林蘊蓄斎の文画な日々
by sumus_co
カテゴリ
古書日録
もよおしいろいろ
おすすめ本棚
京のお茶漬け
東京アレコレ日記
佐野繁次郎資料
宇崎純一資料
渡邊一夫の本
青山二郎の本
spin news
読む人
パリ古本日記
写真日乗
あちこち古本ツアー
装幀=林哲夫
著述関連
画家・林哲夫
雲遅空想美術館
淀野隆三関連
喫茶店の時代
うどん県あれこれ
貧乏こっとう
ほんのシネマ
以前の記事
2017年 03月
2016年 11月
2016年 01月
2014年 02月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
more...
フォロー中のブログ
フランス落書き帳
フランス美食村
退屈男と本と街
ニューヨークの遊び方
gyuのバルセロナ便り ...
奥成達資料室blog版
空ヲ洗フ日々 十谷あとり
浅生ハルミンの『私は猫ス...
古書渉猟日誌
bookbar5
わたしつくるひと
猫額洞の日々
トスカーナ オリーブの丘...
フォロニアム
昨日の続き
モンガの西荻日記
往来座地下
天音堂★山口ヒロミ工房_...
NabeQuest(na...
フランス古道具 ウブダシ
Mの日記@古本T「たまに...
日常と夢の記憶
Gallery Shim...
and so on...
亡兎観現世
石のコトバ
ボローニャに暮らす
糸巻きパレットガーデン
Kumatetsu Ga...
Muntkidy
Lenzgesind
奈良 智林堂書店  
うらたじゅんの道草日記
高遠弘美の休み時間・再開...
ネジ式
さし絵のサイン
机の上で旅をしよう(マッ...
森のことば、ことばの森
新潟絵屋Blog
オックスフォード便り
白 の 余 白
Madame100gの不...
ツレヅレナルママニ(みど...
関西の出版社
めぐり逢うことばたち
古本万歩計
りはびりカメラ
ムッシュKの日々の便り
Books & Things
ちらしDMコレクション
ネコと文学と猫ブンガク
daily-sumus2
最新のコメント
今はネット古書行脚でしょ..
by sumus2013 at 20:41
学生時代は、カンダの古本..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 07:34
御教示に深謝です。蓜島氏..
by sumus_co at 08:37
「『正誤正刪『日本近代文..
by MY at 11:05
了解いたしました。
by sumus_co at 08:30
神谷様 御教示に深謝いた..
by sumus2013 at 20:06
神谷道一と神谷由道は親子..
by 神谷 at 15:59
kikiさま コンドルで..
by sumus_co at 15:53
ジャン・コクトーだなぁ。..
by 根保孝栄・石塚邦男 at 06:59
先日来、調べごとをし..
by kaguragawa at 22:13
メモ帳
お問い合わせはこちらまで

