林蘊蓄斎の文画な日々
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朝寒や敷物の反り伸ばすべし

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木下利玄『一路』(竹柏園、一九二四年)の見返し木版画。岸田劉生得意の果物。いいですねえ。利玄の歌の方はどうもいまひとつ取るものがない。なかでは「童」の連作が微笑ましい。

学校の昼は闌(たけ)たれ本をよむ子供の声のしみらにきこゆ

着膨(きぶく)れて歩かされゐし女の児ぱたんと倒(たふ)れその儘泣くも

÷

『サンパン』同人の菅野さんより『文化福島』11月号(福島県文化振興事業団)が届く。「占領期資料の宝庫・プランゲ文庫」を寄稿されている。福島県立図書館でプランゲ文庫のマイクロフッシュのうち福島県関係雑誌を購入したそうだ。高額なので、利用実績が上がらないと、次の福島県関係新聞のマイクロフッシュ購入予算が取れないという。検閲機関だったから当たり前と言えば当たり前かもしれないけど、ガリ版刷りの同人雑誌や高校のクラブ誌まで集めまくっているのは驚き。ちなみに下記サイトに値段が出ている。福島県関係雑誌205種が¥853,700である。京都府関係雑誌は401種¥2,591,300。

日本販売総代理店 株式会社文生書院

÷

『文字力100』の感想が出ているサイトをみずのわ氏が教えてくれた。参考迄。

http://utsuwa.exblog.jp/ 10月16日付

http://03321268.at.webry.info/200607/article_43.html
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by sumus_co | 2006-10-31 20:58 | 古書日録

友なくて祭のあとの長き影

ジュンク堂BAL店の善行堂をのぞく。雑誌売場の端のひと棚を使っている。明らかに新刊書店とは違った品揃え。草森紳一の『狼藉集』(ゴルゴオン社、一九七三年)はちょっと欲しくなった。新刊文芸書の棚をチェックする。『美酒と革嚢』(河出書房新社、二〇〇六年)を手に取って見る。どうしても欲しい、という感じの本ではないが、買っておきたい気もするし、もう少し待とう。

尚学堂書店へ。表に『文字力100』で取り上げた『ナシヨナルニユーリーダー』(鐘美堂書店、一九一二年二十五版)の第三があった。200円は安いと思ったら落書と挿絵の切り取りがあった。それでもこんな絵があるから許す。他に鹿田松雲堂帝塚山店の古書目録『古典聚目』154号(一九四二年十月)もゲット。

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ナベツマと待ち合わせてスマートでランチ。十二時前に入ったのだが、十分ほど一階で待たされた。土曜日のせいか街にも人が多かった。

アスタルテ書房へ。『書物の宇宙誌—澁澤龍彦蔵書目録』(国書刊行会、二〇〇六年)が積み上げてある。数日前に入荷したばかりとか。ざっと見る、創作ノートの写真図版がとても興味深い。目録は澁澤が並べていた棚の通りだそうだ。
澁澤蔵書目録、特典発表!
『世界文学』(世界文学社)のバラが十冊ほどあったので渡辺一夫と淀野隆三の名前の出ている号を拾う。

昨日放送されたNHK教育「美の壷」の「文豪の装丁」について、アスタルテさんは古書店主らしく「谷啓の本の扱い方にはひやひやしましたよ」と。こちらは亀鳴屋の勝井夫妻の登場を新鮮に感じた。じつは、九月の末頃にこの番組のディレクター氏から電話があって、『文字力100』についてあれこれ話をしたのだ。ボツにしていただいて幸いだった。

帰宅して装幀レイアウトの続き。
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by sumus_co | 2006-10-28 21:19 | 古書日録

あてやかに月光町なる姉妹

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甲鳥書林の経営者・中市弘の歌集『山望』(甲鳥書林、一九七六年、装幀=濱辺万吉)をある方より譲っていただいた。甲鳥書林は『sumus』4号で特集した京都の版元だ。国会図書館蔵本のコピーは所持しているが、やはり現物を持っておきたい一冊だった。巻頭は「戦犯—ある回想」という連作。中市が特別に戦争協力したというわけではなかろうが、おそらく戦時中の役職などからひっかかったのであろう。

