10日ほどパリで古本屋を廻ってきた。あまりいろいろなことを考えず、予算も無いなりに、なんとか都合をつけた。しばらくその報告をしてみたいと思う。上の写真は宿泊したステュデオ(短期貸しの家具付きアパートのようなもの)の窓から。サンジェルマン・デ・プレのドラゴン通、繁華街のどまんなかにある。次は窓からかろうじて見えるサンジェルマン・デ・プレ教会。
ただし八階(日本風に数えて)、エレベータなし。パリではアサンシュール(エレベータ)があれば上階ほど高級、なければ上階ほど貧乏人が住むと決まっている。この建物の八階というのは屋根裏部屋のまだその上に建て増しをした、いわば「屋根上部屋」。七階までは階段も木製なのだが、八階へはコンクリートになっていることで、最近の増築だとすぐに分かる。眺めは……いい。ただし屋根ばかりしか見えない。
サンジェルマン・デ・プレを含む六区、いわゆるリヴ・ゴーシュには出版社や古本屋が集まっている。その意味では神田神保町に似ているが、一方で、有名ブランドのショップもたくさんあって、青山、六本木あたりと較べることもできなくはない。観光客も多いし、庶民的な雰囲気も残って活気のある場所だ。上記ステュデオは知人が毎年のように使っているということで紹介してもらった。しばらくはパリでの本にまつわるあれこれを書き留めておく。
ドラゴン通りとその中ほどにあるカイエダール画廊。一九二六年、クリスチャン・ゼルヴォスが後に妻になるイヴォンヌ・マリオンの画廊の隣で美術雑誌『Cahiers d'art』の刊行を始めたのである。