本を散歩する雑誌 [スムース]
洲之内徹略年譜
『書肆アクセスの本』
ほんまに日記
恵文社一乗寺店
Calo Bookshop & Cafe
貸本喫茶ちょうちょぼっこ
BOOKONN
奥付検印紙日録
とらんぷ堂
書肆砂の書
みずのわ編集室
みずのわ放送局
エエジャナイカ
蟲文庫
古書日月堂
海月書林
田中栞日記
古書の森日記
日用帳
なえ日記
lady pippon
古書現世店番日記
海ねこ的日々の暮し
m.r.factory
ナンダロウアヤシゲな日々
内澤旬子・空礫絵日記
四谷書房日録
森茉莉街道をゆく
ねこそぎ記念
本の街日記
リコシェ
旅猫雑貨店
津田明人
北方人日記
柳居子徒然
駅前糸脈
日々のあわ.。o○
晩鮭亭日常
空想書店書肆紅屋
bibliomaine mod
autographes et …
BiblioMab
Le blog de Yv
Le Monde
Gibert Joseph
bnf
BRITISH LIBRARY
Galaxidion
Library of Congress
Strand Bookstore
The Book Design Review
penguin blog
Mark Simonson Studio
modernmechanix
くうざん本を見る
神保町系オタオタ日記
ma-tango
jun-jun1965
書物蔵
スローラーナー
本はねころんで
漁書日誌
城戸朱理
町家古本はんのき
古書ダンデライオン
Kanecoの日記
吉岡実の詩の世界
qfwfqの水に流して
古本屋ツアー
清水哲男
Automat svět
細馬宏通
中野晴行
古通・編集長日誌
昭和初期抒情詩と江戸時代漢詩のための掲示板
喫茶・輪 
古本ときどき音楽
本と暮らす
ウロボロスの回転
表現急行
tundowの日記
盛林堂日記
フクヘン
ですぺら
花森安治の装釘世界
文壇高円寺
ぶろぐ・とふん
medievalbooks
マン・レイと余白で
okatakeの日記
古本ソムリエの日記
最新のトラックバック
京都印刷発祥之地 記念碑建立
from 印刷見聞録|からふね屋|京都
本を散歩する雑誌 [スム..
from 相互に旅をする人
土曜日のブックオフ
from 古本万歩計
[書評][詩歌に寄せるエ..
from 読書百篇
第33回西荻ブックマーク
from 西荻ブックマーク
北野武似の少年は夏休み、..
from 月の風ノート
【ライト兄弟】についてブ..
from 最新キーワードチェック!
『田辺茂一と新宿文化の担..
from じんぶんや「紀伊國屋書店と新宿」
美の名言
from 美の名言
横尾忠則の小説
from Mの日記@古本T「たまにはス..
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2007年 10月 ( 33 )   > この月の画像一覧

秋の古本まつり

b0081843_1940080.jpg


京都市左京区、京大前、百万遍知恩寺で開かれる「古本供養と青空古本市」の初日。神田では雨にたたられたので、ちょっと奮起せねばと(?)開始前に到着。臨川書店の臨戦態勢はよって例のごとし。百円均一コーナーが閑散とするくらい人が集まっている。ブルーシートが開く瞬間。殺気立っている。

b0081843_2005770.jpg


こちらは百円均一を先にと思いつつ手前のシルヴァン書房に立ち寄ると、そこにも百円均一棚が用意されていた。ラッキーにも『和多久志』(蘆田止水、一九二三年五月一日)第六号を発見。文庫サイズの趣味雑誌。宇崎純一のカットが数点入っている。表紙は樋口富麿。この一冊で本日は終了という感じ。あとはオマケ。百円均一での古本ソムリエの勇姿。彼の動きが伝えられないのが残念。右へ左へ軽やかなステップだ。

b0081843_20135186.jpg


b0081843_2039225.jpg


古本女子もおられます(こちらは有名な御方です)。百万遍にはけっこう女性が多い。中尾さんと遭ったので某先生の蔵書の整理についてなど。聖智文庫さん、ソムリエ氏、扉野氏、BOOKONN氏、にとべさん、Mさんらと進々堂でカレーセット。裏庭のテーブルが広い。書肆アクセスの閉店、塩山御大の印象、恵文社の古本ブックなどについてひとしきり談義。

食後も会場にもどってもうひとふんばり。和田伝『沃土』(改訂新版、砂子屋書房、一九三八年、装幀=大貫松三)、佐々木幹郎『水中火災』(国文社、一九七三年、装幀=三嶋典東)など三冊1000円。まずまずこのくらいで気分よく帰宅。

さきほどMさんからも収穫メールが入った。
《手短にご報告します。
 百円均一では、「可能性の文学」昭和23年3版カバー背欠、「其国其俗記」木下杢太郎初版箱天欠本冊背痛、「嫁を探しに」麻生豊現代ユウモア全集17函、「土」長塚節昭和13年48版中川一政装函。竹岡書店3冊五百円では、「死者の奢り」昭和34年8版カバー、「神聖受胎」澁澤龍彦1962年初版裸本、「人間天国」福原麟太郎裸本、「星の神話伝説集成」野尻抱影裸本、「太平洋戦争日記1,2」伊藤整函。問題の臨川では「無頼の墓碑銘」竹中労カバー300円だけ買いました。事前に見た赤尾さんの3冊五百円(透明ビニールシート)にいい本があったように思うのですが、百円、竹岡の後に行くと何も残っていませんでした。》

