林蘊蓄斎の文画な日々
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区内の郵便局の本局へ用があって出向いた。窓口の横で老人が担当者をつかまえて苦情を述べ立てている。べつに聞くつもりもなかったが、大声でなじっているので、しぜんと耳に入ってきた。なにやら、ご当人は家にいたのに、不在配達表が郵便受けに入っていたらしい。
「これから老人がどんどんふえてゆくのにやで、こんなことでは困るやろ、ちゃんとしてもらわんと」
まあ、たしかに一二度チャイムを鳴らしたくらいでは、耳が遠いと、聞こえないこともあろうし、聞こえたとしも、戸口に向うまでにひまがいる。配達員もそのあたりの見極めが難しいだろう。苦情を受付ている係のおじさんはひたすら「ごもっとも」で通していたが、少々気の毒になった。

ついでに近くの古本屋をのぞくと、堀口大学訳のルパン傑作集(新潮文庫)が五冊ほど積み上げてあった。経年のため天が少し汚れているが、オビとグラシンが付いていた。瀧口修造訳『芸術の意味』(みすず・ぶっくす、一九五九年)も合わせて捕獲した。3冊200円。

÷

一週間ほど春休みとさせていただきます。
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by sumus_co | 2009-03-28 21:18 | 古書日録

今村書店

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店頭の均一棚は悪くない。店内も文学系を中心に捜し甲斐のある様相を呈している。文庫新書はたしかに多い。ただ通路が狭く本を積み上げてあるため、レジまでたどりつく間に何度も本をひっかけて床に落としてしまった。

京都市上京区河原町通丸太町上る桝屋町バス停前
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by sumus_co | 2009-03-28 20:56 | あちこち古本ツアー

spin05 出来ました!

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[目次]
満州、沖縄、神戸を結ぶ線…………佐野眞一
桑港の鶯 サンフランシスコ古本屋めぐりの記…………山内功一郎
花の巴里で古本屋を怒らせる方法…………林哲夫
二冊の回想記を読む 古書往来番外編…………高橋輝次
幻脚記 五 夏の女優…………鈴木創士
エエジャナイカ 4 
 私は完璧であったことはありませんが、私は現実なのです…………北村知之
淀野隆三日記を読む 五…………林哲夫
みずのわ編集室 5…………柳原一徳


÷÷÷

北村知之

エエジャナイカ4
私は完璧であったことはありませんが、私は現実なのです

12月18日(木)
 うっすらと目が覚める。暗い部屋のなか手さぐりで時計をさがしていると、あやまって床に落としてしまった。ガシャンという音のあとに、コロコロと電池が転がっていく音がした。しかたなくまた手をのばして携帯電話をみつけて、開いてみると十三時をまわっていた。窓と雨戸をあけて、目をしかめながら外を見まわす。うす青い空のしたを、幼稚園から帰る女の子と母親が歩いていった。一週間ぶりに洗濯をしようとおもっていたけれど、あきらめて布団と枕だけ干す。鍋をコンロにかけて、湯が沸くまでに顔を洗う。カップのうどんに湯をそそいで、じっと五分間待つ。それから鼻水をすすりながら食べる。
 そのままテーブルで、村上春樹訳の『ティファニーで朝食を』を読む。どうもフィリップ・シーモア・ホフマンがちらついて困ったけれど、インスタントのコーヒーをつくっては飲みつくっては飲みしながらページをくる。気がつくと台所は寒く、あたりは暗くなっていた。

12月19日(金)
 スニーカーの親指のところに穴があいてしまった。三宮のガード下にある三畳くらいの靴屋で、やけに眠そうな店主から同じものを買う。閉店まえのあかつき書房をのぞいて、均一台から田中英光『オリンポスの果実』(新潮文庫)と内田百間『馬は丸顔』(旺文社文庫)を買う。各一〇〇円。せっかくなので八島の東店によって、肉豆腐煮とネギいりの玉子焼きでビールを一本飲む。店内はみごとに背広姿のおじさんたちで満席だった。
 帰宅してテレビをつけると、「探偵!ナイトスクープ」の総集編をやっていた。みなさんわけわからんことを考えてますな、とまったく感心する。たしかチェーホフの手紙にも、「人が笑うのは、滑稽な時か、理解できない時か」と書いてあった。
 通勤の鞄にいれていた、吉川幸次郎、三好達治『新唐詩選』を読みおえる。二ヶ月ちかくかかったので、どうしてこの本を読みはじめたのか忘れてしまった。賀知章というひとの「袁氏の別業に題す」という詩。

  主人相職らず
  偶坐林泉の為なり
  漫に酒を沽うを愁うる莫れ
  嚢中自ずから銭有り

財布があれば金はあるものだ、というのがおもしろい。
[以下本誌でどうぞ]

