林蘊蓄斎の文画な日々
by sumus_co
カテゴリ
古書日録
もよおしいろいろ
おすすめ本棚
京のお茶漬け
東京アレコレ日記
佐野繁次郎資料
宇崎純一資料
渡邊一夫の本
青山二郎の本
spin news
読む人
パリ古本日記
写真日乗
あちこち古本ツアー
装幀=林哲夫
著述関連
画家・林哲夫
雲遅空想美術館
淀野隆三関連
喫茶店の時代
うどん県あれこれ
貧乏こっとう
ほんのシネマ
以前の記事
2017年 03月
2016年 11月
2016年 01月
2014年 02月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
more...
フォロー中のブログ
フランス落書き帳
フランス美食村
退屈男と本と街
ニューヨークの遊び方
gyuのバルセロナ便り ...
奥成達資料室blog版
空ヲ洗フ日々 十谷あとり
浅生ハルミンの『私は猫ス...
古書渉猟日誌
bookbar5
わたしつくるひと
猫額洞の日々
トスカーナ オリーブの丘...
フォロニアム
昨日の続き
モンガの西荻日記
往来座地下
天音堂★山口ヒロミ工房_...
NabeQuest(na...
フランス古道具 ウブダシ
Mの日記@古本T「たまに...
日常と夢の記憶
Gallery Shim...
and so on...
亡兎観現世
石のコトバ
ボローニャに暮らす
糸巻きパレットガーデン
Kumatetsu Ga...
Muntkidy
Lenzgesind
奈良 智林堂書店  
うらたじゅんの道草日記
高遠弘美の休み時間・再開...
ネジ式
さし絵のサイン
机の上で旅をしよう(マッ...
森のことば、ことばの森
新潟絵屋Blog
オックスフォード便り
白 の 余 白
Madame100gの不...
ツレヅレナルママニ(みど...
関西の出版社
めぐり逢うことばたち
古本万歩計
りはびりカメラ
ムッシュKの日々の便り
Books & Things
ちらしDMコレクション
ネコと文学と猫ブンガク
daily-sumus2
最新のコメント
今はネット古書行脚でしょ..
by sumus2013 at 20:41
学生時代は、カンダの古本..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 07:34
御教示に深謝です。蓜島氏..
by sumus_co at 08:37
「『正誤正刪『日本近代文..
by MY at 11:05
了解いたしました。
by sumus_co at 08:30
神谷様 御教示に深謝いた..
by sumus2013 at 20:06
神谷道一と神谷由道は親子..
by 神谷 at 15:59
kikiさま コンドルで..
by sumus_co at 15:53
ジャン・コクトーだなぁ。..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 06:59
先日来、調べごとをし..
by kaguragawa at 22:13
メモ帳
お問い合わせはこちらまで

本を散歩する雑誌 [スムース]
洲之内徹略年譜
『書肆アクセスの本』
ほんまに日記
恵文社一乗寺店
Calo Bookshop & Cafe
貸本喫茶ちょうちょぼっこ
BOOKONN
奥付検印紙日録
とらんぷ堂
書肆砂の書
みずのわ編集室
みずのわ放送局
エエジャナイカ
蟲文庫
古書日月堂
海月書林
田中栞日記
古書の森日記
日用帳
なえ日記
lady pippon
古書現世店番日記
海ねこ的日々の暮し
m.r.factory
ナンダロウアヤシゲな日々
内澤旬子・空礫絵日記
四谷書房日録
森茉莉街道をゆく
ねこそぎ記念
本の街日記
リコシェ
旅猫雑貨店
津田明人
北方人日記
柳居子徒然
駅前糸脈
日々のあわ.。o○
晩鮭亭日常
空想書店書肆紅屋
bibliomaine mod
autographes et …
BiblioMab
Le blog de Yv
Le Monde
Gibert Joseph
bnf
BRITISH LIBRARY
Galaxidion
Library of Congress
Strand Bookstore
The Book Design Review
penguin blog
Mark Simonson Studio
modernmechanix
くうざん本を見る
神保町系オタオタ日記
ma-tango
jun-jun1965
書物蔵
スローラーナー
本はねころんで
漁書日誌
城戸朱理
町家古本はんのき
古書ダンデライオン
Kanecoの日記
吉岡実の詩の世界
qfwfqの水に流して
古本屋ツアー
清水哲男
Automat svět
細馬宏通
中野晴行
古通・編集長日誌
昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板
喫茶・輪 
古本ときどき音楽
本と暮らす
ウロボロスの回転
表現急行
tundowの日記
盛林堂日記
フクヘン
ですぺら
花森安治の装釘世界
文壇高円寺
ぶろぐ・とふん
medievalbooks
マン・レイと余白で
okatakeの日記
古本ソムリエの日記
最新のトラックバック
京都印刷発祥之地 記念碑建立
from 印刷見聞録|からふね屋|京都
本を散歩する雑誌 [スム..
from 相互に旅をする人
土曜日のブックオフ
from 古本万歩計
[書評][詩歌に寄せるエ..
from 読書百篇
第33回西荻ブックマーク
from 西荻ブックマーク
北野武似の少年は夏休み、..
from 月の風ノート
【ライト兄弟】についてブ..
from 最新キーワードチェック!
『田辺茂一と新宿文化の担..
from じんぶんや「紀伊國屋書店と新宿」
美の名言
from 美の名言
横尾忠則の小説
from Mの日記@古本T「たまにはス..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2007年 12月 ( 23 )   > この月の画像一覧