b0081843_20332045.jpg


境内のカリン(クワリン、花梨、唐梨)が青空に輝いていた。

花梨を見上る紙魚や靴の塵
[PR]
by sumus_co | 2007-10-31 21:05 | あちこち古本ツアー

2007年10月27日 土曜日

今日も雨。しかも颱風が通過するという。やれやれ。鴬谷を引き払って日本橋小舟町へ。地下鉄の人形町から歩いたが、そこそこ距離があった。雨に荷物。部屋に入れるのは午後三時半からだからフロントに荷物だけ預けて、三越前へ向かう。ここにも高層ビルができていた。半蔵門線に乗ると神保町はすぐだ。

靖国通り沿いはブルーシートの行列。結局、古書会館へ。やっぱりあきつ書店コーナー。昨日の混雑とは打って変わって、余裕で棚を見られるていどの人出である。夢二装幀の『人形とツマミ細工』(文化生活研究会、一九二八年)400円発見。これで充分、来た甲斐があった。

b0081843_185580.jpg


b0081843_1852922.jpg


もう少しと思ってなおも眺めていると、何と、昨日手放した三重吉がポツンとさびしそうに置かれているではないか。あのオヤジもけっきょく買わなかったか。これは運命のいたずら(?)と思って購入する。

b0081843_18161022.jpg


『彷書月刊』の編集部へ。階段からのぞくと灯りがともっていたので上がって行くと、田村編集長がポツンと座っていた。ちょうどこれから息子さんと待ち合わせて食事をする、「林さんもいっしょにどう?」というのでお伴する。神保町の地下鉄の出入口(山田書店側)で古書会館の様子などを話していると、五年生の息子さんがやってきた。田村さんの幼き日もこんなふうなのかと思われる凛々しい少年だ。すぐ近くの富士そばでコロッケそば。けっこういける。息子さんはこれからしばらくゲーセン(一誠堂のとなり)で遊んで、美学校で絵画教室なのだとか。

b0081843_19385959.jpg


食後、田村さんが「林さんの知らない、できたばっかりの店」に案内するといって連れて行ってくれたのが「ブック・ダイバー(探求者)」。知ってますよ、古本ブログ読んでる人ならだれだって。田村さんに紹介され、ご主人と女性の方に御挨拶。ここの棚は読書人のものだ。文庫にもきちんと評価がなされ、値段も内容本位に付けられているような気がする。欲を言えば表の均一にもうすこしエサが欲しいなあ(身勝手な感想です)。

店を出て西秋書店に向かう。田村さんの言うには、ダイバーのご主人に初めて名刺をもらって、その名前を見たときにビックリ仰天したそうだ。というのはご主人仙波輝之さんはその筋では有名な人だったらしい(どの筋なのかは直接訊いてみてください)。西秋書店に入るのも初めて。西秋氏の父上に御挨拶。なんとヨシケン氏がいるではないか。地下展の目録から買った品物を受け取りに来ていた。いよいよ佐野繁次郎コレクションが充実してきたね。

若西秋、ヨシケン氏とともに四人でヒナタ屋へ。すると畠中さんが原稿を書いている(『書肆アクセスという本屋があった』のあとがきか何か)。声だけかけて四人で賑やかに。和田誠の装幀本についてなど。和田さんはすべて読んでからデザインにとりかかるらしい。信じられない。いったい何千冊装幀しているか知らないけど、全部読んだとしたらすごいよ。

