林蘊蓄斎の文画な日々
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一月をよそゆき眼鏡で送りたり

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新潟の詩人斎藤健一さんより『乾河』48号をいただく。発行者は朝比奈宣英(芦屋市若葉町6-2-344)。失礼ながら詩は斜め読み。斎藤氏のエッセイには浅井十三郎が取り上げられている。常に新潟の忘れられた詩人を気にかけ、紹介に努めておられる。浅井は《自分で同人詩誌を出すために家の畳まで売った詩人である》とか……ああ。

冨岡郁子さんのエッセイ。以前は詩誌『yuhi』にパリの国立図書館をレポートされていたが、今回は「シレーヌ」という出版社について。ジャン・コクトー、サンドラール、ポール・ラフィットが一九一八年に始めた「Éditions de la sirène」である。冨岡さんは《後々の本作りに大きな影響を与えたらしい。つまり、活字、紙、装幀、挿し絵にも心をくだき、本をただ読むためのものだけでなく、一つのオブジェとした、最初の出版社らしい》とパスカル・フーシェに従って書いておられる。

興味が湧いたので少し検索してみると、コクトーらしい洒落た作りのブロシェ(並装)が多いようだ(下図)。コクトー、サンドラールはもちろんのこと、アポリネール、ペトロニウス、ジョイス、ボードレール、ポー、ロートレアモン、カサノヴァ、ヴィヨン、ペロー、アンデルセン、マラルメ、千一夜物語、オマール・ハイヤーム、デュフィ、プーランクなどなど。第一次世界大戦終了前後ということを考えれば、天晴なレパートリーであろう。日本の文芸出版にも少なからぬ影響を与えたに違いない。

シレーヌというのは本の中央に着いているイラストで分かるようにサイレーン、人魚の姿をした海の精。美声で船員を惑わし難波させるという(スナメリかイルカの類いかな?)。

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某新聞付録雑誌の取材を受ける。『神戸の古本力』を紹介してくれるというので、神戸の古本屋について、というか古本について小一時間語る。女性記者さんだったが、京都在住で三月書房の宍戸さんに可愛がられているというだけあって、古本はあまり知らないんですと言いながらも、ちゃんと話が通じた。

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猫額洞さま
お先に失礼しました。リンクしていただければ有り難いことです。猫額洞さまの何気ない写真がいいですね。
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by sumus_co | 2007-01-31 20:56 | おすすめ本棚

spin 01 創刊号 発売中

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『スピン』第一号が送られて来た。目次は以下の通り。表紙は間村氏の仕事机。

01  幻脚記 一 ジャコメッティ・ヴィジョンについて  鈴木創士
12  珈琲漫談 一 山猫軒にて  間村俊一 + 内堀弘 + 林 哲夫
26  エエジャナイカ 1 雨の十一月 北村知之
39  淀野隆三日記を読む 一  林 哲夫
73  みずのわ編集室 1  柳原一徳
96  編者贅言

◉編者贅言
 全く思いがけなくも淀野隆三の日記を読み通すという願ってもない機会を与えられた。しかも発表することを前提に活字(データ)化してよろしいという話である。ただ、日記は淀野隆三の生涯に渡るものであって、その分量も生半可ではない。どのような形で発表すれば良いだろうか……、あれこれ思案したあげく、新しい雑誌を創刊するのが一番良いだろうという結論に達した。そこでこのところ世話になりっぱなしのみずのわ出版に雑誌刊行について打診してみると、面白そうだからやってみましょうという快諾である。太っ腹なのか、ヤケクソなのか、いずれにせよ、こちらとしては大いに助かった。

 版元雑誌となれば、できるだけ多くの人に読んでもらえるものにしたい。そこでまずは敬愛する装幀家・間村俊一さんに登場していただこうと決めた。間村アトリエを訪問するについては、詩歌を主に扱う石神井書林の内堀弘さんを誘って詩人・間村俊一の側面を引き出そうと企てた。お二人はタイガースファンということでも共通している。たいへん愉快な半日となった。下の写真3点はいずれも間村アトリエにて。