 国敗れ伊賀の連山暮れかすむ肉にくい入る手錠冷たく

 どの窓も閉されており寒き夜をするどく侵せる音ひそめゐる

 迷ひゆく血の色濃き霧のなかわが雄叫びの野にひろごりぬ

巻末の略歴(自筆だろう)を簡単に紹介しておく。明治四十四年十一月十二日、三重県の上野市に生まれる。父は中村憲吉の従弟にあたり、上野で医を業とした。昭和十三年日本大学法学部卒業。昭和十五年五月、甲鳥書林を京都市下鴨に設立。昭和十七年四月、東京営業所を開く。同年結婚。十八年、戦時企業整備により天理時報社出版部、古書通信社などと統合し、養徳社を設立、代表取締役に就く。海軍予科練の全教科書を印刷発行。昭和二十年、職を辞し郷里に蟄居。二十二年、京都に甲鳥書林を再建し、三十五年には本社を東京に移転する。

と、まあこのていどのことだが、矢倉年の名も出なければ、甲文社についても無視しているのはどうもすっきりしないものを感じる。

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『彷書月刊』11月号。第一回古本文学大賞発表。西村義孝氏の「それでも探す吉田健一本と佐野繁次郎装幀本」が特別奨励賞に入った。たいへんめでたいことである。大賞は恩田雅和氏「漱石の『社会と自分』」。たしかにきっちりと書けていて内容もしっかりしている。ただしこれが「古本文学」かどうかは多少疑問が残るように思う。一方の西村氏はまぎれもなく古本テーマである。こちらは文学かどうか、そこがやや問題なのだけれども、西村氏の等身大の姿がそのままポンと提出されたようで、西村ファンとしては拍手喝采したい内容になっている。審査員の感想では河内紀さんの意見に同感するところが多かった。

「坪内祐三×亀和田武・刊行記念トークショー抄録」が面白い。東京堂書店で行われたものだそうだが、直に聴きたかった。ビレッジ・バンガードはさえないジャズ喫茶で、中上健次がDIGをおとしめるためにもちあげているだけだ、というような指摘は『喫茶店の時代』改訂版にぜひ挿入したいものだ。

目録ページ、船橋市の古間木文庫に『sumus』のバックナンバーが2〜9と11の9冊出ていてびっくり。2号と3号は2,500円も付いている。

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出ていると言えば、『林哲夫作品集』(風来舎、一九九二年)がアマゾンに出ているとある方が教えてくれた。定価で売っている。これは300部しか作らなかったのでけっこう珍しいかも。

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装幀の仕事を頼まれた。戦前の浅草で育った女性の回想的エッセイ。なかなかよく書けている。装幀に使って欲しいと着物の裂が同封されていた。かつては浅草に月光町という町があったそうだ。昔の地図に当たってみると、竜泉寺町と下谷町と千束町に囲まれた一区画である。

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岡崎さま

何をおっしゃいますやら、お忙しいこと何よりです。フリーは仕事のあるときに頑張らないとね! 毎日新聞見ましたよ、大きな顔写真が出ていてびっくりです。
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by sumus_co | 2006-10-27 21:50 | 喫茶店の時代

韃靼の空もかくやと蕎麦茶澄む

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午後から神戸へ搬出に出かける。よい天気。上は神戸税関の建物。終了迄に何人か来客あり。プラハの田中さん、ついに日本に戻ることになったそうだ。チェコの住み難さについてあれこれ。箱庭の幸田さん、『READING WOMEN』という洋書を持参して見せてくださる。主にヨーロッパの絵画における「読む女性」像を集めた画集。読むといってもいろいろな姿態があるものだと感心する。

知人が送ってくれた韃靼蕎麦のお茶をふるまう。香ばしさもさることながら、透き通った緑色が美しい。

午後四時から撤収作業にかかる。展示と違って仕事は速い。夕食は近くの天竺園
という中華料理店でラーメン、水餃子、焼きビーフン。ここのラーメンはまったく透明なスープで麺も細く、非常にさっぱりした味わい。水餃子もシンプルこのうえなし。食後に胡麻団子をサービスしてくれた。これがまた揚げたてで美味だった。

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by sumus_co | 2006-10-25 22:50 | 画家・林哲夫

美しき書物も化せり草の花

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個展会場でKYOさんが、少し前に触れた秋朱之介(あき・しゅのすけ、本名=西谷小助、西谷操とも名乗る)の『書物游記』(書肆ひやね、一九八八年)をお土産に下さった。秋の文章と荻生孝「秋朱之介とその時代」および「書目一覧」、そして別冊付録「座談・秋朱之介を囲んで」(出席者=秋朱之介、岡澤貞行、佐々木桔梗、峯村幸造、斎藤専一郎、伊藤満雄、比根屋英夫、荻生孝)、さらに『本の都』一九九四年四月号の『書物游記』の特集記事が挿んである。