みんなでふるほんまんが2

b0081843_20271740.jpg


『彷書月刊』1月号。みんなでふるほんまんが2。つげ忠男、近藤ようこ、辰巳ヨシヒロ、三好銀、勝田文、Q.B.B.(久住昌之)、辻井タカヒロ、グレゴリ青山、林ジョージの助、林哲夫、イイヅカ・サトコ、岡崎武志、近代ナリコ、坂崎重盛、nanakikae、藤牧法明の諸氏がマンガを寄稿。他に投稿が六人。プロのペンタッチはやっぱり違う。マンガを初めて描いたという近代さんのネコと古本がいいね。三人がネタの中にブックオフを入れているのも、時代ですか。投稿のなかの瀧野一仁氏の作品に「古本屋の恋人になる方法」という架空(?)の本が出ている(笑)。

÷

『scripta』6号届く。内堀さんの連載「予感の本棚」は書肆アクセス閉店から森谷延雄の家具の話、そして文化学院から紀伊國屋銀座支店へと展開する。銀座支店は昭和二年に警醒社書店のあったところで開店した。そしてその家具をデザインしたのが森谷だった。銀座支店の二階には喫茶部「B.G.C」があったらしい。初めて聞いた(最近、聞いたことをつぎつぎ忘れるので初めてではないかもしれないけれど)。それぞれの書店はそれぞれの時代の風をはらんでいたのだ、というのが内堀さんの感慨。

書肆アクセスの閉店、また、ぽえむぱろうるの閉店に関して、某氏が《ちなみにカリフォルニアでも、バークレーの名物書店で詩書も充実していたCody's が昨年消えてしまいました。まったくさびしいかぎりですが、それでもすこしずつ自分にできることがあればしていきたいなと考えております》というメールをくださった。またRon Silliman という詩人のブログ(May 11, 2006)にその Cody's Books の閉店についての経緯が詳しく述べられていると教えてくださった。Ron Silliman 氏自身が Cody's のすぐそばにあった Moe & company という書店に勤めていたのである。60年代から80年代の活動ぶり、90年代のインターネットの登場による変質が語られており、たいへん興味深い。

Cody's Books は今も営業しているのだが、詩書や詩の活動に熱心だったTelegraph Ave. の旗艦店は閉じられたというわけで、いずこも同じか……と思っていると、その経営権を買ったのはなんと日本の洋販だそうだ。ふうむ。

÷

ギャラリー島田30周年記念誌『30年目の透視図』(ギャラリー島田、二〇〇七年)が届いた。来年いっぱいのスケジュールはすべて記念展覧会。津高和一、横尾忠則、堀尾貞治、西村功、榎忠、川島猛、元永定正、木下晋、石井一男、山内雅夫、竹内ヒロクニらの各氏にまじって小生も六月にやらせてもらう。小生も大学出て画家と名乗ってから(名乗っただけ)30年だからふしぎな符合である。