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 鈴木創士さんとは某氏の出版記念会で初めてお会いした。中島らもの親友であり、気鋭の評論家、仏訳者である、というようなことは全く存じ上げなかったが、この人だというカンが働き、その場で原稿を依頼した。偶然か必然か、間村、内堀、鈴木各氏はいずれも一九五四年の生まれである。

 もっと若い人にも参加してもらいたいと思い、ブログなどで人気の北村くんに紙媒体デビューをお願いした。

 なお「スピン」は「しおり紐」という意味の出版用語である。[補注=ただし spin という綴りなのかどうかは保証のかぎりではない。少なくとも参照した英語辞典に「しおり紐」という語義は見当たらなかった]

◉取扱書店等の情報およびご注文は下記へ。
ISBN978-4-944173-47-1 C0095 ¥1000E
みずのわ出版 定価 本体1000円+税

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『spin』01感想集

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◉鼎談おもしろく読ませていただきました。[1月26日 中尾務]

◉帰りに神保町「書肆アクセス」へ。
 『spin 01』(みずのわ出版)
 『酒とつまみ』第九号(酒とつまみ社)
を購入。畠中店長がお店の人に「なにかやりたいこと(作業)あるぅ?すごく」と訊いていたのが妙におもしろい。
 『spin』では北村さんのエエジャナイカ(未公開分)が読める。いつか紙で読みたいと思っていたのだ(さっそく読む)。
[ 2007-01-27 02:00 退屈男と本と街]

◉「編者贅言」によれば「全く思いがけなくも淀野隆三の日記を読み通すという願ってもない機会を与えられた。しかも発表することを前提に活字(データ)化してよろしいという話である。ただ、日記は淀野隆三の生涯に渡るものであって、その分量も生半可ではない。どのような形で発表すれば良いだろうか……、あれこれ思案したあげく、新しい雑誌を創刊するのが一番良いだろうという結論に達した。」とある。「淀野隆三日記を読む」というタイトルから、「ウンチク」さんが「淀野隆三日記」をどう読んだかという内容を想像していたのだが、贅言通り「淀野隆三日記」を活字化したものだった。すなわち「読む」のは読者というわけ。それにしても、日記を活字化するために、雑誌を創刊してしまうというアイデアがすごい。分量が多いので致し方ないのだろうけれど、各段23字26行の3段組というのは、老眼が進んだ目にはちょっとつらい。眼鏡をはずさないと読めない。前半が大きめの活字で組んであり、後半「淀野隆三日記を読む」と「みずのわ編集室」が小活字で組まれているので余計そう感じるのかも知れない。「幻脚記」はあまり興味がわかず、「珈琲漫談」は談論風発で面白いが、書影がほしい。「エエジャナイカ」はほのぼのしていて面白く読めた。話題も天野忠、山田稔と敬愛する詩人、作家なので、若い人にもちゃんといいものが受け継がれてゆくのがわかってうれしい。「長田弘『私の二十世紀書店』で板倉鞆音がリンゲルナッツの詩を翻訳するようになったてん末が「無宿者」という詩とともに書かれている。」は貴重な情報。長田弘に対しては、スムース創刊号の三月書房の記事を読み、あまりいい感じを持っていなかったので、その著作は未読。今度読んでみよう。「淀野隆三日記を読む」はこれからのお楽しみ。「みずのわ編集室」を読み、思わずエールを送りたくなる。「spin」の発行が滞りなく続くことを祈るばかり。
[2007年01月28日 01:03 KYO]

◉まず、手にした感じがとてもすばらしい。中身もバランスよく配置され ている。文字の大きさにもうひと工夫されるとさらに読みやすくなるだろう。淀野隆三の日記、これは貴重なもの。このあと、大学時代のこと、梶井基次郎のこと、「青空」のこと、東京での生活、「詩・現実」のこと、高桐書院のこと、翻訳のこと、晩年の読書生活など、興味津々だ。これからも順調に出し続けてほしい。
 北村知之の「雨の十一月」も楽しく読めた。いい絵(林哲夫)を見て、いい本を買って(苦の世界)、読んで(我が感傷的アンソロジー)、いい人(山本善行)に会っている。北村くんは、印刷の仕事をしている佐々木さんのいつも黒い指を見るのが好きだという。こんな北村くんの連載も楽しみだ。
 いい雑誌を見れば、新しい雑誌を出したくなってくる。
[2007年01月29日 01:22 古本ソムリエ]