午後三時前に四人で東京堂書店の六階へ。坪内祐三自著を語るのトークショー。小生は石神井さんに誘われていた。月の輪さんも来るはずだったが連絡とれずとか。佐野店長さんに御挨拶。定刻、中川六平さんが簡単な挨拶をしてから坪内さん登場。『ストリートワイズ』(晶文社、一九九七年)以来十年で二十五冊の単行本を出している。同年の『シブい本』(文藝春秋)が実際は最初の本になる予定だったが、担当編集者・萬玉邦夫氏の性格を慮って、中川六平氏担当の『ストリートワイズ』が先になるように調整したのだとか。谷沢永一氏との編集者をめぐるやりとりも面白いというか、論壇に独特の風土を感じさせるもの。結局は、自著を語るというよりも、担当編集者を語るというふうになっていた。『月刊Asahi』や『ノーサイド』のリニューアルで成功した話も興味深い。前者は当時の朝日新聞社の資料室や屋上のプレハブでの自由な仕事ぶり(今ではもう不可能な)、後者は文藝春秋社での、花田編集長のもと華々しく創刊した『マルコポーロ』編集部に隣接して、編集長の細井さんと二人でシコシコ『ノーサイド』を作っていた話。発売してみると『ノーサイド』はあっという間に完売するほどだったことなど、出版史の一コマとして鮮やかな光景と思う。たしかに当時(一九九四年八月〜)の『ノーサイド』は本好きにはたまらないものだった。『ARE』の同人たち、岡崎氏や山本氏が「坪内祐三って何者だ!」と騒いでいた頃である。その他、最後に書肆アクセス閉店について一言あった。坪内氏はアクセスでかなり本を買っているそうで、本を買うことが本屋を救う道だ、というしごく当たり前の、しかしあんがい難しい提言。また、閉店前に追悼集を企画するというのは筋違いだ、とみずのわ出版の柳原氏と同じことを言っていた。

終了後、サイン会があったので、その間に中川、石神井、田村さんとアクセスへ。『HB』の橋本氏が来合わせたので畠中さんが紹介してくれる。『HB』創刊号を買い、トークの打ち上げがある八羽(はっぱ)へ向かう。書肆アクセスの看板も見納めだ。

b0081843_20471196.jpg


八羽には坪内さんの教え子ですでに編集者になっている人たちや院生の人たちが集まっていた。『ぴあ』の安藤さんもいた。ほとんど中川さんの独壇場で爆笑の連続。坪内さんに「書き下ろしやんなきゃだめだよ」とひつこく食い下がっていた。これがまたギャグのキメゼリフのようになって可笑しい。九時前にお開きに。めったにない機会なので、その後もみなさんの後に従って、けっこう遅い時間になってからホテルに戻った。永い一日だった。
[PR]
by sumus_co | 2007-10-30 18:07 | 東京アレコレ日記

2007年10月26日 金曜日

b0081843_2165541.jpg


朝から雨。折り畳み傘を持参していてよかった。まずは東京古書会館地下ホールの古書展へ直行する。高額な洋書や和書が並ぶ特選展である。それらは眺めて過ぎるのみ。雨のせいで屋外でのワゴンセールは中止だったから、こちらが満員になっている。オヤジ率98%。あきつ書店のコーナーがとくにものすごい人だかり。割って入ろうにも入りようがない。小生はやや長身なので、棚の上部のみを後ろから見渡すしかないが、ふと宮崎丈二『爽かな空』(新作社、一九二四年)が目に入ったのでオヤジ連中の頭越しに手を伸ばしてゲット。900円。

b0081843_21112580.jpg


とりあえず、これで満足。津田清楓装幀の『三重吉全集第四篇「女」』(春陽堂、一九一九年五版、背文字=夏目漱石、木版=伊上凡骨)裸本200円もついでにつかみとる。それらを持って会場を一巡、臥遊堂の棚には生田耕作旧蔵の洋書がズラリ。どれか一冊と思ったものの、革装本は高額だし、ブロシェ(ペーパーバック)はこれといって欲しいタイトルがない。『ゴーギャンの手紙』が4000円だかしていたので断念。かわほり堂も少し難アリの筋のいい本を割安な感じで並べていた。微妙な値付けで手が出そうで出ない。