÷

「にいがた町屋マップ2008」(新潟まち遺産の会、二〇〇七年)が届いた。地図と町屋の案内が旅情をさそう。また新潟へ行きたい。今度は金沢にも寄りたいものだ。

b0081843_21281396.jpg


ということで年内の更新はありません。ご愛読ありがとうございました。みなさま良いお年をお迎えください。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-22 21:39 | 古書日録

書肆砂の書

b0081843_1953884.jpg


書肆砂の書の目録第六号が届く(上の写真は折り畳まれた目録を拡げ真上から撮った)。硬いの柔らかいのとりまぜて、こういう本棚を作ってみたいような内容。ギュスターブ・ジュフロワ『幽閉者ブランキ伝』(現代思想社、一九七三年)、ソレルス『数ーノンブル』(新潮社、一九七六年)、ガスカール『女たち』(講談社、一九五五年)、『鈴木六林男全句集』(牧神社、一九七八年)、アンタル『ホガース ヨーロッパ美術に占める位置』(英潮社、一九七五年)、ボナ・ド・マンディアルグ『カファルド』(コーベ・ブックス、一九七六年)、安部慎一『私生活』(北冬書房、二〇〇〇年、限480)、寺山修司『散文詩 棺桶島を記述する試み』(サンリオ出版、一九七三年)、それからCDではヴァン・モリソン「Astral Weeks」(Warner, 1996)をまとめて注文……してみたかったが、目録のなかでもいちばん安いであろう本を一冊だけにしておく。とほほ。

 寝不足や大根抜きし穴残る(鈴木六林男『荒天』一九四七年)

埼玉県富士見市の佐藤藝古堂の目録も同時に届く。前にも紹介したけれど、芸能を中心に雑多な本が並んでいて、別の意味ですごい目録。言ってみれば、均一台で拾いたい本ばかりが正当な値段で並んでいるので、さらに注文が難しい。しかし毎回欲しい目録ではある。なんとかしよう……。

÷

昨日紹介したマイケル・パーマーの『The counter-sky』から「The counter-sky」全文。

A young woman of the book
directed my gaze toward the counter-sky

Behind her there were books piled up
miles and miles of books piled high

and below the scholars bent to their tasks
reading by the light of green-tinted lamps

I stared at the coffee in my cup
the coffee in my empty cup

and asked, "Would you like
a sip of coffee from this cup?"

And she said yes, and drink she did
from my cup's perfect emptiness.

そう難しい英語ではないと思うので山内氏の和訳は省略させていただく。A young woman of the book というのはミューズだろうか? green-tinted lamps は図書館の卓上灯を連想させるから単なるヘンな図書館の司書? counter も受付のカウンターと「反」の counter- をひっかけたシャレかな。洒脱なかんじがいい。とにかく本についての詩だ。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-21 20:50 | 古書日録

対抗する空

b0081843_20392942.jpg


マイケル・パーマー詩集『The Counter-Sky/対抗する空』(山内功一郎訳、メルテミア・プレス、二〇〇七年)および野村喜和夫詩集『(そしてパレード)/(And then parade)』(マイケル・パーマー+山内功一郎+アンガス・ターヴィル訳、二〇〇七年)を頂戴した。いずれも対訳になっており、パーマー詩集は最新詩集のようだ。野村詩集はアンソロジー。

マイケル・パーマー Michael Palmer はニューヨーク生れの詩人 Michael Palmer was born in New York City in 1943野村喜和夫は戦後世代を代表する詩人の一人。と知ったかぶりをしてみたが、まったく読んだことがない。読ませていただきます。

÷

先日、ばったり路上で遭遇した生田氏より電話あり。来年、竹久夢二美術館で開催される小林かいちの展示とギャラリートークに関して。かいちについてかなり精力的に調査しているようで、新発見の事実もあるようだ。興味のある方はぜひ。下記催案内を参照されたし。

明日からウィークエンド・ワセダ、来年1月5日〜6日は古書往来座外市(某ゲスト書店より『sumus』のバックナンバーが出品されるとか!)だよ。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-20 21:38 | おすすめ本棚