◉『spin』いただきました。
お礼が遅くなりすみませんでした。
淀野の日記は、思った以上に書き込まれたものと驚きました。
なんとも貴重な記録に出会ったものですね。
1900年前後に生まれた世代の(彼らが切り開いていったわけですから)
1920年代から30年代にかけての日常が記録されているのは
これは、すごいことです。
それがこうして読めるとは、なんと楽しみなことか。

北村さんという方の文章は、気持ちのいいものでした。
若い方のようですが、抑制がきいていて、
我々オジンより、活字を一回り大きくしてあげたのは
誠に賢明であったかと存じます。

版元日誌も読み終わるのがもったいないなと思いながら
楽しみました。

我らオジンの雑談は
特に私がべらべら、しょーもないことをしゃべっていて、
誠にお恥ずかしい。
こういうのを、抑制がきいてないというのか。
活字が小さくてよかった。などと思うばかりです。
[2007年1月29日 18:44 古書肆・石神井書林 内堀弘]

◉全96頁、B5、みずのわ出版より刊行。薄手の雑誌だが、表紙の紙がわりと硬いので、手にとって安心して読める。鈴木氏の文章頁も、ああ、よかった。大きめの印字である。わたしはもう、細かな文字が追えなくなっている。

 鈴木創士氏はジャコメッティ他の文章を引用しつつ、世界が静かに消滅して異質の世界が出現するかもしれない、その瞬間の気配や感触を、落着いた筆致で書き進める。
 声にならない悲鳴が聞こえる砂漠の浜辺のような、圧倒的なある異界の顕現。そこでは死者だけが生きることができる・・・。

 うっすらと凍てついた恐怖を感じさせられながらも、これは新たな枕頭の書となりそうな予感がある。連載に期待する。

[2007年01月27日 猫額洞の日々]

◉林哲夫さんから、みずのわ出版の雑誌『spin』創刊号が届く。読むところがたくさんあって(なんていう、アホみたいな感想ですみません)うれしい。いえ、昨年あたりから突如、生活の中に「文章を書く」ということが組み込まれたせいで、閉め切りが、そんなに近付いてもいないのに「書かなきゃ、書かなきゃ」とそればかりで、そういえば、あんまり「読んで」なかったなあと、ふと気が付いたのです。

エエジャナイカの北村知之さんの日記を読んで、年末に、横浜・一艸堂の石田さんから〈美穂ちゃん、小山清の『小さな町』(みすず書房)買いましたか? わたしはカミサンと思案中〉というハガキを頂いたのを思い出す。で、そのイキオイで昨夜は店を閉めてから郊外の大きな本屋さんまで、夜道を自転車こいで出掛けたのですが、あいにく目的の『小さな町』はありませんでした。やはり市内では無理でしたね。でも、インターネットで買うのも味気ないので、またどこかへ出掛けた時にでも探そうと思います。
装幀もすてき。[2007年01月29日 蟲日記 田中美穂]

◉北村和之くんの「雨の十一月」というのが、いい文章だったなあ。古本を求めて、町をほうぼうぶらつき歩くスタイルが、あの若さでもう身についている。ぼくが彼の年齢の時より、はるかに買う本も書く文章も優秀だ。
[2007年01月29日23:32 Q氏は中央線に乗って]

◉淀野隆三日記の翻刻、お大変なお仕事にて御苦労をお察し申し上げています。
淀野作品はほとんど知らぬままに過ぎていますが、つい先年吉井勇の随筆を見ていたら昭和二十年代の不自由な時期に吉井さんがお金の融通を淀野家に頼ったことを読み、伏見の幸福なお家であることを知りました。こんどの青年期の日記は余裕あるお家の御曹子らしい率直な気持の良い中味をとてもうれしく拝見しています。明治三十年代生れの作家芸術家を何故か好きですので、このたびの資料公開を大へん有難く、林様のお骨折りのお蔭で希有の機会に恵まれ幸せです。長くお続け下さる御苦労がお大変のことですが、遠い御完結の日を心まちにしています。[1月29日 肥田晧三]

