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<   2007年 08月 ( 30 )   > この月の画像一覧

帝国読本

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学海指針社編『帝国読本巻之三』(小林八郎、明治二十六年再版)。学海指針社は多くの教科書を編集しているのだが、ググってみても、適当な解説を発見できなかった。発行者には「小林八郎」の表示しかないもののこれは日本橋にあった集英堂本店である。金港堂、普及舎、冨山房などとともに明治期の代表的な教科書出版社。

この教科書の特徴は挿絵が一流の画家の手になるということだろう。上の図は小林清親の舌切り雀。他に浅井忠と松本楓湖のサインが読めた。彼ら以外に七八人の画家が寄稿しているようだ。K.O、S.O、H.G、MNなどのイニシャルの署名は洋画家だろうとは思うが、ちょっと特定するのは難しいか……。

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上から小林清親「かへるのはなし」、浅井忠「テウレン」(調練)、同「猫」。

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わが家の近所にはまだ畑や水田がかなり残っている。今は稲が実って穂を垂れ、じょじょに黄金色がきざしているところだ。郵便局が駅前と駅の北方と二カ所ある。わが家はほぼその中間に位置している。たいていは駅前で用足しをするが、気分を変えて北の郵便局へ出かけてみた。

その道筋には田畑があり(といってもここ何年かで半分ほどに減って、すべて住宅になった)、その脇に野菜や米の販売機が置いてある。窓付きコインロッカーというかんじ。百円から五百円ていど。コインを投入して目当ての扉を開く。タマネギ、ナス、マンガンジトウガラシなどが今時分のメイン商品。キュウリ、トマトはもうあまり出ていない。

帰りは通ったことのない細道をたどってみた。すると、コイン販売ではなく、農家の納屋に篭をずらりと並べて袋に入れた野菜を売っている。戸を開け放して無人。一袋百円のキュウリがあったので短めの四本入りを取って、入口の脇にある金入れにチャリンと賽銭じゃないお代を投入してきた。マーケットで買うより美味だった。

地をみつめいらへもせずに胡瓜食む
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by sumus_co | 2007-08-31 22:07 | 古書日録

TAMAKI・YAMADA

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14日に『STÉPHANE MALLARMÉ POÉSIES』(NOUVELLE REVUE FRANÇAISE, 1914)を紹介して、見返しのところに鉛筆で《山田珠樹旧蔵書》と書いてあったとしたが、今日ふと見ると、前扉のところに上のような蔵書印が捺してあるではないか。初めから目にはついていたのだが、文字が読めなかったのだ。これで間違いないだろう。

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小沢信男『通り過ぎた人々』(みずず書房、二〇〇七年)の「寺島珠雄」の章に手作り封筒についての記述がある。これについては触れたことがあったと思うが、触れてなかったかもしれない。晩年の寺島さんとは『ARE』『sumus』を通じて少しだけ交渉があり、『低人通信』というフリーペーパーもいくつかは頂戴している。それは定型最大くらいの大きさなのだが、いつもたいてい手作り封筒で届けられるのである。小沢さんはこう書いている。

《裏が白い広告紙を切り貼りしてある。封筒の内側を覗くと、尼崎のパチンコ屋が新台に入れ替えたらしいとわかったりした。》

寺島さんが小沢宅を訪ねた折りに小沢さんは封筒をわざわざ手作りにする理由を問う。

《「封筒はあるのよ」にべもない苦笑いだった。にもかかわらず作りつづける。いつどのように作るのか。/朝風呂からもどると、氏は好みの手料理を摂り、茶を一服する。》《一服後、机上に裏の白い広告紙を置く。「袋貼りは手慣れたものよ、僕は」》

《尽忠報国の戦時下に、辻潤に傾倒する無頼少年だった。この在獄中にも体罰の嵐の死線をあやうく越えている。運良く敗戦で出獄し、その後は労働運動に没入した時期もある。網走番外地や長野無番地にも、なぜかいたらしい。そのどこかの塀の中で、袋貼りの作業があったのにちがいなかった。》

