

昭和二十年から二十二年頃の岩波文庫をまとめて頂戴した。紙そのものは古びているものの、大半はおそらく読まれないまま放置されていたのであろう、まったく手ズレしていない。翻訳文学と日本文学中心で、いくつか、おやっと思うタイトルもまぎれていた。
例えば、『ギボン自叙伝』(一九四三年)や、ギッシング『蜘蛛の巣の家』上・下(一九四七年)などは珍しいだろう。また重版だが、ボズウェル『サミュエル・ヂョンスン伝』は読んでみたかったので有り難い(ただし上中だけ)。
また、表紙がすごいことになっている。上の左は昭和十八年十一月の『ギボン自叙伝』で、これはまだまし。だが、戦後版と高さが同じ、ということは昭和二年のスタート時点より七ミリほど天地寸法が縮んでいる。右が昭和二十年十一月のバルザック『ツールの司祭・赤い宿屋』。戦後の紙質の悪さは歴然としている。そして下の左は昭和二十一年五月のトルストーイ『懺悔』、右が昭和二十二年九月のカント『プロレゴメーナ』。さらに紙質が低下して二十二年あたりにはもう触れるとポロポロこぼれそうな脆さ。
しかし、こんなひどい紙、そしてサイテーの印刷の時代でも、多くの人々が本をむさぼるように読んでいた。やっぱり本は、装幀じゃなくて中味次第なのだろうか。もちろんこういう粗製濫造本の風貌もけっこう好きなのだが。
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古書渉猟日誌に箱庭での「佐野繁次郎装幀コレクション展」が紹介されている。さらに
ウーマンエキサイト『女子の本棚』では展示の様子を撮った多くの写真がアップされている。臨場感あふれるページなので、大阪が遠いな、という方はぜひご覧いただきたい。