運命

b0081843_204242.jpg


国木田独歩『運命』(精選名著複刻全集、日本近代文学館、一九七三年。元版は左久良書房、明治三十九年)の表紙。単色刷のジャケットが付いている。装幀は小杉未醒、口絵は満谷国四郎。どちらも近事画報社の仲間である。尚学堂書店の平台にて。いつもなら見過ごしていたかもしれないが、にわか独歩ファンになったので、運命と思って購入した。まずは「酒中日記」を読む。江戸時代からありがちな金銭をめぐる事件をごく平凡なサラリーマン(教員)の悲劇として描いたところにリアルさがある。この小説とは直接の関係はないが、夕方のニュースで、借金を苦に自殺する人は東北地方に多いと言っていた。マジメなんだそうだ。

÷

b0081843_21364210.jpg


b0081843_2035346.jpg


美術館「えき」KYOTOで「黒井健絵本原画展を見る。『手ぶくろを買いに』(偕成社、一九八八年)の印象が強かったのだが、いろいろな仕事をしている。入ってすぐに展示してあった『ミシシッピ 900マイル カヌーの旅』(偕成社、一九八八年)が良かった。トーマス・ハートベントンを思わせる人物描写が成功している。他にエドワード・ホッパーぽい絵柄もあったりとアメリカ近代の画家に親近感をもっているようだ。エア・ブラシかと思わせるぼかしのテクニックに関する展示もあってその一端がうかがえた。

つづいて御池まで引き返して京都文化博物館5Fで「余啓平画展/金貞玉陶展」(〜24日)を見る。ちょうどこの展覧会をプロデュースしたY氏と作家の余啓平氏(上海在住)がいたのであれこれ説明を受ける。工筆画(細い線を主体にガッチリと描いた画)も現代美術そのもので良かったけれど、水墨画がなんとも美しい色調を出していて感嘆した。蕪村や大雅のような雰囲気を出していながらフレッシュ。京都にも仕事場を持ち、京都では三度目、初めての大作中心の発表だとか。日本語も上手だし、五十歳だというから今後も楽しみ。

堺町画廊で「しろのゆみ・田上操 チベットタンカ二人展」(〜23日)を見る。制作の様子も展示されていて興味深いものがあった。刺繍のようにキャンバスを枠に貼って丹念に描いて行くらしい。仏像には決まった像容があるので、それは勝手に変えられないが、背景は作者の裁量に任されるとか。ふしぎな世界。

ギャラリーマロニエ京都写真クラブの「第8回京都写真展」(〜23日)を見る。毎回思うが、写真表現も多彩になって、どこまで行くのか分からない、あるいは頭打ちの感じもある。このグループはレベルが高い。マン・レイ・イストさんのスクラップブック展示が異色。小生の写真(小生が撮られているのと、小生が撮ったのと)および葉書まで貼付けられていたのには恐縮した。

b0081843_21113740.jpg


最後に高島屋の画廊で「第12回21世紀の目展」を見る。宮いつきの妙な屏風画が目に残った。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-19 21:21 | 古書日録

日本文壇史

b0081843_19584860.jpg


伊藤整『日本文壇史8日露戦争の時代』(講談社、一九六六年、装幀構成=岡本芳雄)。たまたま整理中に発見した。この第十章に国木田独歩の項がある。

《彼は作品集を出さうとしたが、中々引き受ける本屋がなかつた。近事画報社の営業主任をしてゐた山本秀雄がそれを聞いて義侠的に自分の社から出すやうにはからつてくれたが、その部数は五百にすぎなかつた。そして独歩はこの年の七月、自分の勤めてゐる近事画報社から、この「独歩集」を出版したのであつた。素朴で鋭い生の感情をとらへた彼の作品は、花袋や柳田国男などの友人の間では早くから認められてゐたが、文壇人たちはこの作品集によつてはじめて、独歩の鋭いものの見方を知り、急に注目が彼に集つた。》

黒岩女史の『編集者国木田独歩の時代』では、百八十度、見解が違っている。

《窪田空穂が『独歩集』の出版について、意外な裏話を語っていた。それによると、独歩の小説集をどこかの出版社が出すという噂を聞いて、近事画報社の営業主任が、それはまずい、社の面目にかかわるというので、急きょ近事画報社から出すことになったのだという。》

