
関西の出版社
めぐり逢うことばたち
古本万歩計
りはびりカメラ
ムッシュKの日々の便り
Books & Things
ちらしDMコレクション
ネコと文学と猫ブンガク
daily-sumus2
最新のコメント
今はネット古書行脚でしょ..
by sumus2013 at 20:41
学生時代は、カンダの古本..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 07:34
御教示に深謝です。蓜島氏..
by sumus_co at 08:37
「『正誤正刪『日本近代文..
by MY at 11:05
了解いたしました。
by sumus_co at 08:30
神谷様 御教示に深謝いた..
by sumus2013 at 20:06
神谷道一と神谷由道は親子..
by 神谷 at 15:59
kikiさま コンドルで..
by sumus_co at 15:53
ジャン・コクトーだなぁ。..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 06:59
先日来、調べごとをし..
by kaguragawa at 22:13
メモ帳
お問い合わせはこちらまで

本を散歩する雑誌 [スムース]
洲之内徹略年譜
『書肆アクセスの本』
ほんまに日記
恵文社一乗寺店
Calo Bookshop & Cafe
貸本喫茶ちょうちょぼっこ
BOOKONN
奥付検印紙日録
とらんぷ堂
書肆砂の書
みずのわ編集室
みずのわ放送局
エエジャナイカ
蟲文庫
古書日月堂
海月書林
田中栞日記
古書の森日記
日用帳
なえ日記
lady pippon
古書現世店番日記
海ねこ的日々の暮し
m.r.factory
ナンダロウアヤシゲな日々
内澤旬子・空礫絵日記
四谷書房日録
森茉莉街道をゆく
ねこそぎ記念
本の街日記
リコシェ
旅猫雑貨店
津田明人
北方人日記
柳居子徒然
駅前糸脈
日々のあわ.。o○
晩鮭亭日常
空想書店書肆紅屋
bibliomaine mod
autographes et …
BiblioMab
Le blog de Yv
Le Monde
Gibert Joseph
bnf
BRITISH LIBRARY
Galaxidion
Library of Congress
Strand Bookstore
The Book Design Review
penguin blog
Mark Simonson Studio
modernmechanix
くうざん本を見る
神保町系オタオタ日記
ma-tango
jun-jun1965
書物蔵
スローラーナー
本はねころんで
漁書日誌
城戸朱理
町家古本はんのき
古書ダンデライオン
Kanecoの日記
吉岡実の詩の世界
qfwfqの水に流して
古本屋ツアー
清水哲男
Automat svět
細馬宏通
中野晴行
古通・編集長日誌
昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板
喫茶・輪 
古本ときどき音楽
本と暮らす
ウロボロスの回転
表現急行
tundowの日記
盛林堂日記
フクヘン
ですぺら
花森安治の装釘世界
文壇高円寺
ぶろぐ・とふん
medievalbooks
マン・レイと余白で
okatakeの日記
古本ソムリエの日記
最新のトラックバック
京都印刷発祥之地 記念碑建立
from 印刷見聞録|からふね屋|京都
本を散歩する雑誌 [スム..
from 相互に旅をする人
土曜日のブックオフ
from 古本万歩計
[書評][詩歌に寄せるエ..
from 読書百篇
第33回西荻ブックマーク
from 西荻ブックマーク
北野武似の少年は夏休み、..
from 月の風ノート
【ライト兄弟】についてブ..
from 最新キーワードチェック!
『田辺茂一と新宿文化の担..
from じんぶんや「紀伊國屋書店と新宿」
美の名言
from 美の名言
横尾忠則の小説
from Mの日記@古本T「たまにはス..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2009年 10月 ( 38 )   > この月の画像一覧

百万遍・青空古本まつり

京阪電車の出町駅から歩いて京都大学を目指す。ここが百万遍の交差点。向こうの建物が京大の一部。今出川通りを東に歩いている。
b0081843_2172165.jpg

交差点を渡ってなおも東へ行くと数軒の古本屋あり、それを過ぎれば目的地、知恩寺の山門が。(ちょっと行き過ぎて撮っています)
b0081843_2193586.jpg

