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<   2006年 11月 ( 30 )   > この月の画像一覧

歯一本軽くなりたる身の寒さ

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芦屋で入手した新宿ムーランルージュのプログラム。第五十四回公演。吉田史郎作演出「だけど妾は欲望する」、矢田茂構成演出「南海女の体臭」。昭和二十四年九月二十日発行。演劇についてはほとんど何も知らないが、スタッフのなかには、森繁久彌、由利徹、楠木トシエらの名前が見えている。茶苑リンデン、風月堂(新宿店、渋谷店)、こまどり茶屋などの広告に惹かれた。

由利徹と言えば、昨日届いた『gui』79号に岩田和彦氏が由利徹の逸話を引用している。それによると由利は研究生として新宿ムーランルージュに入ったそうだ。もう七回忌を過ぎたとある。奥成達氏の連載は木原孝一の講演「アバンギャルドの終焉」を巡る『地球34号別冊』(一九六二年二月)の引用で終始する。戦争と詩人の問題。

÷

書物の歴史と保存修復に関する研究会が主催する第二回シンポジウム「歴史遺産としての古典資料の保存修復」が奈良県立図書館で12月9日、10日に開催される。詳しくは同研究会のサイトにて。この研究会が創立された頃に参加していたが、震災以降はご無沙汰である。ますます精力的に活動しておられるようで何より。

÷

神奈川県内の古書店の合同目録『本の華』第一号が届く。なかなかの内容で思わず読み込んでしまった。書誌楠の木にレヴィナスの著書や関連書(原書)が九冊出ていて、おお、と思う(思っただけですが)。メルローポンティやドゥルーズなどもある。大学の除籍本だとか。他には新宿カチューシャの愛唱歌集一〜四集の五冊が三千円だ!(脈絡のない驚き方)。

と、そこへ山崎書店より『青木正児全集第六巻』(春秋社、一九六九年)が届いた。よって『本の華』から注文する気力(金力)が失われた。第六巻は「金冬心之芸術」他画論など。かつて『江南春』(弘文堂書房、一九四一年)をたしか五百円で買って以来の私かなファンなのであるが、全集はちょっと高い。ただ月報も充実しており、この巻では倉石武四郎、長沢規矩也らが執筆し印象深いエピソードを書き残している。念のため、アオキ,マサルと読む。

÷

蔵書整理の一端として扉野氏に世界文学社の刊行物を一袋(二十冊以上あったと思う)譲った。返礼に『ザ・藤森照信』(エクスナレッジ、二〇〇六年)をもらった。これはとても面白いムックである。扉野氏の詩「雲の小屋」も掲載されているゾ。本城直季の写真が不思議な、低速シャッターで極端にピントが合っている部分が狭いシロモノで、みょうに雰囲気を出している。建物がすべてミニチュアぽく見える。だいたいが、そういう遊びの要素の多いデザインなので余計そう思える。

また、マン・レイ・イスト氏より韓国で開催された『マンレイと写真の世界史展』(KIM YOUG SEOB PHOTOGARELLY, 2006)図録をいただいた。氏のコレクションも貸し出されたとのこと。執筆もしておられる。マン・レイはむろんだが、ケルテスの「フォーク、パリ」(1928)は凄い。
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by sumus_co | 2006-11-30 21:19 | 古書日録

冬の海三鬼いかなる歯医者やら

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高橋啓介『蒐書三昧—限定本彷徨』上巻(湯川書房、一九八七年)をある方よりいただく。『神戸の古本力』の返礼であるが、あまりにもったいないことである。深謝。

世に名高い限定本ばかりを収めているこの本をめくっていると、日夏耿之介の原稿写真が目に留まった。『詩集咒文』の解説のなかに「咒文の周囲」原稿六枚が写っており、一枚目は全文が読み取れる。今、新潮社版『日本詩人全集13木下杢太郎・山村暮鳥・日夏耿之介』(一九六八年)を見るとタイトルは「咒文乃周囲」である。以下、明治大学図書館のサイトから引用した解説(一部省略)。

日夏耿之介『詩集咒文(ししゅうじゅもん)』
昭和8(1933)年2月 戯苑発售処刊
四六倍判 和紙装絹糸綴 アンカット 三色刷 装幀:山崎喜三郎
限定107部 著者署名入
 著者自らの撰になる『咒文乃周囲』『薄志弱行ノ歌』『塵』『蛮賓歌』の4編を収録。本文は著者名透入和紙。限定部数のうち10部は、自署本で、表紙に紐が廻してある。