ううむ、そういうことだったのか。ただの老人のもったいない症ではないだろうとは思っていたけど。寺島さんのHPはこちら「寺島珠雄/われら

秋曉の投込折る指皺深し
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by sumus_co | 2007-08-30 21:45 | 古書日録

杉本家住宅

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綾小路通西洞院東入ルの杉本家住宅。当主は仏文学者の杉本秀太郎氏である。味禅へ蕎麦を食べに寄った(おたべガイド参照)ついでにその近辺を散策していて発見。このあたりに位置することは知っていたが、実際に目にするとやはり風格がきわだつ。京都でも急速にこういう古い家屋が失われつつある。「京都指定有形文化財」の標識に以下のような説明がなされていた(抜粋)。

《杉本家は、寛保3年(1743)以降「奈良屋」という屋号で呉服店を営んでおり、当初は四条烏丸付近にあったが、その後明和4年(1767)に現在地へ移ってきた。また、かつては西本願寺の勘定役を務めていたと伝える。現在の主屋は元治の大火後に再建されたもので、棟札によれば明治3年(1870)4月23日に上棟されている。》

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「日本の古本屋」からある書物を注文し、今日それが届いていた。千円の本だったのに、なんと《送料はサービス(無料)とさせて頂いております》と書いてあった。注文のときにもメールで確認したはずだったが、やはり驚かされた。振替用紙にはこちらの住所氏名も記載されている(書き込む手数を省いてくれている)。福岡の葦書房さん。

古本の場合、新刊と違って、探している本がどこにでもあるというものではない。ただ、もし、いくつかの書店に同じ本が同じていどの値段で出ていれば、送料無料が圧倒的に有利なことは言うまでもないだろう。

封筒を見ると、料金後納郵便で差出人が神奈川の「紫式部」となっていた。ということは郵便局と特別な契約をして送料を低くおさえ、一括で書籍を管理しているのだろうか。注文から発送までに数日かかったのが欠点と言えば言えるが、送料無料はやはり有り難い。

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高村光雲『光雲懐古談』(万里閣書房、一九二九年四版)。これも神戸の収穫。岩波文庫に『幕末維新懐古談』(一九九五年)として増補版が入っているが、元本には口絵写真が多数収められており、これだけでも価値がある。表紙は木版刷の江戸地図。蛇足ながら高村光雲は高村光太郎の父で彫刻家。上野の西郷隆盛像の作者。

いくとせをペツト牽きつつ夕涼み
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by sumus_co | 2007-08-29 21:03 | 京のお茶漬け

ランクイン

東京堂書店「今週のベストセラー」7位。写真は神保町勤務のN氏より。写真では8位のように見えるが7位です。

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白水社「最新売れ行きTOP10」8位

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『京阪神エルマガジン』10月号と『彷書月刊』9月号。両誌の「高遠 本の家」レポートを読み比べると、期せずして山本vs岡崎の均一対決が再現されているゾ!

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高遠は長野県。今日届いた葉書は石川県の富来へ行っている扉野氏からだ。

《Nさん、Mさん、Kさんと、富来祭りにやってきました。加能作次郎の頃から、さほど変っていないのんびりとしたなつかしいような祭りです。月夜に「キリコ」と呼ばれる神輿が幾台も参道に連なりユラユラ若者たちがヨッパラッて帆舟が波にゆれている風に見えます。二時三時、夜更けまでヘロヘロになるまで続きます》

この情景がペン画で青々と裏面いっぱいに描かれていた。夏休みももうすぐ終わる。

そべり見る男は誰そ夏祭
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by sumus_co | 2007-08-27 19:19 | 著述関連

貞操

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菊池寛『貞操』(プラトン社、一九二四年十版)。装幀はおそらく山名文夫であろう。日曜日に神戸へ出かけていた。大学図書館問題研究会の第38回全国大会の分科会に呼ばれて「神戸の古本力」について少ししゃべったのである。その途中、景気付けにと某書店へ入ったら、これがあった。重版で函もないが、500円なら買っておきたい。

分科会に呼ばれた切っ掛けは和光大学の図書館のKさんが『神戸の古本力』を読んでくださったからだった。メールで依頼をいただいて、昨日はじめてお会いした。
「こんなにお若い方だとは思いませんでした」
よく言われます。多くの読者が小生の文体からガンコ爺を連想するらしい。でもそんなに若くはないのです。