会場地図を確認して作戦を練る(?)
b0081843_21113718.jpg

まだ十時前、古本供養の時間なのでビニールシートがかかったまま。
b0081843_21122466.jpg

いっせいにブルーシートが取り払われ、販売開始。それにしても百円均一コーナーがないというのは、気合いが入らないことはなはだしい。
b0081843_21145295.jpg

b0081843_211519100.jpg

b0081843_21153329.jpg

b0081843_21155148.jpg

b0081843_21165443.jpg

b0081843_21181891.jpg

b0081843_21183084.jpg


いろいろな人に会ったがそれは省略。宇崎純一『新絵画の手本』(家村文翫堂、一九二二年十版)も一冊入手(!)。といってもこれはMさんが発見して安く譲ってくれたもの。どこかの店に百円均一はないかと会場をさまよっていると、ありました、隅っこの方に床机ふたつ分ほどのスペースを埋めてある。背がずらっと並んでいる、そのなかのなるべく汚い背を(文字の読めない背を)選んでは引き抜いていると、おや? という一冊があった。

表紙に「那珂著/銀の匙/岩波書店」。奥付(大正十年十二月十日発行)を見て、まえがきを読むと、どうやら初版本らしい。とても簡素な造りだ。状態は悪い。背は傷み、表紙はかろうじて一本の麻紐でつながっているありさま。中勘助にはそう興味はなかったが、先日、灘高で「銀の匙」をずっと教えていたという先生の番組を観たばかり。とにかく百円だ、買っておく。

スミカズと『銀の匙』でいい心待ちになってあとはぶらぶら流して歩く。某書店の五百円均一をながめていると、ほるぷの復刻版数十冊並んでいた。そのなかに『銀の匙』がある。手にとって本体を箱(復刻のための保護箱)から引き抜くと、まさにさっき百円で買ったのと同じ「那珂著/銀の匙/岩波書店」の表紙が目に入った。よっしゃー!
[PR]
by sumus_co | 2009-10-30 22:13 | あちこち古本ツアー

私的読書空間〜音楽〜

b0081843_2151248.jpg

b0081843_21511875.jpg

b0081843_21514284.jpg

b0081843_2152731.jpg


知恩寺からふらふら歩いて疏水沿いの「trico+」へ。『音楽と本と人』(café de poche、二〇〇九年)を頂戴する。というのもアンケートに答えているから。これ、とてもいい出来。あの人はこんな音楽が好きなんだ、などと妙に納得したりして。会場にも音楽本のコーナーもあり、また一箱古本も並んでいる。「スクラップブック」の箱から小野十三郎の『大海辺』(弘文社、一九四七年)を。ちょうど来合わせた『Sanpo magazine』の西川さん、BOOKONN氏、はんのきの中村氏などとあれこれおしゃべり。

b0081843_2023422.jpg

b0081843_20241371.jpg


ブックカフェイベント「カフェ・ドゥ・ポッシュ」
café de poche

trico+
[PR]
by sumus_co | 2009-10-30 22:12 | もよおしいろいろ

古本ワンコイン ガ

b0081843_22172994.jpg


「trico+」を出て白川通りへ。ガケ書房を目指す。途中に全適堂があるのでちょっとのぞく。

b0081843_2217409.jpg


ガケ書房では税込み500円の古本市をやっている。安東次男の『古美術の目』(ちくま文庫)があった。迷ったけれど、天地小口をバリバリに削ってあるのでやめた。百円ならともかく。しかしそれに代わる一冊を発見。ノエル・アルノー『ボリス・ヴィアン—その平行的人生』(浜本正文訳、書肆山田、一九九二年、装幀者=加藤光太郎)これがワンコインは有り難い! 他にもかなりいい本があってびっくり。山下店長、BOOKONN氏としばらく雑談。

5番のバスで帰宅の途につく。修学旅行生と中高年の観光客で満員の状態で三条河原町まで。四条まで乗るとそうとうかかりそうなので三条で降りて四条河原町まで歩くのだ。途中、何度通っても丸善がカラオケ店になっているのは納得できない。
[PR]
by sumus_co | 2009-10-30 21:16 | あちこち古本ツアー