ということで、どうしてこれが目に留まったかというと、先日、ここで話題にした西鶴の『近代艶隠者』を今ちょうど読んでいて、どうやらこの「咒文の周囲」という一篇が、日夏の愛読したという西鶴の珍本からモチーフを取ったのではないか、そう思われたからだ。

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『近代艶隠者』(古典文庫、一九四九年)。活字本だと思って神田の某書店から買ったところ影印本だった。しかたがないのでお勉強のつもりで変体仮名を読んでいる。この図は神仙たちが集まって四方山話をしているところ。どうしても日夏の詩のイメージが連想されてしまう。

ただ、『近代艶隠者』は文章のつながり、歯切れが悪くてどうも西鶴の傑作とは思われない。日夏はこの作を高く評価しながらこのように書いている。

《実にあれは西鶴の傑作であり、よしんば西鶴の作でないといふ昔の旧説が蘇生したにしても、それは卓れた無名氏の傑作である。》

ま、見解の相違ということで。

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昨日の俳句にしたように奥歯がポロリと落ちた。すでに金属の歯であったが、あわや嚥み下すところだった。今日、歯医者に行くと「根元の歯が折れているようですね」と言われ、抜歯しましょうということで、あっという間に抜かれてしまった。上手な先生だった。
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by sumus_co | 2006-11-29 17:36 | 古書日録

冬椿歯の抜け落ちる音すなり

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昭和二十三年の大阪の大手前会館での公演バンフレット。表紙画に SaBu とサインが入っているが、これが誰なのか調べようと思いながら、今夜はちょっとした飲み会があったので、いずれ後ほど。新制作系統の画風である。芦屋の即売会で広江書店から。

と思ったが、SaBu が誰なのかすぐには分からない。新制作協会には合田小三郎という『ロビンソン漂流記』などに挿絵を描いている人がいるが、さて、これは課題としておこう。

÷

ですぺら掲示板に『神戸の古本力』についての感想が出ていた。さすがである。

÷

故・2代目へそ米先生さま
いや、ホント、奇抜な表紙ですね! 悲食記は『あまカラ』連載で読みましたが(もちろん古本という意味です)、おもしろいですねえ。
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by sumus_co | 2006-11-28 16:04 | 古書日録

妻たちの気になる今日も時雨るか

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斎藤昌三の葉書。式場隆三郎宛。某氏よりいただいただ。とても嬉しい。関野準一郎のエッチング「少雨叟」が印刷されている。消印の日付は分かるが年は読めない。葉書が二銭になったのは昭和十二年から。それに合わせて乃木大将の二銭切手が発行された(五月十日)。ゆえに昭和十二年以後であることは間違いない。文面は以下の通り。

《おハガキ拝見、「げて本」はもう一冊も/ないとの返事でした。/但し無くなつてよろしい/ので、大家に/見て頂く/ほどのものでハ/ありません。/全く子供/だまし如き/ものでした。/随歩の時ハお送りします。不悪。/五月十五日 少雨叟 (「昌」印)》

《随歩》とあるのが『書斎随歩』(書物展望社、一九四三年)ならば、おそらく昭和十七八年頃の葉書と思われる。

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晶文社営業部の高橋さんより『晶文社スクラップ通信』133、134号をいただく。先日、産經新聞に『ワンダー植草・甚一ランド』について書かせてもらったのを読んで下さったようだ。高橋さんとは六月のUBCの後の飲会で一度お話した。この通信、ほとんど手書きのオフ印刷だが、元気いっぱいな感じがナイス。

「月刊営業の友」という高橋さんの連載コラムが面白い。その19は人文会、一九六八年に結成された人文系出版社の集まり(現在、筑摩書房、東大出版会、白水社、みすず書房、未来社など二十社が参加)について。その20は福岡で開かれたBookokaの報告。

2006年・晶文社のベストテン第一位は『バスラの図書館員』(ジャネット・ウィンター、長田弘訳)。二位は『クライム・マシン』(ジャック・リッチー)、三位『普及版数の悪魔』(エンツェンスベルガー)、以下略。

刊行案内によれば来年一月に『古川ロッパ昭和日記』の新装復刊が開始されるそうだ。既刊書では『パブリッシャー—出版に恋をした男』(トム・マシュラー、麻生九美訳、晶文社、二〇〇六年)を近いうちに読みたいと思っている。永沢光雄氏が亡くなったのは知らなかった。

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『彷書月刊』編集長田村さんより電話あり。『神戸の古本力』おほめいただく。トークを安直にまとめただけかと思ったら、これはすごいよ、とのお言葉、有り難く。「〜の妻」について御下問あり。
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by sumus_co | 2006-11-27 21:11 | 古書日録