初めに大学図書館におけるリユースの問題についてK大学の方から報告があった。リユースというのは、複本(二冊以上所蔵する本)を廃棄せずに古書店に売却するということである。重複する本は多くが退官した教師たちの寄贈本であって、どこの図書館も本の置き場所には困っているので、大学法人化以降、廃棄以外にもそれらの書籍を活かす道ができてきたということらしい。まだ始まったばかりだが、分科会に参加している担当者諸氏の反応からすると、今後は定着しそうであった。

小生のレクチャーは神戸の古本屋というか最近の古本をとりまくトピックについてとりとめのない話。その後、有志の方々を元町と三宮の古書店へと案内して歩いた。トンカ書店(臨時休業)、ちんき堂、つのぶえ(定休日)、古本レトロ倶楽部、神戸古書倶楽部、あかつき書房、後藤書店、万陽書房、ロードス書房。三宮方面は時間が遅くなってしまい、ほとんど見られなかったのが残念。終了後、焼鳥のんちゃんでカンパーイ。よく歩いたので麦酒がうまかった。
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by sumus_co | 2007-08-27 17:11 | 古書日録

気まぐれ美術館

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『気まぐれ美術館』(朝日新聞社、一九九七年)展の図録。洲之内徹没後十年に目黒区美術館他で開催された。ということは今年は没後二十年目にあたる。命日は十月二十八日。先日、葉書を頂戴したからというわけでもないだろうが、今日、突然、ある編集者から電話があった。洲之内徹の小説集を復刊するということに関しての、ちょっとした問い合わせだった。いちおう小生はネット上に洲之内徹略年譜を公開しているので、そこからたどったらしい。未発表の評論なども収録したい意向だという。奇特な企画を通す出版社もあるものだ。もちろん新潮社ではない。

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堀辰雄に「旅の絵」というエッセイがある。初出は「新潮」1933(昭和8)年9月号。たしか竹中郁の『一匙の雲』(ボン書店、一九三二年)の出版記念会に参加がてら神戸を訪れたのだった、と思っていたらそれは『象牙海岸』(第一書房、一九三二年十二月)ですよとご教示いただいた。訂正します。そのときの様子を印象深く書き留めており、堀辰雄のなかではいちばん好きな作品である。

堀はトアロードの突き当たりにある安宿ホテル・エソワイアンに泊まり神戸をあちらこちら散策する。そのときに海岸通のある薬屋で海豚叢書の『プルウスト』を購入するのだが、その薬屋とは英三番館と呼ばれるトムソン調剤薬局(J.L.THOMPSON & CO. DISPENSING CHEMIST)のことで、外国人向けの雑貨店を兼ねていた(現在は旧居留地の三井住友銀行の一角らしい)。

堀が買ったという《海豚叢書の「プルウスト」》とはいったいどんな本なのか? 気になって、あれこれ検索した結果、サミュエル・ベケットの『Proust』(Chatto & Windus,1931)だろうと見当をつけることができた。これは「Dolphin Books series」の一冊なので「海豚叢書」でまず間違いないだろう。ベケットの実質的な処女作らしい。堀が購入した前年に刊行されているということは、トムソン調剤薬局には新刊書として並べられていたと思ってもいいかもしれない。

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Chatto & Windus はアンドリュー・チャットゥ(1841-1913)が創業した会社で、マーク・トゥエイン、オルダス・ハクスレーなどを出しており、一九二二年にはモンクリフ訳『失われた時を求めて』の刊行を開始して英国に初めてプルーストを紹介している(これについてはこのブログでも話題にしたし、『古本屋を怒らせる方法』にも収録しているのでご参照いただきたい)。戦後、ジョナサン・ケイプに吸収され現在はランダムハウスの傘下に入って文芸書を出し続けている。

なお『spin』02で中島俊郎氏が長年探してようやく入手されたという苦労話を披露されているロジャー・フライ訳の『マラルメ詩集』も Chatto & Windus の本である。書影が出ているのでこちらも同誌をご参照あれ。