スミカズ画集 妹の巻

b0081843_20483995.jpg


b0081843_20485027.jpg


b0081843_2049460.jpg


b0081843_20491636.jpg


宇崎純一『スミカズ画集 妹の巻』(エミヤ書房+杉本梁江堂、一九一一年三月三日)。これが宇崎純一の最初の画集と思われる。明治四十四年三月発行。『夢二画集春の巻』(洛陽堂、一九〇九年)に遅れること一年半である。エミヤ書房(書店)も杉本梁江堂もともに大阪の出版書肆。後者は現在古書店となっている。エミヤの書皮を以前紹介した。

 この巻をやがて別れなければなぬ
 我がなつかしき人達にさしあげます

と巻頭に印刷されており《我がなつかしき人達との離散は、眼の前に迫つて来ました。私の春は、もう尽きて了ふのでせう。》《この紀念の画集を抱いて、冷たい涙を流しながら、暗い家に生きねばならぬ。/「思ひ出よ」お前ばかりが私の情人になるのでせう。》などという前書きに続く。

スミカズ二十二歳。《我がなつかしき人達》をどう解釈すればいいのか。純一は市岡中学(現・大阪府立市岡高校)中退という見方が有力であるが、実際のところは何も分からない。例えば、絵を東京の画塾かどこかで学んでいたとすれば(そう書く資料もある)、東京から大阪へ戻って家業(難波南海通で食品販売などをやっていた)を手伝うのだ、みんなさようなら、というような意味にもとれる。ただこの画集の前にすでに絵葉書のシリーズを大阪の版元(少なくとも二つの)から出版していたようだから、それは東京である必要はないかもしれない。

処女作だけに夢二を意識しているのは明らか。サインが四角にスというのも夢二の初期のサインに似通った形である。絵柄に夢二ほどの自在さは見えないにしても、なかなか魅力的な女性像を作り上げているように思われる。

この出版に当っては幼少よりの親友田村華陽(小説家、詩人)の強い支持と推薦があったようだ。本文にも田村の手紙を何通か引用している。田村は文学雑誌『白楊』(白楊社)を発行し、そこには与謝野晶子や若き百田宗治も寄稿していた。この雑誌については『spin』06の瀧氏の論考に詳しく、創刊号掲載の晶子や百田の作品が全篇引用されているので、ぜひお読みいただきたい。

スミカズについてはまだこの十代後半がまったく謎で、何かその行動を物語る物証が欲しいところなのである。明日、百万遍に落ちてないかなあ……。
[PR]
by sumus_co | 2009-10-29 21:38 | 宇崎純一資料

spin06 宇崎純一の優しき世界 新刊!

b0081843_17304716.gif


11月1日発売予定!

目次

01 宇崎純一の優しき世界 図版=カラ−16頁+モノクロ8頁
  [絵葉書・書籍デザイン・色紙・原画]
25 宇崎純一ノート…………瀧克則
41 スミカズの色紙について思うこと…………大浦一郎
44 宇崎純一著作等出版関連年譜[稿]
53 手紙が語る戦争…………島利栄子+松本喜美子+長田松代+柳原一徳
78 淀野隆三日記を読む 六…………林哲夫
110 みずのわ編集室6…………柳原一徳

◉瀧氏の論考「宇崎純一ノート」は、スミカズの出生について子息の宇崎明夫氏より詳しく聞き取りをした調査から、驚くべき事実を明らかにしている。驚くべき、とはちょっとオーバーながら、その事実を知ると、スミカズが絵師になった理由がなんとなく分かるような気がする。また晩年、戦後の苦闘時代の様子も初めて記録されている。

肥田晧三氏や生田誠氏のご協力も得て、カラー口絵16頁、モノクロ図版8頁を割き、スミカズ抒情画の粋(すい)を再現するように努めた。「宇崎純一著作等出版関連年譜」はまったく不充分ながら、とにかく今判明しているスミカズの仕事を一覧表にした試み。参考文献についてもリストアップした。現時点では宇崎純一についてのベストな資料となっているはず。「関西の夢二」なんて言わせない、スミカズはスミカズだ、というところを見ていただきたい。