みずのわ出版
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by sumus_co | 2009-03-28 10:53 | spin news

てふてふ一匹め

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『ちくま』四月号。表紙の古書店は京都寺町通の大観堂さんである。

午前中、名古屋で Pippo さんから頂戴したCD「てふてふ一匹め」(チンチロリン商店、二〇〇九年)を聴きながら古い岩波文庫の絵を描く。このところBGMとしてオスカー・ピーターソン・トリオ 「 ナイト・トレイン」(原盤は1962年発表のベストセラー)ばかり繰り返し聞いて「Cジャム・ブルース」が頭にこびりついて離れなくなっていたので(他のものを聴けばいいわけだが、MDを交換するのが面倒くさいのでついくりかえし何十回と。CD不能になったデッキだがMDは健在)、Pippo さんの朗読は一服の清涼剤となった。

収録作品等は下記参照。
http://blog.livedoor.jp/pipponpippon/archives/51119225.html

このメンバーの選び方がかなり通だ。思潮社に勤めておられたというだけのことはある。高橋元吉が二作、新島栄治、草野天平というあたりは意表を衝かれて、しかもなかなか新鮮だった(といってもほとんど詩集なぞ読んだこともないが、詩集の値段には敏感なんだけど……)。高橋元吉はもう少し読んでみたいという気持になった。

なかに金子光晴訳のランボー「感覚」も入っていて、こんなふうに訳されているんだと、久方ぶりに感心してしまった。金子が訳したランボー詩集を、もうずいぶん昔、読んだ記憶がある。調子はいいのだが、飜訳としてはこれでいいのか? と疑問符が付く部分も少なくなかった。うまい誤訳のほうが、たいくつで正確な飜訳より、楽しめる。しかし一歩間違えば「ピッツァ」と「クレープ」がどちらも「お好み焼き」になってしまう恐れもある。いくらおいしくても、これでは困る。けれども、フランス語を習って読んだからといってランボーが理解できるわけでもないだろう。解る解らないの問答となると、なおさらややこしい。なら、だまって騙される方が幸せかもしれない。

 『SENSATION』

夏のさわやかな夕、ほそ草をふみしだき、
ちくちくと穂麦の先で手をつつかれ、小路をゆこう。
夢みがちに踏む足の、一あしごとの新鮮さ。
帽子はなし。ふく風に髪をなぶらせて。

話もしない。ものも考えない。だが、
僕のこころの底から、汲めどつきないものが涌きあがる。
さあ。ゆこう。どこまでも。ボヘミアンのように。
自然とつれ立って、――恋人づれのように胸をはずませ……

               アルチュール・ランボオ(金子光晴訳)

Sensation

Par les soirs bleus d'été, j'irai dans les sentiers,
Picoté par les blés, fouler l'herbe menue :
Rêveur, j'en sentirai la fraîcheur à mes pieds.
Je laisserai le vent baigner ma tête nue.

Je ne parlerai pas, je ne penserai rien :
Mais l'amour infini me montera dans l'âme,
Et j'irai loin, bien loin, comme un bohémien,
Par la nature, heureux comme avec une femme.

Arthur Rimbaud
Mars 1870.

例えば「les soirs bleus」を《さわやかな夕》としているが、ブルーにそんな意味があるのだろうか。ブルーはどちらかと言えば病的な色。ピカソの「青の時代」みたいに。念のためマルセル・リュフの註釈("Arthur RIMBAUD POÉSIES", Éditions A.-G. NIZET, 1978)を読んでみると、この作品には二つの原稿が残っており、最初に書かれたヴァージョンでは「Par les beaux soirs」となっているようだ。これなら《さわやかな夕》でいいだろう。

この小品の全体からして、この時期(習作から脱しつつある)のランボーとしては例外的に「さわやかな」感じの、しかしその孤独がひじょうによく現れている作品だ。夕べは複数形になっている。夏、夕方になると毎日のようにランボーはたった独りで麦畑の小径をさまよっていた、「遠い、遠いところへ行んだ、ジプシーのように」と心でつぶやきながら。

実際にランボーは、後年、この言葉の通り、地中海や、アフリカ、中近東を渡り歩くことになるのだが、それにしても金子訳の《さあ。ゆこう。どこまでも。》には違和感を覚える。決してランボーは遠くへ行きたいわけじゃない、にもかかわらず内面に駆り立てるものがある……、と、こんなふうに書いてしまうと、これもまた嘘くさくなる。
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by sumus_co | 2009-03-27 22:15 | 古書日録