《しかし、『独歩集』の初版部数は五百部にすぎず、空穂によれば「それっきり」だった。わずか二年も経たないうちに、独歩の小説がいかにもてはやされるようになるかを考えると、何かの間違いではないか、と疑いたくなるような話である。》

空穂も近事画報社に出入りし、独歩社の社員だったからこの話の信憑性は高い。独歩社は近事画報社の権利を独歩が譲り受けて始めた出版社だが、借金も引き受けてしまったため長続きしなかった。また、民友社の『武蔵野』を再刊したいという版元があったが、民友社が即座に紙型の提供まで申し出たので、かえって二の足を踏んだ、そういう話も空穂は書き残しているらしい。《どこかの出版社》がどこか? 興味のあるところだが、ひょっとして金尾文淵堂の可能性がなくもないような……。

『日本文壇史』によれば、島崎藤村は出たばかりの『独歩集』をわざわざもう一冊取り寄せて親友の銀行員・神津猛に送っている。《是非この集は精読して下さい》と手紙に書き添えて。金尾文淵堂は藤村にもアプローチしていたし、薄田泣菫(『小天地』の編集をしているとき独歩の「牛肉と馬鈴薯」を掲載)の本も出しているから、独歩に注目しても不思議はないのだけど。

÷

「[書評]のメルマガ」341号に中嶋大介(BOOK ONN)氏が「リレー連載・書肆アクセスの閉店から見えてくることその3 海文堂という本屋でトークがあった」を執筆している。先日の海文堂書店での「本と女の子の本音?」レポートである。はじめに中嶋氏はアクセスを知らなかったと書いている。彼が知らないのだから関西ではやはりアクセスの知名度は低かったようだ。そのへんにも努力の余地はあったか。

また「ずっと赤字でした」という畠中さんの発言について《利益を上げることを考えなければ継続できないのではないかとぼくは思っている》というのは当然で、とくに関西の人間としてはごく自然な発想だと思う。小生もまさか最初からずっと赤字だとは思わなかった。ちょっとショックだった。ある意味、それを許してきた東京の懐の深さを示しているようにも思うのだが、それももう限界になってきたということだろうか。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-18 21:22 | 古書日録

編集者国木田独歩の時代

b0081843_20343145.jpg


黒岩比佐子『編集者国木田独歩の時代』(角川選書)を読了する。独歩が好きになった。いい男だ。先日引用した信子との破局があって後、初めて小説を書き始める。しかし彼の作風は容易に受け入れらなかった。二度目の妻治子(国木田治子、『青鞜』創刊にも参加)を迎え、新聞記者になるも続かず、矢野龍渓が始めた近事画報社に拾われて、日露戦争という追い風もあり、その編集者としての才能が花開く。イギリスのグラフ誌にいち早く着目し、菊倍判(A4相当)を採用しているのは卓見だ。

このあたりはヘタな要約をするより本書を読んでいただくのがいちばん。ひとつ挙げれば、近事画報社に勤めていた女写真師の正体を突き止めるくだり。これには黒岩女史もよほどコーフンしたのだろう、その過程を逐一書き留めておられて物書きの端くれとして、とても参考になる。まあ、同じように莫大なエネルギーが注がれた調査が他にも無数にあったのだろうが、それはサラリと書かれた一行一句に込められているにちがいない。それがひしひしと伝わってくる労作。

独歩は死期が近づいているベッドの上でも「病気さえ好くなれば、再び出版をやってみたい」と盟友の画家・小杉未醒に語ったという。彼の小説も事実をほぼありのままに描くいわゆる自然主義であったが、それは要するに独歩が根っからのジャーナリストだったという証しではないか。

独歩の作家としての評価が急速に高まったのはその死の前後からである。これは時代の変化、日本人が日露戦争というリアリズムを通過したこともあるだろう。ただ考えようによっては、親友だった田山花袋たちが独歩の本質を作家と見て、作家に仕立て上げた、その結果だったように、黒岩女史の本を読むと思えて来るのだ。独歩は編集者を天職と考えており、考えていただけではなく、実際にすぐれた編集者だった。

図版は可能なかぎり収録してあるものの、黒岩女史のコレクションからすればごくごく一部であろう。理想を言えば、『別冊太陽』のようなカラー図版をふんだんに使ったムック形式で構成してもらいたい。平凡社さんでもどこでも、やりませんか、明治グラフ雑誌の興亡特集!