「秋朱之介とその時代」によれば、秋は明治三十六年二月十二日に鹿児島県に生まれた。一高受験に失敗し、伊勢神宮皇学館、正則英語学校を経て、新橋の貯金局の東京振替貯金課に勤める。後に龍星閣を興す沢田伊四郎も貯金局にいた。大正十四年頃に堀口大学を訪ね、大学の雑誌に詩を投稿するようになった。梅原北明から上森健一郎に移っていた文芸資料研究会を手伝い、その編集部から分裂した中山直吉の南柯書院に参加した。

南柯書院を離れて横浜で書局梨甫を起こし、五十沢二郎の雅博那(やぽんな)書房に協力。平井功の『游牧記』に刺激を受けて平井らと面識を得る。昭和六年に以士帖印社を創立。このときに刊行した佐藤春夫『魔女』(上の写真右頁)の表紙画を描いたのが酒井潔だった。酒井は美術学校を出ているという。

江川書房の江川正之らに日本限定版倶楽部の創設をはかるが実現せず。文芸資料研究会で一緒だった竹内道之助と再会し、竹内の興した三笠書房へ編集長として迎えられる。月刊雑誌『書物』を編集、日本限定版倶楽部を設立する。雑誌『世紀』の題字を書いた棟方志功と知り合い惚れ込む。三笠書房を退社し昭和九年に堀口大学の著作のみを限定版として発行する目的で裳鳥会限定版倶楽部を作った。この頃、沢田の龍星閣を手伝う。

昭和十年に裳鳥会を閉めて銀座に移り、驪人社を興す。版画荘に協力する。隣に大阪から出て来た森谷均が昭森社を創立。その手伝いをする。昭和十一年、伸展社を創立。十三年頃から三年ほど第一書房の客員として働く。昭和十七年、神田に昭南書房を設立。看板を青山二郎の兄・青山民吉が書く。翌年、操書房に社名変更。

とまあ、美しい本を作ることに執着した前半生だったことがよく分かった。三笠書房は淀野隆三とも因縁があるので、これは有り難い資料である。

そして、今日はまた、ある方から『書物展望』昭和八年四月号が送られて来た。酒井潔の「フランス一流装釘家の工賃と其作品例」という二頁の記事がありますよ、と同封の手紙にわざわざ書いてあった。これはじつに不思議だ。『書物游記』で酒井潔に何か引っかかるものを感じていた直後の出来事なのだ。酒井潔をググってみると下記のようなページがヒットした。

酒井潔

酒井の葬儀が京都の四条教会で行われたというのも気になる……。
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by sumus_co | 2006-10-24 18:11 | 古書日録

坂多き街になつかし蟲の雨

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今回の個展でいちばん人気のあった作品がこのスプーンである。額縁にもぴったり合っているというお褒めをいろいろな方よりいただいた。正直に告白すると、じつは出品作のなかでは最新作で、ある意味、間に合わせに描いたものだったのだが……あんがいそういう方がいいのかも、とほほ。

本日は蟲文庫さんが倉敷から来てくださった。初めてお会いしたが、初めてのような気はしなかった。スラリと背の高い(ほんの少し意外だった)素敵な方です。画廊でいろいろ話した後、トンカ書店へ案内する。先に来ていたにとべさんとも合流。この前は偶然閉まっていたので(基本的には無休とのこと)、こちらも初めて店内を見せてもらった。面白い。そんなに広くないが、けっこう欲張ってあれこれのジャンルの本が並んでいるし、ギャラリースペースまで確保(永田収写真展開催中)。値段も低めに押さえてあり、均一でも意外な本が拾えた。たいへん満足。

トンカ書店
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by sumus_co | 2006-10-23 21:53 | 画家・林哲夫

遠近の言の葉の舞ふ麵麭画かな

神戸に住むオーストラリア人の方のブログに個展の紹介記事が出た。
artwall: An independent site for art reviews.
英語で展評をしてもらうというのは初めての経験だ。下の写真はギャラリー島田の近くのモスク。

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by sumus_co | 2006-10-22 21:46 | 画家・林哲夫