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山茶花が虫に食い荒らされているのに気付いた。どうやらチャドクガの幼虫らしい。夕方、園芸店で薬剤を買ってきた。

蟲篝エキフェンプロクス水溶体

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ナベツマのブログにキアゲハの羽化写真がアップされています。ご興味のある方はぜひのぞいてみてください。MushiQuest「王妃、超変身ちゅう」の巻
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by sumus_co | 2007-08-25 21:01 | 古書日録

珈琲共和国

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一昨日『白山天福党報』1号(なないろ文庫ふしぎ堂)が届いた。これは『彷書月刊』編集長田村治芳さんによる久々の手書き目録。以前は「等々力雑報」だった(等々力から白山へ引っ越したということで、たいへんわかりやすいネーミング)。なにやらポラン書房の夏まつりに並べておいたが、タダにもかかわらず売れ残った(?)そうだ。

ざっと目を通して喫茶店「ぽえむ」チェーンの機関紙『珈琲共和国』四部というのがあったので注文した。ぽえむについては拙著『喫茶店の時代』にも少し書いたが、じつは田村編集長は若かりし日、ぽえむに勤めていたことがあるのというのだ(これはたしか『彷書月刊』の植草甚一特集のときにも書いておられた)。目録の口上から引用する。

《一九七三年九月七日阿佐谷のぽえむに、七痴庵はつとめることになったのデシタ。翌九月十日[ママ]は第一日目おそらくアタフタしながら永島慎二さんにお水をだしたりしている筈。翌九日は中番たんとう、午後1時から10時までデシタ。阿佐谷店勤務は一ヶ月に満たず、人員の減る下高井戸店に配属が決まったのは九月二十八日デシタ。ここで植草甚一さんと出会います。》

そして届いた『珈琲共和国』に添えられていた手紙にはこうあった。

《「珈琲共和国」はあんなにあったのにな……と思います。アタシも、一時は、けっこう、バックナンバーをもってたんですが、いつのまにか、これで手持ちはオシマイデス。編集の西一知さんというのは、詩人で、何度か本部で会ったことがありました。山内豊之さんの息子さんが、今のぽえむ(の残った店)をやっているようです。「黄色い涙」の映画で、ちょっとははんきょうがあるカシラ、といったところ、永島慎二にお水をだしたのはホントです、まだ、コーヒーはいれさせてもらえなかった頃。》

永島慎二といえば、先のすむーす友の会で魚雷氏が『ある道化師の一日 遺稿集』を見せてくれた。これはぜひとも入手したいと思っているが、まずは届いた『珈琲共和国』の四冊を点検。永島さんによる店主山内氏の似顔絵がのっているだけだったのはちょっと期待はずれ。ただ、ぽえむのフランチャイズについての考え方はよく分かった。

上の永島慎二『阿佐ヶ谷界隈怪人ぐらいだあ』(旺文社文庫、一九八四年)はエッセイとマンガを編集した小品集のようなもので、『珈琲共和国』およびその後継誌『珈琲連邦』での連載記事も収録されている。図はその一部。改めて読み返すと永島さんはむろん絵も達者だが、文章がうまい。読む者を引きつける。

亡き人の阿佐ヶ谷ふはり風は秋

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ナベツマのブログにキアゲハの羽化写真がアップされています。ご興味のある方はぜひのぞいてみてください。MushiQuest「王妃、超変身ちゅう」の巻
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by sumus_co | 2007-08-24 22:01 | 喫茶店の時代

はまべにはいしがいっぱい

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レオ・レオニ Leo Lionni『はまべには いしが いっぱい』(谷川俊太郎訳、ペンギン社、一九七九年)。これはたしか阿佐ヶ谷に住んでいた頃に新刊で買ったのだと思う。鉛筆一本でさまざまな形の石をみごとに描き出している。レオニの『あおくん と きいろちゃん』(至光社、一九六七年、原作は一九五九年刊)はその頃のデザイン学生の間では伝説的な作品で、むろん持ってはいたのだが、息子が落書きだらけにしてしまった。石ころの方は息子はさほど興味を示さなかったというか、息子には見せなかったかもしれない。どうやら現在、新刊では入手できないらしく、ネット上では高額になっているようだ。

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朝から電話が不調で大騒ぎ。かかってきた電話が数秒で勝手に切れてしまう。こちらから電話をかける分には問題はないのだが。どうやら昨夜の落雷が原因でヤフー!BBのモデムに何らかの不都合が生じたらしい。ナベツマが必死でヤフーに電話して(というのはカンタンにはつながらないようになっているのだ)モデムの交換を依頼した。同様の落雷による不調が多数発生しているとのこと。到着まで数日かかる。お電話いただく方はそのつもりで!