◉いきなり北村さんのエッセイに「やなせくん」が登場して驚きました。
ぼくは生半可な赤ヘルですので、「先輩」なんて畏れ多いです。
北村さんの文章は、個人的にはブログ界でもっとも好きなもののひとつです。徳
のある文章だなあ、と思っています。[8 Feb 2007 14:29:43 柳瀬徹]

◉帰りの電車で、ようやく買えた『spin01』を開き、「エエジャナイカ1 雨の十一月」を読んでいると、なぜか田中小実昌さんの文章を思い出した。
[07-02-10(土) 日々のあわ.。o○ にとべさん]
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by sumus_co | 2007-01-31 20:53 | spin news

ひびもなきロダンの女腕を置く

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『風景』(一九六九年一月)百号記念。発行所は悠々会。表紙は風間完。この雑誌は紀伊國屋書店の田辺茂一が舟橋聖一と同級生だった関係から《私たちキアラの会に眼をつけて、金は出すが口は出さぬという条件のもとに編集を依頼してきたもので、東京都内の有力書店主によって結成されていた「悠々会」の加盟店が規模の大小によって割り当られた部数を買い取り》顧客に無料配布したのだそうだ(野口冨士男『感触的昭和文壇史』)。編集担当は野口冨士男、有馬頼義、吉行淳之介、船山馨、沢野久男……と継承されたようである。終刊は昭和五十一年四月号(187号)。

『芸術新潮』二月号が川端康成コレクションの特集だというので、近所の書店まで立ち読みに出かけた。良ければ買おうと思っていたが、どうしてまったくマッチしないイラストをいくつも途中に入れるかなあ。いきなり金冬心の墨梅が掛かっている写真があって、おお、これはと思ったが、なんども頁を繰っているとイラストがひどく目障りなのだ。買おうという意欲が萎えてしまって、古本でいいや、となってしまった。

川端は『風景』にも「一草一花」という連載随筆を書いている。この号では日蓮の手紙を古美術商で見せられ、自分なりにあれこれ調べている様子である。ノーベル賞が決定したという通知のあった直後らしい。

『芸術新潮』の表紙は川端がロダン作の女の手を喰い入るようにその大きな眼で見つめている写真。それを見て川端の「片腕」という小説を思い出した。

《「片腕を一晩お貸ししてもいいわ。」と娘は言った。そして右腕を肩からはずすと、それを左手に持って私の膝(ひざ)においた。
「ありがとう。」と私は膝を見た。娘の右腕のあたたかさが膝に伝わった。》

昭和三十八年から九年にかけて『新潮』に連載されたものだが、これはまるで大正末期の新感覚派の小説である。例えば横光利一の「頭ならびに腹」だとか藤沢桓夫の「首」だとか、タイトルからして「片腕」はこれらとの共通点を感じさせる。むろんずっと老獪な筆致ではあるものの。

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街の草さんよりご教示いただいた。有り難うございます。

《昭和文学全集の装幀は原弘・永井一正です。昭和37年刊行の小林秀雄集奥付より。高校生のころはこの、白いビニールの表紙が安っぽい感じで、キライでした。図書室にあったのです。いまは、まあ、これもいいかも。古本としては、新しい素材を装幀に使用しようと意欲を示した、その時代を示しているかんじ。》

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『spin』01の感想がいろいろと届いている。「エエジャナイカ」の評判がええじゃないか! 猫額洞の日々にもご紹介いただいた(1月27日)。同じエキブロなのでリンクさせていただいた。

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『attention』をyanaseさまがお送りくださったということですので、重複分を読者の方にプレゼントさせていただきます。ご希望の方は sumus_co@yahoo.co.jp まで。応募多数の場合は独断。
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by sumus_co | 2007-01-30 22:05 | 古書日録