色鳥や石の足観る全風景

ディープなインパクトがフランスから届いてもめている。競馬といえばディック・フランシス。ナベツマが少々ウンチクを垂れているのでご一読を。
NabeQuest

2006年10月18日(水)

さすがに体が重い。無料の朝食も控えめに。荷造りをして、本類は宅急便としてフロントに預けた。九時過ぎ、丸ノ内線から東西線と乗り継いで木場まで。東京都現代美術館で開催中の「大竹伸朗全景」(〜12月24日)を見るため。木場駅からだと歩いて二十分ぐらいかかる。やっとたどりつくと、開館五分前だった。正面のベンチで一服しようと思って、おや? なんと大阪の国際美術館のSさんだ。

Sさんとは二十年以上の付き合いになる。京都の射手座という画廊でたまたま会話したことがきっかけだった。当時は富山の美術館に務めておられた。高見堅志郎先生に教わったというのも共通していたし、人柄も良く、センスもあって(奥さんも美人だし)、小生のようなベタな具象絵画とは異なる、瀧口修造や現代美術が専門ではあるものの、その後もずっと、お付き合いをさせてもらっている。

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東京都現代美術館がいつの間にか宇和島駅に変わっている。もちろんこれも大竹氏の作品。

展示は全フロアーを使った大回顧展。最初の展示室に入ると、まずはあのコラージュの書物シリーズがずらりと並んでいてかなりな壮観である。次に子供時代のお絵描きが。鉄腕アトムや鉄人28号の登場人物を描いた「作品」がずらりと並ぶ。「よく取っておいたよね」とSさん。たしかに、小生も幾つかは残してあるかもしれないが、ここまで丹念に保存しているとはスゴイ。実際、とびぬけて絵が上手だ。

中学時代もいいが、高校時代にはもうすでに「大竹伸朗」になっている。芸大を落ちたようだけど、技術的には上手過ぎるくらい。小生も芸大の試験は落ちたが、これは上手過ぎるのではなく下手過ぎたため(たぶん)。大竹氏とは同年生まれで同年に武蔵野美大に入学したから様子はよく分かる。あの頃の何年間か、東京芸大では野見山暁治氏が意欲的にそれまでとは違った試験問題を出していた時期だった。想像で風景画を描きなさいとか、試験の見張りをするのかと思った男性がとつぜんモデルになったり……。受験生はめんくらった。

大学時代は同級生だった、はず。というのは、当時はほとんど知らず、後で人から教えられて、そういえばそういう人もいたな、と思ったていど。ただ、大竹氏は二年目には北海道で暮らすために休学したり、イギリスへ行ってホックニーに会ったりしたようなので、卒業は小生より二年後だ。

大学時代の作品はホックニーふうのイラストっぽいものが多いようだった。大学で描いたものはほとんどなかったように見えた。ただ一点、コンクリートを彫り出して「足」を作った作品が置かれていて、これはとても懐かしかった。共通彫塑という、油絵科やデザイン科の一年生に必修の彫刻の授業、のときに作ったもの。五十センチ角ぐらいのコンクリートの立方体をノミでコツコツ彫って行く。「足」が課題だったのでその年の学生は全員「足」を作っている。これまたちゃんと保存してあるのにも驚かされた。

このときの共通彫塑の先生たちがちょっとすごかった。若林奮、篠田守男、安田春彦というバリバリの現代作家たち。若林奮はカッコよかった。篠田先生は黒サングラスかけてたな。安田先生がいちばん理論派で口うるさかった。ま、これが彫刻科の先生ではないところが、ムサビの古さでもあるのだが(その当時であって後年のことは知らない)。

坊主頭の悪役俳優・六平直政(むさか・なおまさ)は彫刻科大学院中退らしいが、テレビで篠田守男そっくりの自作を紹介しているのを見た記憶がある。彼も一九五四年生まれだから同時期にムサビにいたわけだ。その他には長谷川集平、村上龍、そしてナベツマもいた(これはエッセイに書きました、みんな中退)。

大竹伸朗にもどると、大学を出てからはもう、まったく奔放というか、時代を体現したようなエネルギッシュな制作ぶりが圧巻だった。ある意味、小生も同じ時代を過ごして来たわけだけれども、われわれが美術雑誌などで垣間見るだけだった、その現代美術の先端を彼は常に歩いている。その都度、非常に質の高い作品を生産している。悪く言えば、これぞ大竹伸朗というスタイルを打ち立てたという感じがしない(感じがしないだけで、案外オリジナルかもしれないが)。