あきつ書店のコーナーにもどってみるとどこかで見覚えのある紅一点。ヒサコさんではないか。オヤジどもの波状攻撃にもガンとして譲らず一心に棚を占めつづける姿は感動的ですらあった。「あとでお茶しましょ」と声を掛けて、もうひと回り。三重吉の200円がだんだん無駄な買物に思えてきて、ふと棚にもどしてしまう。瞬間、胸までいっぱいに本をかかえたオヤジがパッと取り上げて抱えた本のいちばん上に置いた。すると急に惜しくなるから人間というのはおかしいねえ。でもさすがにそこから奪うわけにもゆかず、自らの愚かさを嘆きつつ諦めた。

神田伯刺西爾でヒサコさんの収穫を拝見する。今日はとくにラッキーだったようで珍本をいくつも取り出してどこがどう貴重なのか説明を受ける。国木田独歩の関係していた雑誌でどうしても入手できなかったものの一種を見つけたそうだ。小生は『古本屋を怒らせる方法』でコカコーラについて書いているが、初期のコーラ文献として『飲料商報』を引用している。ヒサコさんはさらに深くその発行元の「飲料商報社」がいかなる組織だったのか、ざっと解説してくれた。目からウロコが落ちた。本造りの苦心談もチラリと。ちなみに古書の森日記には「H画伯」って出てますが、古ハラおやじみたいですな。

午後一時前に書肆アクセスへ。畠中さんに挨拶。右文書院の青柳さん、塩山御大と待ち合わせて、ふたたび伯刺西爾へ。御大の抱腹絶倒な話術をカンノウする。『東京の暴れん坊』は十一月一日には見本ができるそうだ。楽しみなり。青柳さんより『書肆アクセスという本屋があった』のゲラをもらう。南陀楼綾繁氏は福岡出張中。

アクセスへもどり『古本屋を怒らせる方法』にサインし、店内の様子をくまなくデジカメで撮影する。装幀の材料でもあり、記録にもなろうかと思う。畠中さんは「もう棚がガサガサになってしまって」と言っていた。来店客にもカメラを構えている人が何人かいた。

同じすずらん通りのいのは画廊へ。ちょうど現代画廊・洲之内徹と親しくつきあっていた後藤洋明さんのコレクションを展示販売している。後藤さんとは何年か前に六本木での個展のときにお会いして以来。やはり現代画廊の常連だった版画家の方が、洲之内にもらった手紙を持っておられて拝見する。便箋三枚にびっしりと几帳面に書かれたいい手紙だった。

b0081843_2294230.jpg


大島書店の店頭がお気に入りなのだが、雨でシートがかかっている。店内で推理もののペーパーバックを一冊。植草甚一展でスチール本箱ひとつそんな本で埋まっていたのを見たため。『DEAD LION』(POCKET BOOKS,INC., 1950)には「早川書房・保存版」「No.1236」という判が捺してあったのでこれにする。表紙の絵もいい。100円

b0081843_22164753.jpg


古書モールをのぞいて、東京堂書店ふくろう店をチェック。『spin』全執筆者サイン本を平台の入口近くに置いてくれていて感激する。駿河台下の交差点を渡って白水社へ。『古本屋を怒らせる方法』の担当Sさんと飲む約束だった。まだゲラに向かって仕事中なのでしばらく待つ。編集部の女性の方が『文字力100』を買ってくださっていて、サインを頼まれ、嬉々として揮毫する。「本は文字が命」と識語(?)をしたためる。『文字力100』のなかに白水社の仏和大辞典を取り上げていることについてしばらく雑談。彼女は一九五〇年版を持っており、訳語に困ったときに引くと、昔の言葉遣いがあんがいと参考になるそうだ。編集部の一角、元版の文庫クセジュが詰まった本棚。

b0081843_22235884.jpg


S氏と神田やぶそばへ。近くの「まつや」は何度も入ったことがあるものの、やぶは初めて。まずはビール(エビス)で乾杯。味噌、かまぼこ、かきあげ。菊正の燗酒。せいろそば。『古本屋を怒らせる方法』は出だしがとても良かったが、今、やや停滞中とか。在庫は少なくなっているとのこと。装幀の細野綾子さんはアメリカに長くおられて、タイポグラフィを学んだそうだ。絵本の翻訳もしている(今、検索してみたら、《ニューヨークのスクール・オブ・ビジュアル・アーツ卒業後、グラフィックデザイナーとして活躍》とあった)。秋葉原駅前の立ち飲みでもう一杯やって別れた。