湯とうふの湯にも入らぬ根のあらさ

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『横光利一アルバム』。これは『昭和文学全集(7)横光利一』(角川書店、一九六二年)の付録。かなり強いレイアウトだ。この角川版の昭和文学全集ってどういう装幀だったか? すぐに思いつかなかったのでイメージ検索してみると、明るいグレーの函に青色の題箋を角に貼ったデザインである。むむ、架蔵していない。あれは原弘だったか? (昭和二十七年からスタートした角川版『昭和文学全集』は原弘装幀)

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本日は、レクチャー草稿を実際にしゃべってみた。あまりに長過ぎる。しかたなくあれこれと切り詰める作業にかかる。図版の準備もした。だいたい何とかなるだろう。しゃべりはもちろん、声にはまったく自信がない。テープ起こしのときに自分の声を聞くのが苦痛である。

大山康晴という将棋の大名人がいたが、この人は将棋はメッチャ強かったものの、感想戦のときの声が鼻にかかってうわずっていた。テレビで初めて聞いたときにはひどくアンバランスに感じたものだ。学生時代、一橋大学の将棋部に出入りさせてもらっていた頃(同じ下宿に学生がいたくらいで、小平にも学舎があった、近くに津田塾大もあった)、学園祭で大山名人を呼んで講演となり、その声を直に聞いたが、やはり似合わない声だった。ちょっと安心もしたけど。

似合わないと言えば、澁澤龍彦の声も不思議なカスレ声だった(以前にも書いたかもしれないが、テレビで演説する場面がちらっと放映されたのだ)。澁澤をよく知るアスタルテ氏にその話をすると、あの声でなければ澁澤さんじゃないんです、とのことだった。たしかにそういうものかもしれない。
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by sumus_co | 2007-01-28 21:36 | 古書日録

押入の棚を支へる棒寒し

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藤沢桓夫『大阪手帖』(三島書房、一九四六年、装幀=吉原治良)。同人雑誌『辻馬車』の記事を目当てで取り出した。それについてはさほど収穫はなかったが、武田麟太郎に関する回想は面白いものだった。

また、昭和十一年に『婦人公論』に「大阪」を連載しているときの逸話が貴重である。佐野繁次郎も登場する。毎月《書き出しまでに時間がかかり、いつも締切を遅らせて、編輯者にも挿絵の佐野繁次郎氏にも迷惑をかけねばならなかつた。自分が離れた大阪にゐるために余計迷惑をかけたのである》、だが書き出すと速いと言い、書き出す前に「エキトメアスアサツク」と電報を打つと言う。

《一年前までは飛行郵便に迷信に近い信頼を持つてゐたが、その後飛行機便の頼りなさをつくづくと思ひ知らされたので、最近は滅多に飛行便に頼らない。大阪駅まで持つて行つて、東京駅止もしくは新橋駅止にする。この方が遥かに正確だしむしろ速くさへある》

《十一時のに乗せると朝九時半に着く、その次の十一時二十分のでは午後一時五分になる》

メールどころかファックスもないわけだからこうなるか。ただ電話で口述する手はあったかも知れない。そう言えば、電話でというので思い出したが、少し前、ある新聞に短い取材をされたとき、ゲラを見たいのでファックスして欲しいと頼んだところ「それはできません、どうしてもとおっしゃるなら電話で読み上げます」という返事だった。何だか面倒臭くなって任してしまったが、案の定、記事内容にわずかながら不適切な表現があった。

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本日は朝から貸家見学ツアーに出かけた。大宮四条下がる辺りで一軒、堀川北大路あたりで二軒、下鴨神社あたりで一軒、府庁の近くで一軒。うち三軒は内部も見せてもらった。どれも初めから貸家として建てられた物件で建物そのものが愛されていない感じがした。贅沢を言うつもりは毛頭ないけれど、もっとしっとりした家に住みたいものだ。