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梶井基次郎の「泥濘」(『青空』五号)を読んでいると、本郷の古本屋がでてきた。学生(梶井)が待ちに待った仕送りの為替を受け取り換金して東大前の古本屋に入る。

《買ひ度いものがあつても金に不自由してゐた自分は妙に吝嗇になつてゐた。「これを買ふ位なら先刻のを買ふ」次の本屋へ行つては先刻の本屋で買はなかつたことを後悔した。そんなことを繰り返してゐるうちに自分はかなり参つて来た。》
《古本屋と思つて這入つた本屋は新しい本ばかりの店であつた。店に誰もゐなかつたのが自分の足音で一人奥から出て来た。仕方なしに一番安い文芸雑誌を買ふ。なにか買つて帰らないと今夜が堪らないと思ふ。その堪らなさが妙に誇大されて感じられる。誇大だとは思つても、そう思つて抜けられる気持ちではなかつた。先刻の古本屋を亦逆に歩いて行つた。矢張買へなかつた。吝嗇臭いぞと思つて見てもどうしても買へなかつた。雪がせはしく降り出したので出張りを片付けてゐる最後の本屋へ、先刻値段を聞いて止した古雑誌を此度はどうしても買はうと決心して自分は入つて行つた。》
《然しそれはどうしても見付からなかつた。さすがの自分も参つてゐた。足袋を一足買つてお茶の水へ急いだ。もう夜になつてゐた。》

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夕食は駅前のラーメン。コンビニ、ブックファーストと寄って、帰宅していると、後ろから呼びかけられた。と思ったら、ケイタイで話しながらやってくる男性だった。

のゝしられたかとふりかへる星なき夜
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by sumus_co | 2007-08-23 21:37 | 古書日録

荘厳なる詩祭

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松永伍一『荘厳なる詩祭』(田畑書店、一九七〇年、装幀=宇野亜喜良)。100円だったので、かなり傷んでいるが、買ってみた。夭逝した詩人十数人の列伝になっている。啄木、賢治、槐多の他はほとんど無名の(小生が知らないだけだろうが)詩人ばかり。かろうじて淵上毛銭、と陀田勘助(ダダカンスケ)の名前くらいは聞き覚えあり。

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《先日、田村の均一で通叢書の「道頓堀通」を200円、長島書店で川崎長太郎の「伊豆の街道」、これまた200円で手に入れました。》

Aさんより『古本屋を怒らせる方法』の感想とともに、最近の収穫についての報告があった。さすがだ。『伊豆の街道』は帯があればけっこうな値段らしい(帯に上林暁の評がのっている)。Aさんは神田勤めの方。

そうそう、神田勤めと言えば、日課として、神保町の均一台巡りをしているTさんから面白い手紙をいただいていたので紹介しておく。Tさんは雨の日には神保町モールへ行くそうだ(ビルの中にあるので雨の心配はない)。そこで必ず顔を合わせる男性がいるらしい。その人が小川町の某出版社のビルに入るのを見かけて某社の人だと知る。Tさんが古本の本を出版したとき、いつも顔を合わすのだから一冊献呈しようと思い立つ。

《雨の日の昼休み、神保町モールに行くと案の定100円均一棚の前にいて、勇気を出して自己紹介して、今度この本を出しましたのでお近づきのしるしにと差し出すと、一瞬顔をひきつらせ、私は好きで古本を探しているんだからいったいどういうことだと怒り出すんです。私はビックリして、他意はありませんから受け取って下さいと無理におしつけて退散してしまいました。その後も毎日顔を合わせ(私は気が弱いですから目線をそらします)ますが、あいさつも何もしないです。Aさん[上述のAさん]でも、岡崎さんでも均一台の前で親しくなったのですが、世の中には難しい人もいるものだとこの歳になって勉強しました。[似顔絵アリ]57〜8歳、中肉中背、重い革カバン》

いや、サイコーです。均一台の客を怒らせる方法!