b0081843_17511978.jpg

[PR]
by sumus_co | 2007-10-29 21:58 | 東京アレコレ日記

2007年10月25日 木曜日

京都駅10時06分発のぞみ170号で上京。富士山頂には雲がたなびき灰色の空である。東京駅から新宿へ出て、京王線芦花公園駅下車。世田谷文学館で植草甚一展を見る。

b0081843_20105397.jpg


世田谷文学館の展示はいつものことながら少し手狭。どうも建築のプラン自体に問題がある。だから展示に迫力がない。出品物は植草甚一の全体をスケッチして悪くなかったが、コラージュなどのアート作品が手薄だった。葉書が中心というのはちょっと残念。むろん手書き(手描き)の葉書自体はとても面白いものだったが。

常設展示場に江戸川乱歩旧蔵の村山槐多「二人の少年」がかかっていた。著名作家の原稿のカラーコピーをいかにも本物のように展示するのは止めたほうがいいんじゃないか。コピーを展示するくらいならもっと他のものを並べてもらいたい。

新宿にもどって鴬谷までJRで。南口は初めてかも。陸橋を渡り、うまそうな匂いを漂わす焼き鳥屋を過ぎて大通り沿いの東横インにチェックイン。となりは連れ込みホテル、一泊6900円。東横インのフロントにはインド系のグループ客が集合していた。これまで泊まったなかではもっとも狭い部屋だったような気がする。設備はまったく同じだが。

b0081843_201607.jpg


今夜の仕事が第一の目的なので銀座の画廊へ出向く。有楽町から歩いたのだが、見知らぬビルディングがいくつも出来ていてびっくり。通りを歩く中国人や白人などの多さも意外な感じがする。画廊では長谷川利行の小品(10cm角くらいの板)を見せてもらった。女性の顔を画面いっぱいに描いた佳作だった。200万円ぐらいはするそうだ。それはともかく、その後何とか無事に用事を終え、ホテルにもどった。夜も更けて焼き鳥屋はいっそう繁昌していた。

b0081843_20305198.jpg


b0081843_2031630.jpg


b0081843_20311992.jpg

[PR]
by sumus_co | 2007-10-29 20:31 | 東京アレコレ日記

洲之内徹絵のある一生

b0081843_1940151.jpg


『洲之内徹絵のある一生』(新潮社、二〇〇七年)。新潮社出版企画部より届いていた。大倉さんも執筆しているので、そのためか? やはり引き込まれたのは原田光氏(現・横須賀美術館副館長)の父親像。また単行本未収録エッセイ二編、処女作放送劇も収録されている。『芸術新潮』の「洲之内徹絵のある一生」特集はもう十三年も前のことになるのだ。
[PR]
by sumus_co | 2007-10-29 20:01 | おすすめ本棚

植草甚一マイ・フェエヴァリット・シングス

b0081843_20301075.jpg


『植草甚一マイ・フェエヴァリット・シングス』(世田谷文学館、二〇〇七年)のカタログ。なんとか無事帰国、じゃない帰洛。帰国と言ってもいいぐらい、東京は外国人が多かった。東京での行状についてはカテゴリー「東京アレコレ日記」に追加するので、しばしお待ちを。

早稲田とか荻窪とか阿佐ヶ谷とか、あちこち行きたい所は多かったのだが、ほとんどずっと神保町に滞在していた。ホテルは鴬谷と日本橋小舟町(予約が遅かったため分散、いつもは東京ドーム近くの春日)だった。