或る山村共同耕作の記録

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京都国際マンガミュージアムを出て押小路通を東へ寺町まで。尚学堂書店をのぞいて、寺町を南下。この前、撮影しなかった文栄堂書店と竹僊堂の写真をとる。キクオのショーウィンドウ(桜にちなんだ木版本展示)を拝んで、京阪書房へ。表のワゴンから桜井恒次『或る山村共同耕作の記録』(大日本出版、一九四四年)を抜き出す。一目、花森安治の装幀と思った。残念ながらどこにも記名はないので断言はできないが、このテイストは花森で間違いないだろう。調べてみるとけっこう古書価は付いている。また店内の10〜50円箱には河野仁昭『詩集 瑣事』(文童社、一九六九年)も入っていた。こういう日もある。

桜井恒次は著者略歴によれば《昭和十六年東京帝大文学部社会学科卒業現在財団法人大学新聞社常務理事・東京帝国大学嘱託・東京帝大都立学会専任研究員》。一九四五年には丸山眞男、瓜生忠夫、内田義彦、中村哲らと青年文化会議を結成。『きけわだつみのこえ』(東大協同組合出版部、一九四九年)の編集委員として渡辺一夫、真下信一、小田切秀雄らとともに名を連ねている。
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by sumus_co | 2009-03-26 21:11 | 古書日録

杉浦茂101年祭

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京都国際マンガミュージアムへ杉浦茂展を見に行く。初めて入館した。春休みのためか大勢の子供が漫画を読んでいる。旧・龍池小学校だけに子供が似合うとも言える。外国人も多い。キョートとマンガは世界語だしね。

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杉浦茂の展示はやや物足りなかった。しかし原画は素晴らしい。ヘタウマの元祖というか、湯村輝彦、赤塚不二夫あたりの直接のモデルではないだろうか。しかし、ペンタッチは決してヘタではない。熟達した稚拙さとでも形容したい性格のものだ。多数の現役漫画家たちが、杉浦茂に寄せたオマージュ(原画とメッセージ)にその影響力の大きさを見て取ることができる。個人的にはほとんど記憶にない作家だが。晶文社がタイアップで『杉浦茂の摩訶不思議世界 へんなの……』を刊行している。
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by sumus_co | 2009-03-26 20:38 | もよおしいろいろ

竹僊堂 文栄堂書店 喜聞堂

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竹僊堂。こちらはホームページが充実している。朝鮮本や江戸期の活字本など、写真で見られる。筆跡、版画、拓本、インキュナブラまで揃っているようだ。
京都市中京区河原町通姉小路西入


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文栄堂書店。浄土真宗大谷派に関わる仏教書専門店。
京都市中京区寺町通三条上る


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喜聞堂。古典籍、古書画。
京都府京都市中京区二条通 寺町東入榎木町87-1
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by sumus_co | 2009-03-26 17:35 | あちこち古本ツアー

Bibliophil

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『Bibliophil 詩歌文芸書目録』8号、9号(中村書店)。渋谷区上通一の一四(宮益坂上)にあった詩書で知られた古書店の目録である。デイリースムースでも二度ほど触れた。
http://sumus.exblog.jp/8350011
http://sumus.exblog.jp/8365131
天神さんの百円均一で買ったもの。他にもたくさん出ていたが、百円払うほどの目録はそうはなかった。これは別格。

発行年が記されていないが、手がかりは8号の巻末に載っている昭森社の広告。

《唯一高級書物月刊誌 本の手帳[ママ] 一八〇》

『本の手帖』を揃えている方に正確に教えていただきたいが、小生架蔵分では、一九六一年の創刊号は一五〇円、六二年が一六〇円、六四年が二〇〇円なので、六三年あたりかと推測する。

上掲の目録頁は8号のもの。いやあ、安い! 当り前だ、四十五年も前の値段だもの。ただしコーヒーは八十円だったから、単純に五分の一かというと、そうではない。詩集はコーヒーよりもずっと値上がりしている。この四月二日から神戸のサンボーホールで開かれる「ひょうご大古本市」の目録に街の草さんが『青い夜道』を出しているが、それが 63,000。四十五倍。ボン書店の『貝殻の墓』も日本の古本屋では七万円程度で出品されているから、百十倍以上ということになる(これは『ボン書店の幻』効果だろう)。『象牙海岸』は値段の幅があるにしても並の状態なら二万円ていどはするだろうから七十倍。150〜350 という値段は、竹中郁の評価が低かったことを感じさせる。