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本の街日記のryoryo23さんが『spin』01を買って下さったようで、どなたか存じませんが、有り難うございます。ページを96に収めたかったので図版は最小限にしました。今、思えば、鈴木氏とエエジャナイカの文字をもう少し小さくしてページを稼げばよかったかも。
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by sumus_co | 2007-01-27 22:02 | 古書日録

童らは額(ぬか)接けおふて春を視る

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宇崎純一『絵画の手本』(エミヤ書店+家村文翫堂、一九一四年十版)。2月3日の原稿を準備していて、『季刊大阪春秋』(昭和五十年冬号)に掲載された「わがなつかしの大阪」という興味深い座談会記事を読んだ。出席者は小野十三郎、北岸佑吉、長沖一、吉田留三郎、吉村正一郎、藤沢。多少の記憶違いもあるが、スミカズを取り巻く時代の空気が伝わって来る内容である。堀内は編集長の堀内宏昭。これは瀧克則氏のご教示によるもの。

小野 純一さんは弟か兄貴か。
藤沢 兄貴や、兄貴は要領よかった。店もせずに晩はパノンへ行ったり……。
小野 純一さんは蒸気機関車の絵が旨かった。この人の絵が今あったら大したもんや、今はSLマニヤなんか沢山居るでしょう、スミカズ絵本いうたかな、二つ位出てるわな。
藤沢 片仮名でスミカズと書いてね。
北岸 よく売れた本ですね、子供なんかが真似してね。
竹島 すると小野先生、この前の詩集に機関車を書いてはりましたが、影響があるのですね。
小野 俺なんかスミカズの影響があるねん。小出卓爾なんかもそんなん製とったやろ。
小野 今見ても旨いなあ。
藤沢 簡略化された旨い絵やったね。

《この前の詩集》というのが何なのか小野十三郎に詳しくないので分からない。ただ一九七九年に『蒸気機関車』(創樹社)という詩集を出している。とにかく子供の頃から蒸気機関車が好きだったようだ。そして小野が言うスミカズの影響とは上図のような絵から受けたのではないかと思う。

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季村敏夫さんの『瓦版なまず』2期4号が届く。目次は以下の通り。

つわものどもが夢のあとー2……渡辺一考
海の民の記憶 連載3……柳原一徳
端がゆらぐ……季村敏夫
「発酵」と「発酵したもの」ー「種」から何かがー……水本有香
古書とアーカイブをめぐってー林哲夫著『神戸の古本力』ー……市村登和
「まちのアーカイブ」ということ……佐々木和子
活動日誌
あとがき(季村敏夫)

「つわものどもが夢のあとー2」は川西和露の続き、および神戸の蔵書家増田五良と五典書院について。

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いのは画廊より新春入札会の目録が届く。古茂田守介のデッサンが三点出ていていずれも4万円からのスタート。出品作家リストには、岡本半三、三上知治、矢橋六郎、庫田叕(『文字力100』参照)などの名前が挙っていて興味を引く。

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鍋探求展の紹介が掲載されている『Lmagazine』387号を買う(ナベツマが買ったわけだが)。貸本喫茶・ちょうちょぼっこの郷田さんが山崎書店を紹介してくれている記事のなかに言及され写真も載っている。

その下段の古本ソムリエによる「天声善語」は去年の収穫ベストテン。むちゃくちゃいい本買っている。井伏鱒二『田園記』(作品社、一九三四年)はここでも言及したが普通に買えば相当に高額な本だ。加藤一雄『無名の南画家』(三彩社、一九七〇年)の訂正本など天下一本だろう。竹中郁詩集『枝の祝日』(海港詩人倶楽部、一九二八年)も……おそるべし。

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大島さま
ミカンのこと気にかけていただいて感謝です。
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by sumus_co | 2007-01-26 21:42 | 古書日録

書とともに銀杏の月日しなめきぬ

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『五経白文』(村上平楽寺、?)のうち易経上巻。明治の木版本。文字の参考に引っぱり出してみると、銀杏の葉が挟んであった。すっかり色が濃くなっているが、案外としなやかなのだ。銀杏は虫除けになると言われていたようで、和本には時折見かける。