÷

b0081843_21204235.jpg


『洲之内徹小説全集』(東京白川書院、一九八三年)の特装版を某氏より譲り受けた。これは文句なく嬉しい。『ARE』に洲之内論を書いて以来読み返していないが、また一度ゆっくりめくってみたいと思う。深謝です。その下になっているのは、昨日ブックオフで買った『アサヒグラフ別冊美術特集松本竣介』(朝日新聞社、一九八八年二刷)。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-17 12:21 | おすすめ本棚

2606.3.21

b0081843_21393363.jpg


桜田佐訳『アルルの女』(岩波文庫、一九四五年)。初版は昭和十六年。これは第二刷なのだが、その発行日は昭和二十年十月二十五日である。紙も粗末だし、よく見ると分かると思うが、針金綴じ(ステープラーで二カ所)で模様の色も変だし、位置もズレている。で、このかつての持主の記入した「2606.3.21」……。『アルルの女』に皇紀2606(昭和二十一)年とわざわざ書くかなあ。

÷

今日は昼食をアショカ(京都おたべガイド参照)でとったあと、先斗町を抜けて(壁は先斗町の歌舞練場)、三条大橋の向こうに見えるブックオフへ。

b0081843_21461071.jpg


b0081843_21481698.jpg


b0081843_21482851.jpg


その後、寺町通二条下ルの尚学堂書店といういつものパターン。平台の下に上の『アルルの女』を含む古い汚れた岩波文庫が百冊くらいまとめてあった。サッカレー『虚栄の市』六冊が揃っていたが、この状態ではちょっと買えない。『アルルの女』にも迷っていると、スーッと僧服の扉野氏が。おお、やあ、ということで、お茶でも飲もうか、と言っているときに、中川六平さんが「元気?」なんて通り過ぎて行く。なんという奇遇。中川さんは鶴見俊輔さんの新刊が出たので京都へ来られているそうで、扉野氏とも後で合流する予定だったとか。まあ、奇遇度はやや低いか。

近くのエイト珈琲店でコーヒーを飲みながら、ごく最近、会社を辞めた人たちの話とか、昨日、日帰りで行った岡山の万歩書店での収穫の話を聞いていると、硝子戸越しに通りすぎる人を見て扉野氏が「あ、森見登見彦さんだ」。最近、そういう遭遇がものすごく重なっているのだそうだ。ということで、店を出て一緒に寺町通りを下がりはじめた。すると、なんと今度は、東京にいるはずの生田誠氏にばったり。南座の取材(現在、芸能担当の記者)にやって来て、時間が空いたので、ということだったが、この奇遇度はかなり高いゾ。ブッダハンドは古本だけじゃなかった。

南座吉例顔見世興行、今年の話題は信二郎の中村錦之助襲名だとか。「勧進帳」で錦之助が富樫左衛門、弁慶を幸四郎。他に「梶原平三誉石切」「河内山」などの演目。顔見世がどうして十二月なのか、という説明を先日の古書研の講演で聞いたのだが、朔旦冬至の祝いと関係があるらしい。

÷

東京堂書店のベストテンで『書肆アクセスという本屋があった』が一位になった(12/11)。それにしても四位までみんな1200円以下というのがなんとも……。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-15 22:14 | 京のお茶漬け

アショカ

寺町通と四条通の交差点北東角のビルの三階にあるインド料理店アショカ。本店は大阪梅田丸ビル内。本日のランチ¥1.250。釜で焼きたてのナンが美味。

b0081843_1795584.jpg


ヨーグルトとスープ

b0081843_17101766.jpg


左はシーフード・カレー、右はマトン・カレー。ライス、串焼きチキン(タンドーリ)、サラダ。

b0081843_17103151.jpg


そしてナン。おかわりできる。

b0081843_17104668.jpg

[PR]
by sumus_co | 2007-12-15 17:14 | 京のお茶漬け

OSACCO

b0081843_2023367.jpg


b0081843_2024762.jpg


大大阪イメージ』の紹介で問題にした"De Stadt OSACCO"だが、橋爪氏が大きな画像を送ってくださったのでアップしておく。たしかに「Stadt」と書いてあるように見える。現代オランダ語とはやはり違っていたのだろう。