◉「手紙が語る戦争」は東京堂書店でのトークの記録である。分かりやすく、貴重な活動が語られており、淀野隆三日記とともに、ぜひお読みいただきたい。

◉残念ながら鈴木創士氏は体調不良のため休載、北村氏も同じく。次号をご期待ください。

みずのわ出版
[PR]
by sumus_co | 2009-10-29 20:47 | spin news

砂時計 絵と歌

b0081843_19443857.jpg


b0081843_19445074.jpg


b0081843_1945165.jpg


『砂時計 絵と歌』(文翫堂、一九二二年九月一日)、絵=宇崎純一、短歌=段谷秋比登。タテ135ミリ、ヨコ85ミリほどの掌に乗るような愛らしい本。口絵三点、本文に六十二点ペン画の挿絵がある。歌を三つほど引用しておく(行分けは本文通り)。

 しみじみと哀れを感じアルベエルサマン
 の詩集閉ぢし春の夜

 人気なき夏のをはりの浜寺の夕をゆきて
 涙にぢみし

 天下茶屋円山の上にひとり来てひよろ松
 の幹に夕陽をなげく

こんなおセンチな歌が並ぶ。浜寺、天下茶屋は大阪南郊、宇崎純一や段谷には親しい土地だったと思われる。アルベエルサマン(Samain, Albert Victor, 1858-1900)はフランス象徴派の詩人。父を早く亡くして青年時代から勤めに出た。パリ市役所に職を得ながら有名なカフェの「黒猫(シャノアール)」などで詩の朗読を続けていたが、一八九三年に処女詩集『王女の庭で Au jardin de l'Infante』を刊行して名声を確立した。しかしその七年後には肺結核で亡くなっている。

日本では堀口大学が熱心に紹介しており、アルス泰西名詩選から『サマン選集』を出したのが大正十年だから、この『砂時計 絵と歌』の前年ということになる。ここでいう《アルベエルサマンの詩集》はおそらくアルス版を指すのだろう。大学訳『月下の一群』にもサマンは十七篇取り上げられている(講談社文芸文庫版による)。

大正十一年はワシントン軍縮会議があり、京都では全国水平社の創立大会が開催された。流行歌は北原白秋・中山晋平の「砂山」、千野かほる・鳥取春陽「籠の鳥」。『コドモノクニ』(東京社)が創刊されて児童雑誌ブームでもあった。

『spin』06「宇崎純一特集」は絵葉書を中心にしてスミカズのおいしいところを楽しんでもらえるように編集した。またコレクションにも役立つように資料的な配慮もしたので、お買い求めいただいて損はありませぬ。

÷

京都新聞の文化欄で湯川書房のことを記事にするらしい。G記者が取材に来た。何年か前にやはり『sumus』のことを取材してくれた女性。湯川夫人にもお話をうかがい、きちんとした記事になるようだから、期待しておこう。
[PR]
by sumus_co | 2009-10-28 21:04 | 宇崎純一資料

美術画報

b0081843_19552077.jpg


『美術画報』554号(画報社、一九二三年八月二三日)。この雑誌は明治二十七年に『日本美術画報』として出発し三十二年六月から『美術画報』と改題、今、調べたところではこの次の号、555号(一九二四年一一月)までは出ていたようだ。次の号まで一年以上の間があるのはもちろん関東大震災のせいである。

554号は震災直前号(といっても神のみぞ知る)。いろいろ面白い記事が出ている。まずは法隆寺に防火設備を備えようという委員会が開かれた話題。

《其工事の一般は法隆寺背後の山に一大貯水池を設け其より水を引いて之れを鉄管で配水する事。尚進んで目下研究中なのはスピリンクラーと称し火災あれば自然的に放水する装置で京大教授で専門家の大井清一、武田伍一の両博士が担当する事になつた、予算十四万円。》