漏る水も煮湯もありぬ冬の市

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『明治大正発売禁止書目』(書誌文庫1、古典社、一九三二年)。これは三箱古本市で入手。渡辺太郎の古典社はスムース文庫01『ふるほんやたいへいき』を刊行した版元なので逃せない。700円。「日本の古本屋」で試しに検索してビックリ。『家庭で出来るコツクテールの作り方』を逃した悔しさを少しだけ晴らせた。

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池上博子さんより詩誌『yuhi(ゆひ)』20号をいただく。パリに留学されている冨岡郁子さんのエッセイに国立図書館での閲覧の様子が描かれていて興味深く読んだ。

ブック型の四角いビルが四本並んでいるミッテラン図書館に入るには、まず手荷物のチェックがある。図書館専用透明ケースに必要なものを移し替えて肩に掛け、図書館カードを使って思い扉を二つ開けて長いエレベータを二つ下る。予約していた席に着き、予約していた本をカウンターにもらいに行く。閲覧机は一直線にずーっと果てまで並び、全員がパソコンをにらんでいる。

《ある日、ピエール・ルヴェルディの『自己弁護』を、間違えて、わざわざ初版本を予約してしまった。特別室に通され、図書館員の監視の下読むことができた。本の枕のようなものが二つあり、その枕の位置を図書館員が決める。つまり本の開け具合がそれで決定されるわけだ。それ以上開けたりすれば、図書館員が飛んで来る。開けた本には小さなヘビのような形の、心地よい重さのビロードで包まれた文鎮がのっかる。書き写す場合は鉛筆のみ。このようにして読んでいく。古い本のいい匂いがする。監視されていたからか、あっという間に読めた。》

ピエール・ルヴェルディはナルボンヌ出身。モンマルトルのバトー・ラヴォワール(洗濯船)に住んでアポリネールらと親しくしていた。ダダ、シュールレアリスムに加わった詩人の一人。『自己弁護』(Self defence)は Imprimerie Birault, 1919。

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大島さま
小出アトリエ、あの展示状況では、再現は難しいでしょうね。今もきっとすばらしいアトリエで制作されているアーティストが灘、芦屋あたりにはおられると思いますよ。

小野さま
そ、そんなに、殺気だってましたか? 次はぜひ声くらいかけてくださいませ。美術館の少し北に古い農家がありますね。昔を偲ばせるのはあの一角ぐらいでしょうか?
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by sumus_co | 2006-11-26 19:10 | 古書日録

あるじなき枯枝風景窓高し

小出楢重のアトリエ外観と内部の様子。

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芦屋市立美術博物館へ。「モダニズム周辺」と銘打った古書即売会二日目。阪神芦屋駅から南へ十五分ほど歩く(バスあり)。まさに御屋敷街である。

会場に入ると海文堂書店が新刊を並べているなかにひときわ高く『神戸の古本力』が積んであった(いまひとつ売れていないようだった、ガンバレ!)。会場をひとわたりゆっくり眺める。昨日初日はかなりの人出だったとのこと。竹中郁あたりの高額商品を手にとって眺める。岡山の広江書店さんと立ち話をすると、広江さんは洲之内徹現代画廊の常連だったことが分かる。『洲之内徹の風景』にも寄稿されているとか。出品物も大橋了介など美術系が中心だ。

山崎さん、ロードスさんと敷地内の喫茶店でランチをとる。美術館で開催する難しさなどを聞く。何しろ初めての試みだから手探で進めてやっとこぎつけたらしい。来年も継続したい方向だとのこと。

山崎さんは、ごく最近、黒田重太郎の名著『京都洋画の黎明期』(高桐書院)の改訂版を刊行した。誤植を正し索引を付けている。拙著『帰らざる風景』のなかでこの本には岸田劉生は登場しないと書いてしまったが、じつは二カ所に名前が出ていることを指摘された。面目ない。訂正します。会場でも販売しているし、山崎書店のサイトからも購入できる。

会場にもどってもう一度ひと回り。口笛さんにも御礼と御挨拶。街の草のコーナーでウィリアム・モリス『理想の書物』(庄司浅水訳、細川書店、一九五一年)を見つける。限定五百(うち特装本九十)部。多少傷んでいるが細川書店らしい造本である。

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これで満足と思っていると、一昨日、海文堂書店で『神戸の古本力』を購入してくださった女性の方がマッチの外箱を貼付けたスケッチブックについて街の草の主人と話をしていた。ちょっと見せてもらうと、戦後のもののデザインがなかなか良いし、そう高くないので購入する。横取りしたようになった、申し訳ない。
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by sumus_co | 2006-11-25 19:08 | 古書日録