÷

黒岩比佐子さんの『編集者 国木田独歩の時代』(角川選書、二〇〇七年)を読み始めた。紹介は全部読んでからにしよう。編集者としての独歩はグラフ雑誌の先駆者だったようだ。独歩と言われて、その作品をあまり読んでいないことに気づく。下は青山二郎装幀になる『欺かざるの記』(北斗書院、一九四六年)。

b0081843_2022586.jpg


これは独歩の日記というか覚え書きである。臨終のときに徳富蘇峰が目にとめて出版されることになったという。例えば明治二十八年十一月の記述。激しく反対された結婚がようやくなんとかまとまった。

《十一日
午後七時信子嬢と結婚す。
[略]
植村正久氏の司式の下に、徳富君の媒介の下に、竹越与三郎君の保証の下に、潮田ちせ老婦の世話の下に、吾が宅に於て、父及弟列席の上、目出度く結婚の式を挙げたり。》

植村正久は麹町一番町教会の著名な牧師、竹越は国民新聞記者でのちに歴史家・政治家となる。ハッピー感あふれる記事だが、それが五ヶ月後、翌二十九年四月にはこういう結末を迎える。

《十四日。
一昨日信子の失踪以来、吾が苦悶痛心殆んど絶頂に達せり。信子失踪行衞未だ知れず。為に我が苦痛我が筆の尽し得る所に非ず。》

信子が独歩の元にもどってくることはなかった。ちなみに独歩は生誕に謎があり誕生日もはっきりしない。けっこう女好きで喧嘩早かったようだ。本名は哲夫である……。
[PR]
by sumus_co | 2007-12-14 21:00 | 青山二郎の本

ムーンドロップ

b0081843_19372085.jpg


石川達三『愛の嵐』(昭森社、一九四六年)。装幀の記名はない。ただ、表4に「migi」のサインがあるので三岸節子だろう。彼女の装幀もなかなかいい。この花などは晩年の油彩画を連想させる豊麗さがある。マヨルカ(Mallorca マジョルカ)らしき壷も昭和二十一年という時期を考えれば、豪華このうえなし。貧しい三色刷をうまく活かしている。夫婦ともに絵描き(夫は三岸好太郎)というのはそう珍しくないだろうが、それぞれに記念美術館をもっている例は他にあるのだろうか?

÷

『ムーンドロップ』9号(國重游、二〇〇七年十一月十九日)が扉野良人氏より届く。氏は巻頭に詩「灰の朝」と論考「花さき鳥うたう現実を拾いに 永田助太郎ノート」を寄稿している。後者は28ページにおよぶ力作。永田については扉野氏に教えられて郷里高松で入手した『永田助太郎詩集』(蜘蛛出版社、一九七九年、『古本屋を怒らせる方法』にそのイキサツを収録しています)につきるのだが、やっぱり面白い詩人だ。かなり好きかも。「時間III」(『新領土』一九三八年二月)より。

聞クンヂヤヨ! 注意スルンヂヤヨ! サトルンヂヤヨ! 心ノ
MIMI ヲカツポジレ
心ノ MIMI ハトヂチマヘ
枕頭にノートを置いてみナ
夜のコズモスがモタラス
DREAM を
メザメのメカニズムで
記述してみナ

《永田助太郎は『新領土』の創刊時から編集スタッフとして入っていたので、このモダニズムの雑誌がどのような理念を保ち、また世の情勢にどう対処していくか内側の目で知っていただろう。にもかかわらず「空間」「時間」詩篇は、周囲を顧みずやけっぱちで発語しつづけるような、存在を消却するどころか、徒手空拳で世界に挑んでいるような姿勢がある》

なるほど、たしかに。なお『ムーンドロップ』というと吉岡実しか連想しないけれど、その誌名について主宰者國重氏は下記のように書いている。

《『ムーンドロップ』という誌名はヴラジミール・ナボコフの小説『蒼白い炎』の一節から採りました。/「moondrop」という綴りは、ナボコフが愛した「o」というアーモンド型の文字を多く含んでいます。「o」という文字に対するナボコフの偏愛は、『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』の冒頭にも顔をのぞかせています。》
[PR]
by sumus_co | 2007-12-13 19:48 | 古書日録