ウィキによれば、この貯水池は昭和九年の大修理の際に設置され、昭和二十四年の金堂火災のときには初期消火に利用されたそうである。

もうひとつ興味を引かれたのは浮世絵コレクター、ゲラン神父の展示会。

《神父ゲランの浮世絵展観 日本に来てから二十一年間一日も浮世絵から離れなかつたローマカトリツクの神父ジエー・エヌ・ゲランさんは虫干しには絶好と見定めた八月一日、所蔵の浮世絵数百点を横浜山手町字見晴し邸宅で行つた。玄関客間食堂寝室廊下と軸や額に仕立られた浮世絵に充たされてゐた。》

こんな神父さんがいたというのは初耳。カトリックなら当然「カトリック山手教会聖堂」の神父に違いない。文久元年12月13日(1862年1月12日)、パリ外国宣教会が居留地八〇番に建てた横浜天主堂がその前身で、同会は明治三十九年に山手四四番に煉瓦造の聖堂を建設するが、これは関東大震災によって完全に破壊された。ということはゲラン神父の住居も、はたまたコレクションも失われてしまったのだろうか。ゲラン神父自身も無事だったかどうか?(横浜の方、調べたら面白いかも、ですよ。あるいはすでに何かありますか。検索ではヒットしませんでしたが)

今、このカトリック山手教会(昭和八年に再建)を検索しながら、その外観の写真を見て、何ともなつかしい思いにとらわれた。東京に住んでいた頃ここへスケッチに行ったことがあるのだ。ごくごく素直にファッサードと塔を描いた。その絵はとっくに手放しているが、わりと好きな作品だったのでよく覚えている。

÷

トラックバックしてくれた「古本万歩計」さん。古本ブログに楽しみが増えましたよ。

http://dixit.exblog.jp/
[PR]
by sumus_co | 2009-10-27 20:58 | 古書日録

水いらず・壁

b0081843_2014568.jpg


サルトル『水いらず・壁』(矢吹武彦+吉村道夫訳、世界文学社、一九四六年)。世界文学社の代表作だろう。『sumus』4号に扉野良人氏による多田道太郎氏からの聞き取りがあるが、それによれば、社主の柴野方彦は

《東大の心理学科を出ているそうやねェ。なんでそんなとこ出て京都で出版社を開いたんやろ。ぼくの記憶では、柴野方彦というのは敏腕のジャーナリストいうふうに聞いていた。それから文藝春秋にも居たそうやわ。》

ということである。そしてこの「水いらず」というタイトルについてこう述べている。

《サルトルの〈Intimité〉いう小説を『水いらず』というのは伊吹さん風やなぁと笑ってた記憶がある。ぼくは Intimité いう名前でずっと覚えてた。「親密さ」いうだけの意味やからね。》

「水いらず」は悪くない訳語のようにも思うが。当時二十二歳の多田氏の世代には少し古風に思えたか。まして原文で読んでいれば肩すかしを食ったような感じがしたかもしれない。

伊吹武彦は三高、東大と進んで三高から京大で教鞭をとった。三高時代には北川冬彦、飯島正、淡徳三郎、大宅壮一、山口誓子らと同期だったようだ(伊吹武彦『ベレー横町』中外書房、一九五八年)。ということは淀野隆三や桑原武夫の三つ上級である。

世界文学社は雑誌『世界文学』を発行していたが、それは伊吹が編集長として采配し、平井啓之(東京支社)や金関寿夫らが働いていた。『現代詩手帖』(一九七六年一一月号)「増頁特集・文学的アメリカ」の座談会にはこういうくだりがある。昭和二十一、二年の事。

《金関 それじゃあぼくが「世界文学」をやってた頃だな。
篠田[一士] そう。だからあなたはあなたで京都で「世界文学」をやり、それから「アメリカ文学」というこれもまたぼくには忘れがたい雑誌なんだけど、それをせっせとやっておられた。金関さんの「アメリカ文学」という雑誌は変ってましてね。清水光さんとか、つまり、戦前の映画を主体としたアメリカに対してアンチ・アメリカニズムの偏見をもたない珍しい人たち、そういうインテリが集まって作った雑誌でしょ。》