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おやつの時間にひょいとTVをつけたら、高校野球の決勝戦の八回裏をやっていた。ワンアウト、ランナーなし。広島が4−0でリード。ところがここから佐賀が連打、四球、四球(微妙な判定だった)ときて一点、そして満塁ホームラン。あっという間の大逆転だった。

甲子園といえば、俳句甲子園というのもあるらしい。夕方のニュースで紹介していた。今年、団体は開成高等学校Aが優勝。最優秀賞は準優勝チームから次の句(決勝の兼題は山だった)。俳句の優劣なんて、なんぼのもんじゃ、という気はするんだけどねえ。

山頂に流星触れたのだろうか  清家由香里

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夕刻、激しい雷雨があった。しばらくすると消防のサイレンが聞こえていたので、落雷の被害があったのかもしれない。無線LANが一時つながらなくなった。雷が収まってから初期化すると再開したので一安心。

雷鳴の轟犬よとくもぐれ
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by sumus_co | 2007-08-22 21:28 | 古書日録

ベレー横町

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伊吹武彦『ベレー横町』(中外書房、一九五八年二版、装釘=すけたけ・おさむ)。渡邊一夫とともに頂戴した一冊。伊吹は大阪生れ、三高から東大仏文へと進み辰野隆の指導を受けた。三高そして京大で永く教鞭をとり、退官後は関西学院大でも教えている。

三高時代は北川冬彦、飯島正、大宅壮一、山口誓子らと同期。三高の教師として武田麟太郎や新村猛を教えたとこの本にはある。むろん京大では杉本秀太郎、山田稔、多田道太郎、大槻鉄男、生田耕作らの師ということになる。

辰野隆ゆずり(?)のインテリ随筆はあまり面白くないが、三高時代の回想となると俄然生彩を帯びてくる。淀野隆三より少し年上。淀野日記にも出てくる五月一日の三高の記念祭(運動会)についての記述がたいへん参考になる。一般市民もどっと押し寄せる京都の一大イベントだったそうだ。

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『プルースト全集第七巻 見出された時**』(nrf, 1932)、in-octavo(八ツ折、in-8゜、この本は227×140mm)版。下鴨で300円なり。バラで買っても意味ないのだが、つい。で、青柳いづみこ・川本三郎監修『「阿佐ヶ谷会」文学アルバム』(幻戯書房、二〇〇七年、装幀=間村俊一)を読んでいると、『新潮』で上林暁の担当編集者だった前田速夫氏のエッセイ「町内の先生」に、ベッドで寝たきりの上林から『失われた時を求めて』全七巻セット(新潮社)を届けるように頼まれる話があった。

《ひところは好んで短い童話を読んでいた先生が、長大なプルーストに挑むまでに体力が回復したことは慶賀すべきことと嬉しかったが、なんと半年もしないうちに、全巻の厚表紙はよれよれになって、ページも手垢で黒ずむまでになっていたから、最後まで読み通してしまったことは間違いない》

そして前田氏はプルーストが上林の創作に良い刺戟を与えたのだと断定している。なお前田氏自身は第一巻の途中で挫折したままだそうだ。

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朝九時過ぎに電話が鳴った。受話器を取ると、聞き覚えのない中年女性の声が、いきなりこう言うのである。
「のどの調子が悪くて、今日は休ませてもらうから、そう言うといて」
たしかにガラガラ声で苦しそうだったが、小生に伝言されてもどうしようもない。
「はいはい、分かりました、お大事に」
と答えて電話を切った。
というのはウソ、「間違い電話です」と断った。しかし一日中、そのしわがれた声が耳について離れなかった。

空蝉の受話器の果の曠野哉(あらのかな)
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by sumus_co | 2007-08-21 21:38 | 古書日録