翔ぶごとく賈れぬもいとし残る雁

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山田稔選『天野忠随筆選』(編集工房ノア、二〇〇六年)。山田氏のあとがきにこうある。

《「何でもない」ことにひそむ人生の滋味を、平明な言葉で表現し、読む者に感銘をあたえる、それこそが文の芸、随筆のこつ[二字傍点]、何でもないようで、じつは難しいのである。》

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23日は午前十時少し前に海文堂書店に到着した。店の前でアカヘル君と高橋氏に会う。勝手口から入ると、すでにモダンジュース古書部の扉野氏とみずのわ氏が飾り付けを行っていた。こちらも箱を開けて並び換える。満員に詰め込んでいたので空き箱に移し結局五箱にした。来場されない店の箱も開けて行き、それなりに見やすいように並べ替え、あるいは台の上に直接拡げるようにする。十一時少し前になんとか準備が整う。

どのくらい来場者があるのか、初めての催しなので、まったく分からない。ところが十一時になると、次々に小走りで入場者が詰めかけ、あっという間に五十人ほどが古書にかじりつくような状況になった。正午すぎまでずっとひきつづき満員であった。十二時半頃に人がまばらになったが、一時半ごろからまた増えはじめ、三時前には満員状態を回復。あとは徐々に人が減って、四時にはまばらだが、箱を片付けているときにまだ粘っている人もいた。ナベツマの友人から届いた感想メール。

《本見るのに忙しくて(新刊1冊と古本5冊買った)本の話以外しなかったのにゃ。個人的好みとしては山本さんと高橋さんの箱に欲しい本が多かったです。普通の古書店よりも面白かった。いわばセレクトショップだもんね。》

オヌシなかなかツウですな。実際、結果を見ると、古書高橋がダントツの売り上げ、二位が善行堂だった。それ以外はだいたいどの店も同じくらいの出来高だったように思う(計算は海文堂書店の担当なので小生も正確には把握していない)。というのは、高橋さんは古書らしい古書を持ち込んでおり、値段もいい線(市場価格よりは安いが決して投げ売りではないという意味)いっていたのだ。来場者の年齢層がやはり高かったので、その意味では高橋さんの出品内容が需要にピッタリきたということだろう。

すむーす堂は百冊ちょっと売れたようである。とにかく20円からだからタカが知れている。とはいうものの助かります(!)。

÷

ひとつ悔しかったことがあった。前もって出品者の箱はなるべく見ないつもりだったが、これが間違いだったことを思い知った。というのは、扉野氏が梅崎春生の未所持本などの他一山をレジの横に積み上げて(むろんこれは開店してからの買物)、お金を銀行で引き出して来ますと言いながら出て行ったときにチラリと検分したところ、波屋書房の『家庭で出来るコツクテールの作り方』(一九二六年)が混ざっていた。値段は六百円。古書高橋の出品である。

波屋書房の『カルトマンシー』を五十円で買った話はこの前に書いたが、これはちゃんとカバーも付いている。宇崎純一のイラスト(二色刷)もある。扉野氏が戻って来た時に、ぜひ譲ってくれるように頼んだが、いつになくウンと言わないのだ。千円出す(小生としては思い切った提示)と言ってもだめだった。

さて、古本市も終わって打ち上げの会場へ移動したとき、この本の話が出たので、もう一度、懇願してみた。すると扉野氏はいかにも彼らしいこの本とのいきさつを語ったのである。いわく、高校生のときにある古道具店で裸本の『家庭で出来るコツクテールの作り方』を見つけた、しかし四千円だった、一九八〇年代のことだからそれは相当思い切った値段ではなかったか。とても欲しかったが断念したという。それ以来苦節十何年、カバーまで付いた本がたったの六百円、これは簡単には譲れない、そういう長い長い物語があったのである。負けました。

すると隣に坐っていた高橋さんがポツリ。
「あ、それ、林さん用にと思て入れといたんですけどなあ」
噫、天はわれを見捨てたか。それならそうと始まる前に言ってほしかった。
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by sumus_co | 2006-11-24 18:25 | おすすめ本棚

三箱古本市、無事終了しました

11月23日は元町・海文堂書店で行われた三箱古本市、大盛況のうちに終了しました。海文堂書店の皆様、出品店のみなさま、ご苦労様でした。ご来場くださった皆様にもこころより御礼申し上げます。