コラージュとペインティングを組み合わせた手法は彼の全景を貫いている独自のものではあろうが、九〇年前後の完全に抽象的な時代を過ぎると、それ以降は横尾忠則にかなり近い路線を取って、ノスタルジア(歌謡曲のジャケットや絵葉書、写真の模写)を主題にしたり、現代美術の歴史を逆にサイケデリックからキネティックへと遡り始めた。さてこれからいったい何処へ行くのでしょう……という感じではある。

今展でどの作品が一番心に残ったかというと、小学生時代の鉄腕アトムの肖像、かな。哀愁が漂っている(?)。なお、図録は予約制。ぶ、ぶ厚い束見本がデーンと置いてあった。

Sさんと一緒に常設もゆっくり見たので、疲れ果てた。とにかく広い美術館だ。帰りはタクシーで木場かとも思ったが、バス停があったので行き先を見ると、東京駅丸ノ内北口行(東20)というバスがある。十分ほど待って乗車できた(一時間に二本)。途中、乗ってくるのは無料パスを持ったご老人ばかりであった。

ある方がぜひにと勧めてくれた神田の丸石ビルにある小出由紀子事務所
も訪ねたかったのだが、体力の限界を感じて断念。いずれあらためて訪問したい。



永代橋から東京駅へ。三十分ほどかかった。東京駅前はまた工事中。駅ドームがなかなか。



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by sumus_co | 2006-10-20 17:26 | 東京アレコレ日記

古書の日のよろけ具合や日は落る

2006年10月17日(火)

朝早く目覚める。八時過ぎにロビーで朝食。おにぎり、味噌汁、茶、珈琲など、食べ飲み放題。チェックアウトタイムの午前十時まで、昨日の打ち合わせ(?)をもとにしてトークショーの進行表を作る。

十時半頃、東西線の早稲田駅下車。学生がどっと登校している時間帯だった。ちょっと独特な雰囲気がある。高田馬場方面へ坂を上って行く。古書店が店を開け始めている。ビジュアルアーツ専門学校のギャラリーで開催中の「尾仲浩二写真展 1989・夏 大阪まで」(10月25日まで、日休)を見るためだが、十一時からなので「シェ・ヌーII」で紅茶などを飲んでぐったりする。

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十一時過ぎに「尾仲浩二写真展」会場へ。黒っぽいモノクロームの風景写真ばかりなのだが、これがまた何ともいい。ロビーのところに別の作家の猫写真の展示もあった。

古書現世へ。向井くんパソコンに向かっていた。ブログでおなじみのチチ向井氏にご挨拶。くりそつ。すこしばかり棚を見回しているうちに七冊ほど安い本ばかり抜き出してしまう。中では木下利玄の『一路』(竹柏会、一九二四年、装幀=岸田劉生)1500円が嬉しかった。無函、有印(「乞高評」朱印、「中部日本新聞社編集局調査部」ゴム印)。

向井くんと近所の中華料理店で昼食をとり、「シェ・ヌーII」へ。さまざまな身内の話(くしゃみ出た人ごめんなさい)。『早稲田古本屋街』(未来社)は好調で書評も次々出て、皆が喜んでいるらしい。たいへんけっこうです。

神保町へもどって書肆アクセスへ寄ると、ななんと塩山御大が畠中さんと話しておられた。発対面のご挨拶。22日からの一箱古本市に出品されるということで、出品する本選びについて本領発揮のキツーいジョーク(本気)がポンポン出る。さすが。

神田の古書会館へ。二階ギャラリーで中沢弘光展を見ようと思ったら、月の輪さんに逢う。約束よりも三十分ほど早かったが、そのまま駿河台方面にある「例の場所」(内緒だそうです)で打ち合わせ。ある装幀を頼まれる。そしてある本を見せてもらって預かる。これは今ここでは公表できない。いずれ時機がくれば、ということで。

次の目録は順調らしい。来年早々にも出せるとのこと。これまでならあまり信用できないのだが、今回はパソコン入力でやっているらしく、目標まで数が達したら印刷所に入稿すると決めているそうだ。

月の輪さんと古書会館に戻り、資料調べのため上階の応接室へ入れてもらう。莫山先生の「古書の日」という書が飾られていた(ポスターなどになっている字のオリジナル)。平成15年10月4日、全古書連による「古書の日」第一回にあたって揮毫したとか。「莫」という字は草の間に日が沈むようす。