山茶花や陰より跳び出すものもなし
[PR]
by sumus_co | 2007-10-28 20:57 | 古書日録

植草甚一スクラップ・ブック内容見本

b0081843_2021624.jpg


『植草甚一スクラップ・ブック全四十一巻』(晶文社、一九七六年、ブックデザイン=平野甲賀)内容見本。本文32ページというちょっとした冊子になっている。池波正太郎、小林信彦、淀川長治、篠田一士、油井正一、木島始、都筑道夫、清水俊彦、萩原朔美、飯島正、山下洋輔、小泉徹、片岡義男、小野耕世、中田耕治が寄稿、北けんじ(インタビュー)、イラストは和田誠、佐々木マキ、赤塚不二夫、秋竜山、本山賢司、河村要助、本人植草甚一、写真は御子柴滋、浅井慎平。そして木島始との対談もある。

《植草 うちの女房が京都生れでしょう。木島さんも京都だっていうんで、そのころ、友だちで京都の人ははじめてだったんです。それで逢うのが楽しみになったんですよ。
木島 京都は街はずれがすっかり変っちゃいましたね。むしろ真んなかへんで、昔のまま残ってるところがあるようです。
植草 最初に行ったころは、京都にはいいものがあるなと思ったんですけど、それがだんだんなくなってるような気がしますね》

b0081843_203139.jpg


《植草 (ドーバー・アンド・パイン書店のカタログを示して)これがよく行った本屋なんです。フィフス・アベニューの六十六番地ですね。一昨年に行ったとき、このカタログをもらって、チェックしてみたら、欲しいやつが六十冊くらいあったんですね。あくる日、それを持ってったら、おばちゃんがいて、帳簿を見ると、もうほとんど消しちゃってあるんです。やっぱりそういった古本を買う連中がいるんですね。
木島 たしかに飽きないですね。古本屋をまわってるだけでも。それとね、どこも空いてるんですよ。(笑)一般の人はあんまり本を買わないんじゃないでしょうかね。
植草 ただストランドっていう古本屋ーー例の百万冊あるというーーあのあたりはかなり入ってます。安い掘り出し物があるからでしょう。》

÷

ということで、所用のため上京します。ばらくお休みです。植草甚一展も見てきます。神田古本まつりも26日から。
[PR]
by sumus_co | 2007-10-24 20:50 | 古書日録

文章倶楽部 第六年第三号

b0081843_20305414.jpg


『文章倶楽部』第六年第三号(新潮社、一九二一年三月一日)の「文壇風聞記」より、加能作次郎(左端)が島村抱月の「芸術座」の旗揚げ興行「モンナワンナ」(メエテルリンク作)で兵士に扮している姿を写した珍しい写真。ということは大正二年か。周辺が破られているのは、水守亀之助が酔っぱらって引きちぎったそうだ。

《加能作次郎氏は平常は非常に温厚な、物静かな人だが、酔払ふと、なかなか陽気になつて、近頃文壇では有名なチロリ節といふやつを歌ひ出す。チロリ節といふのは、会津東山の盆踊り歌で、「菫摘む子に野の路問へば蝶の行方を花を指す」といふやうな歌に、「チチチチリチロリ」といふやうな笛の音の相の手が入るので、一寸野趣がある》

また巻頭には加能作次郎の「お君」という小説が掲載されている。郷里から東京へ戻るときに、家出する妹の女友達を同道するという話。他に鍋井克之、宇野浩二、室生犀星らの寄稿もあるが、雑誌の半分以上は投稿作品で占められている。

÷

コープでリンゴを買う。紅玉サンつがる。紅玉の傷み出したものを一袋いくらで売っていた。その傷みかげんが絵になりそうだと思ったのだ。持ち帰って袋を開けるとアトリエに甘酸っぱい香りが充満した。

爽やかや紅濃き玉の斑傷
[PR]
by sumus_co | 2007-10-23 21:21 | 古書日録

湖南市立甲西図書館「読む人」スケッチ展

b0081843_20561675.jpg


コスモスの揺れる湖南市へ行ってきた。京都駅から米原行きに乗る。瀬田には龍谷大学があり、南草津には立命館大学があり、南草津までは満員だった。草津で草津線に乗り換えるとローカル気分満喫。都合55分ほどで甲西に到着。二年前に石部と甲西が合併して湖南市になったそうである。迎えの車で図書館へ(といっても2分くらい、歩いても10分はかからないだろう)。かなり立派な建物である。町立としては全国でもトップクラスの図書館だったそうだ。館長さんとの挨拶もそこそこに「読む人スケッチ展の準備にかかる。原画はショーケースに入れる。