開店前の準備中(約一名セドリしておられる参加者あり)。

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開店直後の様子です。

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当日、朝日新聞に写真入りで紹介されたこともあり、予想以上の人出にうれしい悲鳴をあげました。レジにおられた店長が「短時間にこんなにスリップがたまるのは初めての経験です!」と。とくに開店からすぐ五十人以上の来場があり、午後四時まで途切れる事のない来客、おそらくのべ五百人ほどの皆様に来て頂けたのではないでしょうか。

『神戸の古本力』も飛ぶように(やや誇張あり)売れまして、さっそく読んで下さった方々からお褒めの言葉をいただき、ひとまずは安堵しております。

 口笛文庫(神戸)
 トンカ書店(神戸)
 皓露書林(神戸)
 みずのわ堂(神戸)
 古書肆酔漢(神戸)
 古本一代(神戸)
 アカヘル堂(神戸)
 蟲文庫(倉敷)
 聖智文庫(藤沢)
 BOOKONN(大阪)
 古書高橋(大阪)
 このはな文庫(奈良)
 モダンジュース古書部(京都)
 善行堂(京都)
 すむーす堂(京都)

海文堂書店
〒650-0022 
神戸市中央区元町通3-5-10
TEL 078-331-6501
FAX 078-331-1664
http://www.kaibundo.co.jp
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by sumus_co | 2006-11-22 21:10 | 古書日録

網に犬陸(おか)に魚の時雨月

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『文献探索2006』(金沢文圃閣、二〇〇六年)届く。書誌・書誌論、小特集=要約書誌、特集=書誌新人集。書肆の世界は深い。小生などはとうていこういう仕事はやれないと常々思っている。

まず目についたのが佐々木靖章「高祖保著作年譜稿」。これには驚かされる。ブツを集めて書誌を作る、これが基本中の基本だろうが、それが容易ではない。末尾の追記によれば同氏収集の雑誌資料は二万点を超え、群馬県立土屋文明記念文学館に寄贈されたとのこと。それらの雑誌は一定の条件下で利用できるようになっているとか。

新人集では、若い人たちの視点が参考になる。「スタジオジブリ関連書誌」だとか(!)、別の意味で驚かされるようなタイトルもいくつかある。なお金沢文圃閣は古本屋もやっている。
http://d.hatena.ne.jp/bumpokaku/
http://blog.goo.ne.jp/bumpokaku

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明日はいよいよ三箱古本市。海文堂書店・福岡店長よりメールあり。

《15店中14店の“古本さま”が、既に到着されています。今夕6時頃に「アカヘル堂」さんが仕事が終わってから持参されますので、無事、全店の“古本さま”が揃います。弊店バックヤードに、古本のいい匂いが漂いはじめました。で、今晩から“古本さま”を<Sea Space>に運んで、配置したいと思っています。》

よろしくお願いします。気温は下がる予報のようですが、海文堂書店は古本の熱気で暑くなりそうな予感あり。みなさま、明日、お会いしましょう!

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そして『神戸の古本力』も完成した。厚かましいことを言わせてもらえば、これも神戸の古書店に関する小さな書誌になっている。その首尾やいかに? 手にとってお確かめいただきたい。海文堂書店では今日から売って頂いている。その他の書店はまだ配本までにしばらくかかるだろう。書肆アクセスには数日中に入荷するものと思う。

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蛇足の俳句解説。時雨月は十月のこと(本日は旧暦十月二日)。
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by sumus_co | 2006-11-22 20:52 | おすすめ本棚

神戸の古本力 できました!

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神戸の古本力 
みずのわ出版
四六判 並装 160頁 定価1500円+税

目次

■神戸の古本力 林哲夫・高橋輝次・北村知之
・文字の力、古本の力
・こんなふうに古本とつき合ってきた
・イチオシ神戸の古本屋
・サンパル古書のまちから始まった
・電車に乗って古本めぐり
・皓露書林と黒木書店

■古本エッセイ
関西の古本屋メモ 八木福次郎
ある古書店人の死 内堀 弘
抄録・雲母虫往来(戦後版) 百艸書屋主人

■神戸の古本力アンケート回答(到着順)
鈴木創士/寺田 操/栗原滋男/熊田 司/戸田勝久/中島俊郎/橋爪紳也/松岡 高/小野原道雄/村中秀雄/中嶋大介/井上明彦/南 輝子/濱田研吾/小林正利/南 敬二/重松慎二/中尾 務/南陀楼綾繁/津田京一郎/岡崎武志/佐々木昌史/扉野良人/大島なえ/田中 栞/森田俊雄/海野 崇/山本善行/福岡宏泰/季村敏夫

■神戸古書店リスト 1926〜2006
■地図 1928 1930 1939 1975 1978 2006

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by sumus_co | 2006-11-22 17:52 | 著述関連