『彷書月刊』2月号、特集・ふたりはいつも。久々にあっという間に読了した。生田かをるさん(生田耕作未亡人)、関口洋子さん(山王書房・関口良雄未亡人)のインタビューはとてもいい感じ。高見恭子さんの回想も印象的。高見順の『昭和文学盛衰史』(角川文庫、一九六七年)をちょうど読み返していたところなので。

 古本屋一代と決め初市へ 銀杏子

銀杏子(ぎんなんし)は関口良雄の俳号。銀杏の葉で思いついたのだが、いいちょうし……とも読めるかも。

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天音堂ギャラリーより案内状いただく。加藤真琴展、面白そう。

新潟絵屋砂丘館画廊Full Moonの合同案内状届く。絵屋は移転に向けて準備中である。
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by sumus_co | 2007-01-25 22:07 | 古書日録

かうばしき刷たてインク春を待つ

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川上澄生『少々昔噺』(版画荘、一九三六年)。残念ながら所蔵本ではなく、昨年、山崎書店にて撮影したもの。

昨日の夕方、東京から出張でやってきた大学時代の友人と呑んだ。といっても同じ大学ではなく同じ下宿だった男。小平市鷹ノ台の玉川上水沿いにあったのだが、亜細亜大、一橋大、武蔵野美大の学生が住んでいた。一階は大家さんの住宅。二階の四部屋を貸していた。玄関が同じなので、夜遅くなると塀をよじのぼって窓から入ったりしたこともある。武蔵野の緑に囲まれた静かな住宅地だった。

その男は一ツ橋大生で、同い年、誕生日も一日違い。たしかこちらが二年のときに入って来た。卒業した後は大手広告代理店に入社した。東京で個展をする度に会って飯をごちそうになったりしていた。サラリーマン(しかも一流企業)の友人はほとんどいないので彼が連れて行ってくれる店がもの珍しかった。

それなりにバリバリやっていたようだが、目を悪くしたとかで第一線から退いたと聞いた。それでも今では部長の肩書きの付いた名刺をもっている。大腸のポリープを切除したとか、鬱病になったとか、野菜中心の食事にしてダイエットしたとか、五十も過ぎると、病気の話ばかりである。ここ何年か一緒に飯を食ってないなと言ったら、母上の自宅介護で手一杯だったそうだ。やれやれ、人ごとではない。

烏丸仏光寺の味禅で蕎麦尽くしコースをゆっくり食し(ちなみに味禅は三月からもう少し西の一軒家へ移転するそうだ。入居しているビルが倒産したため)、サンボアへ行きたいというので寺町三条下るまで歩いた。ところが火曜日定休ときた。夜の京都はほとんど知らないのでちょっと困ったが、ディランIIが思い浮かんだので、木屋町通りへ。夜の東山など眺めつつ静かにウィスキーなどなめて別れた。

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須川まきこ展のDMが届いていた。エログロかわいい線画。
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by sumus_co | 2007-01-24 20:11 | 古書日録

ひいふうみ数へる斗りの寒さ哉

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ポオル・モオラン『世界選手』(飯島正訳、白水社、一九三〇年、装幀=阿部金剛)。白水社が昭和五年に江川正之を雇って続けざまに刊行した文芸書のなかの一つ。九月に『怖るべき子供たち』(コクトオ、東郷青児訳)を出してこれが良く売れた。十月に『地獄の季節』、十一月に『世界選手』。昭和六年には小林の『文芸評論』、横光利一の『機械』、デコブラ『恋愛株式会社』(東郷青児訳)、宇野千代『大人の絵本』などなど。ところが良かったのは出だしだけで、とくに『恋愛株式会社』は大掛かりな宣伝攻勢をかけたもののさっぱり売れなかったようだ(清水文吾『寺村五一と白水社』日本エディタースクール出版部、一九九〇年)。