そんなところへ『彷書月刊』4月号が届いた。「飜訳鑑」という特集だ。巻頭は入沢康夫氏のインタビュー。詩人、フランス文学者。そこにこんな発言があった。

《ネルヴァル、エリオット以外の愛読書ですか。一冊は、ヨアヒム・リンゲルナッツの『運河の岸邊』(板倉鞆音訳、昭和十六年、第一書房)です。板倉訳のリンゲルナッツは、比較的近年になって国書刊行会からも出されましたが、他に類を見ない飜訳の傑作だと思います。「80円」と鉛筆書きがありますね。この本は、高校生か大学生に成り立てのころに古本屋で買ったものです。ずいぶんボロボロになってしまいました。いまだに愛読していますし、ぼくはあまり本を大事にしないから(笑)。どこの古本屋でしたか。たぶん、渋谷の中村書店じゃなかったでしょうか。》

入沢氏は一九三一年生れ。十八歳は一九四九年、この年に中村書店は開店した。『運河の岸邊』を八十円で売っていたとして、十五年経った『Bibliophil』8号には三五〇円、9号には四五〇円で載っている。現在は……残念ながら日本の古本屋にも見あたらない。先日紹介した『木造の記念碑1』(板倉鞆音訳、国文社、一九五八年、装幀=蛭間重夫)は二三〇円、定価が二五〇円だから、値引き販売のレベルだった。こちらも今のところ見あたらない。
http://sumus.exblog.jp/10392653/
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by sumus_co | 2009-03-25 21:56 | 古書日録

彙文堂 文藻堂

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彙文堂。《寺町書肆街においてはこの年[引用註=明治四十年]、丸太町に近い下御霊神社の前に中国書専門の彙文堂が店を開いた。ここは内藤湖南先生の彙文堂書荘と題した木彫の看板を屋根にかかげていることで知られている。この主人は東京の中国書専門店文求堂で奉公したのち、しばらく独立して営業していたが明治四十年京都にきたのである。いずれも京大文科大学の開設が刺激となったことは想像に難くない。》(脇村義太郎「京洛書肆街考」)
《長い歴史の中で、森鴎外、西園寺公望、富岡鉄斎ら、多くの文人に愛されてきたことでも有名である》《先代のご主人が発行した目録「冊府」には高名な学者からの寄稿もあり、探しに来る客が今でもいる程。》(『改訂版京都古書店巡り』2000年)
《彙文堂(丸太町通河原町西入ル)内藤湖南揮毫の看板で有名な中国図書専門店。地上げで50mほど東に新築移転した。》(三月書房販売情報)

京都市上京区丸太町通寺町東入


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文藻堂。筆跡ものの専門店。ショーウィンドウはいつも鑑賞に値する。

京都府京都市中京区新烏丸通 御霊図子下る東椹木町127-1
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by sumus_co | 2009-03-25 21:51 | あちこち古本ツアー

マッチ箱

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これも名古屋で買った。マッチ箱のコレクション。十六枚ずつ貼付けてある台紙を二葉。出品は扉野氏のラビット堂。何十葉とあったのだが、あまりに数が多過ぎてきりがなかったので「テレビ喫茶」と明記してあるマッチと、デザインが気に入ったマッチを選んだ。まったく古くさくなってない。時代のテイストがかえって新鮮。加古川の「再会」はまだ営業しているようだ。

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『scripta』11号(紀伊國屋書店出版部、二〇〇九年四月一日)が届く。内堀弘「予感の本棚」第十四回は、黒木書店から秋朱之介の日本限定版倶楽部、五十沢二郎のやぽんな書房へと広がる内容。先ず最初に黒木書店に関して『神戸の古本力』(みずのわ出版、二〇〇六年)を紹介してくださっている(感謝です。残念ながらもう版元品切れ状態)。内堀さんは黒木氏から直接、戦前、氏が日本限定版倶楽部の会員だったことを聞いたそうだ。

そして内堀さんは秋と五十沢の「著者」に対する考え方を紹介している。秋は《芸術家である著者が、真の芸術の徒である出版家によって本を刊行する場合、「その出版家を可愛がりこそすれ、印税や献本また売名的なあらゆることを請求すべきではない」》、また五十沢は《作家は「書く事の喜びこそが唯一の正しい報酬」なのだから本来は「無報酬で書かなければならない」》と主張しているという。これは理想出版を目指す者の勝手な思い込みだとも思えるし、同志的な出版コミューンを目指していた革命思想とも思えるのだが、世の中、そんなのんきな時代ではなく、書く喜びで生きる作家もそうはいなかった。

ただし絶無でもなかった。彼らがどんな著者の本を出しているのかというのは、拙著『古本屋を怒らせる方法』に「犬の記憶」として収録してあるので参照していただければと思うが、そこに並んでいる著者たち、例えば、佐藤春夫は秋の以士帖印社(えすてるいんしゃ)から『魔女』を刊行し、またやぽんな書房の雑誌『古東多万』も編集していたから、彼らにとっては理想的な作家であり芸術家だったのかもしれない。
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by sumus_co | 2009-03-24 21:16 | 古書日録