雑誌『アメリカ文学』については以前取り上げた。

http://sumus.exblog.jp/7381659

第四号から高桐書院に版元が移ったのだが、金関はそれには触れておらず、淀野隆三を『アメリカ文学』の寄稿者として数えているのみ。彼の記憶では全部で九冊出たという。それにしても篠田の《アンチ・アメリカニズムの偏見をもたない珍しい人たち》という認識はどんなものか、べつに珍しいとも思わないが。富士正晴によれば金関は柴野方彦について何か書くつもりで準備していたらしい。それはどうなったのだろうか、惜しいことである。

÷

朝日新聞に書評の出た『書肆ユリイカの本』(青土社、二〇〇九年)だが、「日本の古本屋メールマガジン」その84で、田中栞さんは「まだまだ蒐集は終わらない」を書いておられて、それによれば入沢康夫『倖せそれとも不倖せ』のビニール袋つき完本を入手されたとか。その値段、その買いっぷりの良さには感嘆のほかない!

バックナンバーは下記(現時点ではまだ84はアップされていないですが)
http://www.kosho.ne.jp/melma/
[PR]
by sumus_co | 2009-10-26 21:32 | 古書日録

さくら

b0081843_2181810.jpg


時期外れだが、ヘディン『中央アジヤ探検記』(岩村忍訳、創元文庫、一九五三年)に挿んであった押し花。桜だろう。この本の元版は『中央亜細亜探検記』(富山房百科文庫、一九三八年)、さらに一九五三年に、ということは創元文庫と同じ年だが、角川文庫から『中央亜細亜探検記』が出ている。文庫の競演というところ。現在の古書価はいずれも大体500〜1500円の間である。これはサクラのせいか50円だったけど。

÷

b0081843_2183460.jpg


永田助太郎の写真が『明治・大正・昭和詩史』に出ていたので掲げておく。昭和十年頃新宿にて、左が永田、右は近藤東。トリミングはほぼ掲載通り。なんとなく左側にまだ人が写っているような切り方だ。
[PR]
by sumus_co | 2009-10-25 21:24 | 古書日録

ロアルド・ダール

b0081843_20541375.jpg


善行堂へ向って歩いていると、古本メールのMさんが隣の竹岡書店の店頭に貼り付いて何か買っていた、かと思うと、サッと善行堂に入った。追いかけてみると「サインしてください」と店主に求めている。『関西赤貧古本道』(新潮新書、二〇〇四年)を見付けたのだった。さすが目敏い。

町家古本はんのきの中村氏も来ていたので世界文学社の資料を渡す。蟲文庫を訪ねたことを興奮気味に語る。岡山は他の古本屋も充実しているようだ。善行堂は本がかなり増えている。階段が上がれなくなっているし、テーブルの上にも周りにも山積み。棚よりもまだ値段のついていない平積みの方へ目が行く。そのなかに一冊スッバラしいものがありました! また波屋書房の本も買わせてもらったし、古本まつりを前にしてはずみがついた(といっても今回は所用にて初日だけ参戦の予定)。

その後扉野良人氏が制服姿(僧衣)で来店、出来上がった看板を前に1日のイベントの打ち合わせなど、店主と。そこへ黒岩比佐子さんと牛津太郎先生が登場。黒岩さんは関学主催の講演会の帰途立ちよられた。明治本はもちろんのこと、その他いろいろ話は盛り上がった。なかでは『柳田泉の文学遺産』の部数を教えられて驚いた(黒岩さんは第一巻の解説を書いておられる)。これは古本者なら買っておくべき貴重な本になりそうだ。しかしいちばん声が高くなったのは原稿料の話、とうていここには披露できないフリーライターとして舐めた辛酸の数々……。赤貧ライター覆面座談会を本すれば、ぜったい売れる。

いやあ愉快な半日だった。……と、と、上の本はロアルド・ダールのペーパーバック。デザインが面白いので何もなければ買おうかと思ったが、大収穫があったので、また今度にしておいた。
[PR]
by sumus_co | 2009-10-24 21:46 | 古書日録