b0081843_20562876.jpg


下手前は淡彩の読む人(すべて新作)。奥は『読む人』(みずのわ出版)に収録した読む人。

b0081843_20564429.jpg


自著を並べさせてもらう。

b0081843_20565825.jpg


手前は装幀本の一部。壁の額は読む人の拡大カラーコピー。

b0081843_20571221.jpg


帰宅するころにはすっかり日が暮れてしまった。甲西駅ホームより。

b0081843_20581272.jpg


◉林哲夫「読む人」スケッチ展 10月20日〜11月4日
 林哲夫を囲む会 11月4日14:00〜
 滋賀県湖南市立甲西図書館

÷
[PR]
by sumus_co | 2007-10-22 22:06 | 読む人

古本病のかかり方

b0081843_20142356.jpg


岡崎氏より『古本病のかかり方』(ちくま文庫、二〇〇七年、カバーデザイン=石丸澄子)届く。うれしく再読。面白い。「文庫のためのあとがき」に元本(東京書籍、二〇〇〇年)が《古本っぽくなってきた》とあるが、古本ネタはまったく古くなっていない(「古本はあたらしい」!)。もちろん周辺の出来事などはさすがにややなつかしモードに入っているものの、そのギャップもまた文庫らしくて悪くない。古本屋もあんがい潰れていないのだ。

岡崎氏がいきいきと古本を語る、その語り口がどこかまだ新鮮味を帯びている。楽しくてしようがない感じが横溢しているように思う。だから読んでいるこちらも自ずと楽しくてしようがなくなるのである。

少し前にここで文芸雑誌と時刻表について触れたとき、岡崎氏がそのことについてどこかに書いていたと思ったのだが、見つけられなかった。それは『古本病のかかり方』の「夜汽車には「小説新潮」がよく似合う」だったのだ。いや、参考になりました。長距離列車の友として中間小説雑誌が売れた時代があった。

それにしても、昔から感心するのは、形容の巧みさである。要所要所にさりげなくみごとに収まっている。例えばBGMに日本のフォークソングが流れていた大阪の空閑文庫を語るくだり。

《店主はヒゲ面、長髪で、そのまま「私たちの望むものは」を店内で歌いだしても不思議はない雰囲気だった。ここは人文書、文芸書など品揃えはよかったが、千林商店街と言えば、大阪のおばはんが左手にイカやきを持ちながら、ダイエーで特売の下着を買うような土地柄なので、少し高踏的すぎたかもしれない》

河童本、蛙本をはじめとして、本になるほどなという呼び名をつけるのも岡崎流。

《評論家の坪内祐三さんは、本以外にあまり買い物をしないため、自分のためにその日何か買って帰る本のことを「おみやげ」と呼んでいる。これまた、言い得て妙である。わたしの場合はこれを「おやつ」本と称していた。下宿に溜め込んだ本は主食のご飯。それに加えて、ちょいと一品か二品、その日少しばかり楽しめる甘いものがほしくなるわけだ》

《どうしてもと強く魅かれて買ったわけではない。なにやらゆかしスミレ本として、一応つまみとして一品買っておくか、のレベル》

《なにやらゆかしスミレ本》とはうまい。ほんとにそういう感じのする古本というのがあるのだ。先頃出た『中央公論』の古本入門特集でも感じたが、一般の人に古本の面白さを説き聞かせたらピカイチなのもこの文章力あってのこと。しかもその説明には《古漬けのナスやキュウリのようになった》古本おやじでも改めて教えられることは多い。

『古本病のかかり方』を読み終ると、むらむらと持っている古本を取り出して点検したくなる。楽しい忘れ物が挟まっていないか、不審な書き込みを見落としていないか、探したくなる。古本病とはそんな無駄な元気の出る病気のことだったようである。

息災に一病ありて冬支度
[PR]
by sumus_co | 2007-10-22 22:06 | おすすめ本棚