『世界選手』の表紙下半分に張ってある銀色のホイルが傷んでいるが、デリケートな素材らしく、大貫伸樹氏や西野嘉章氏の著書に出ている書影にも多少の難が見える。

成績不振のためかどうか、江川正之は白水社を辞して、昭和七年、限定書出版を標榜する江川書房を興す。このとき二十二歳だったという。すると、昭和五年には二十歳である。二十歳の青年に白水社は命運を託したのだ。ただ、小林秀雄も、飯島正も、白水社の実質的責任者だった寺村五一でさえも二十八だった。東郷青児は三十三、阿部金剛は三十歳だった。江川は永い目で見ると凄い仕事をしたことになる。

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恵文社から古本市のスリップが戻って来た。売り上げ分、553枚あった。しかし何と言っても単価が安いので、売り上げは例年並み。引越を控えて本が減ったことを善しとする。

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ギャルリ・プチボワからDMをいただいた。大阪の南堀江……? と思ったら、天音堂ギャラリーさんのお知り合いのようである。いい作家をやっておられる。

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書評のメルマガにも書いたように『spin』という雑誌がみずのわ出版から近日中に創刊される。まだ出来上がっていないが、届き次第、詳しく紹介したい。小生は淀野隆三日記をひたすら読むだけの連載をして行くつもり。また、すったもんだあった『サンパン』もそろそろ13号が出るのではないだろうか。
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by sumus_co | 2007-01-22 21:55 | 古書日録

堂鳩のしたり目うごく南天果

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『書彩』第九号(百艸書屋、一九六〇年五月)。Tさんが古書展で見つけて譲ってくれた。『神戸の古本力』で紹介した神戸元町の百艸書屋・岸百艸が発行していたガリ版雑誌。表紙の版画はオリジナルを貼付けている。参考までに目次を掲げる。

 表紙版画……鈴木菫
 近世民謡源流攷……赤松啓介
 播磨国鶴林寺(短歌)……谷義一
 本屋の棚……仲郷三郎
 典籍語彙(三)
 図書形式のねらい(その一)……落合重信
 鶉衣唱(俳句)……岸百艸
 一ペニーの胸が水泡をたててゐる(詩)……亜騎保
 地方に埋もれた子規の手紙……山田宗作
 郷土文学メモから……宮崎修二郎
 猿飛佐助……足立巻一
 子供の日(詩)……吉井啓
 流氓私語(2)悲願十二冊……潮壮介
 七人の侍を嗤ふ……岸百艸
 「古書目録」に見えた郷土資料(三)……島田清
 売書目録
 編輯後記……百記

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蟲文庫さんより『瀬戸内作文連盟』4号(瀬戸内作文連盟事務局、二〇〇六年十二月)をいただく。『蟲通信』5号同封(メルマガ「早稲田古本村通信」連載のうち『文学全集一掃顛末記」収載、他)。『瀬戸内作文連盟』は出海博史氏の編集発行。氏の他に、蟲文庫田中美穂、越路亜希子、加藤優美の皆さんが、ほんわかエッセイを載せている。蔵書票の頁、カラー・グラビア(?)もある。(お問い合わせは欄外「メモ帳」より蟲文庫をクリック)
 
デイリー・スムースがブログ化して第一回目に紹介させていただいた雑誌である(欄外「以前の記事」の2006年4月をクリック)。月日が経つのは早い。

出海氏の「時計の針」は松山にある六時屋という菓子屋の話。《昔、ここの看板は丸い時計で、その名のとおり六時をさしていた》そうで、そこを通る度に、看板だと分かってはいても、その時計を見上げて六時であることを確認し、なぜか安堵したという。情景が浮かぶ。

たしか鍋井克之のエッセイに時計屋の看板時計について書いたものがあった。その絵も描いているが、丸い大きな時計が路上に張り出している街景である。鍋井の絵のなかでも印象に残る一点。ふと思い出した。

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『“手”をめぐる四百字』、エッセイとして冴えを見せていたのは出久根達郎「キッス」。こういう短いものを書かせると実にうまい。浅田次郎の「男の手」もプロの手並み、鮮やか。車谷長吉「悪の手」、けっきょく自慢かな……。楽しい本だ。
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by sumus_co | 2007-01-21 20:53 | 古書日録