その後、地下へ降りて、UBCのカフェで約束していたセラヴィさんとしばらく雑談。瀧口修造にまつわる話などたいへん興味深くうかがう。以前も紹介したが、氏のブログ余白の日々/日々の余白はいつも濃い。最上階の控え室へ移動すると、尾仲氏、大田氏がやってきて、カンチューハイをあおる。しらふではしゃべれない……てか。

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トークショーが始まった。まずは尾仲氏が自分で編集したというDVDを上映する。それが終って、おもむろに三人並んでしゃべりはじめる。出だしがちょっとぎこちいなかったが、なんとか徐々に調子が出て来た。とくに大田氏の出版に対する情熱と債鬼からの逃亡に関する話は印象深いものだった。

途中で後ろの方の三人連れが出て行ったときにはショックを受けた。最前列のおやじは首を横にして居眠りし始めるし……とほほ、である。

トークの最中はさほど専門的な写真の話はなかったが、質疑応答では尾仲氏に対する「現像液は何をつかっていますか?」などというような問いも次々に出た。写真集に合わせて同寸になるようにプリントしているというのは意外だった。といったところで終了。内容をうまく要約してくれているブログは下記。

甘露日記

南陀楼綾繁氏も毎日新聞社の神保町ムックの取材を兼ねて参加してくれた。左記リンク欄よりナンダロウアヤシゲな日々参照。

終了後、来場者の皆さんと挨拶する。ヨシケン西村氏は古本文学大賞の佳作に入った。応募作が掲載されるとのこと。旅猫雑貨店さんとは初めてお会いしたが、すてきな方である。その他、ご来場くださった皆様に感謝です。

例によって、八羽で打ち上げ。リコシェさんお二人、西秋、大田、尾仲、小生に尾仲夫人。尾仲夫人は都内の某古書店でアルバイト中。面白い話いろいろとあり。店員しながらセドリしているみたいな。まずは無事終了で肩の荷を降ろした。
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by sumus_co | 2006-10-19 15:44 | 東京アレコレ日記

闘魂か赤きマフラア雑沓へ

2006年10月16日(月)

午後二時少し前に東京駅着。下車しようとして通路に立っていると、向いの車両から出口に向かうアントニオ猪木の姿が見えた。真っ黒のコートに真っ赤なマフラーを肩から垂らしていた。さほど大柄ではなかったのが意外だった。普通の人より少し大きめくらい。

お茶の水へ直行する。秋めいてきた坂を下っていて、思わず、虔十書林のところで足が止まった。店頭の見切棚の中から『潭』創刊号(書肆山田、一九八四年十二月)を300円で。『文藝』の佐野繁次郎表紙500円もあったが、結局、迷って買わなかった(後悔)。洋書の大島書店をちらりとのぞき、文房堂の四階ギャラリーで中沢弘光の作品展示を見る。女性像ばかりを集めていた。美術学校時代がいちばん良かった。

田村、小宮山の店頭をちらりと覗き、そのまま都営三田線の春日まで。例によって東横イン。十泊すると一泊タダになるという特典を利用。神保町に引き返し、書肆アクセスへ。『読む人』の追加分にイラストサインするため青木さんと伯刺西爾に立て篭る。ミカンの最期の話や青木さんの猫の話をしながら三十分ほど。

午後五時十五分頃、古書会館に到着。西秋氏と打ち合わせ中の山田俊幸先生に挨拶。来年のUBCの企画展示で絵葉書をやるそうだ。山田先生編集の『続・芸術家の年賀状』(二玄社、二〇〇六年)をいただく。山田先生の略歴を見て、新潟県柏崎出身であることに気づく。江原小弥太と同じだ。この絵葉書集はとても参考になっていい。

尾仲浩二氏に初対面、そこへ大田通貴氏がやって来て、三人で明日の打ち合わせに出る。まずは「いちこう」という神保町裏の居酒屋へ。ここで十時の閉店まであれこれ二人の来し方などを聞き出す。尾仲氏は森山大道の門下生、大田氏も大道ファンで写真集を出したところから今も深い付き合いを続けている。最近の森山フィーバーについてはかなり批判的な言葉が飛び出した。さらに神保町交叉点を南下して「はるだんじ」というギャラリー居酒屋で十一時半頃まで。話がはずんだせいでちょっと飲み過ぎた。下は尾仲氏(左)と大田氏。

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by sumus_co | 2006-10-19 14:32 | 東京アレコレ日記