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林蘊蓄斎の文画な日々
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リサコ像

リサコ像_b0081843_19573770.jpg


内田巌「リサコ像」一九四七年作(『内田巌展ーー猪熊弦一郎・小磯良平とともに』新見美術館、二〇〇四年、より)。リサコは長女莉莎子。敗戦直後の晴れ晴れした気分がみなぎっている。昨日の「秋刀魚の話」の続き。

《私の母はクリスチヤンで日曜日毎に強制的に教会へやつた。教会の長老は通俗作家の渡辺黙禅で、柳川春葉、三宅克己等も来てゐたし、矢島津楫子先生がミス・ミリケン女史を引きつれて教会の帰りに家で集りを開く事もあつた。
 父は二葉亭が死んだので、その全集の編纂に忙しい時で、坪内逍遥先生も時々見えたし、校正をしてゐた石川啄木や安成貞雄、安成二郎なぞも出入りした。私は日曜学校では可成熱心な生徒だつたが、私の好奇心は余りに広い世界に拡がつてゐた。日曜学校には馬場孤蝶の娘さんもゐた。私は学燈の原稿を受け取りに二度程馬場さんの家に出掛けた》

《幸徳事件や男三郎事件も小学校時代の記憶にある。幸徳事件を聞いたのは鎌倉で叔父の家に居た時だつた》

男三郎事件は明治三十八年のこと。少年殺害臀部切り取り事件。幸徳秋水が逮捕されたのは明治四十三年。

《私の記憶では世間はその頃逆徒をさう悪く考へてゐなかつた。特に私の家では逆徒の一人である内山愚童の妹が親類の宮田脩の家の女中をしてゐたし、真相が政府がでちあげた社会主義弾圧の謀略で、どこ迄本当だかと云ふ事に父は疑問を持つてゐたから、寧ろ幸徳に同情を寄せてゐた。大石誠之助を知る沖野岩三郎氏が来て真相の片鱗を話した。後で「堺も大杉もあぶなかつた。牢へ入つてゐたおかげで助かつたのだ。」と父は沖野さんの帰つた後で母に語つた》

《宮田の叔父の弟が宮田暢でサンデーと云ふ雑誌を出した人だが、よくやつて来て盛んに幸徳事件を話した。幸徳は肺病の為コンデスミルクを毎日滋養として飲んでゐた。血気にはやる古河力作や宮下太吉がやつて来て、ミルクの空缶をとつて庭に向つて「かう投げるんだと云つて勇ましく投げては喜んでゐたのを、向ひのスパイが針小棒大に報告したのが、事件の発端だとか聞いた》

《病気休学をして様々な事をおぼえ私は知らない間に早熟な子供になつてゐた。同級生に島と云ふ女のやうに綺麗な子供がゐたが、いつの間にか、その子は永井になつてゐた。実は永井は天狗煙草で有名な岩谷松平の子供だつた。松平があつちにもこつちにも女を作つて子供を生ませながら、一人も棄てずによく女達や子供等にも充分に眼をかけてやつた話は有名であるが、沢山女があつても岩谷を中心に円満にやつてゐた》

《後に文士になつて一時文名を謳はれ夭折した池谷信三郎、民主党の代議士になつた檜木六郎こと島田晋作、ファーブル詩人の平野威馬雄、芸妓と心中した天才ピアニスト近藤柏次郎、言語学者の時枝、アラヽギの渋谷嘉次、フランス哲学の高山峻、農民経済の鈴木小兵衛達は皆同級だつたし、上級には小牧近江、アルピニストの船田三郎、故東屋三郎、土方与志、長谷川路可、下級には渡辺一夫、山川幸世、佐野磧[碩]、風間道太郎等がゐた。よく考へると一癖も二癖もある恐るべき子供達だつたわけである》

曉星おそるべし。まだまだ続く。

÷

神田に職場のある編集者A氏より、古本まつりの収穫メールあり。

《神保町の古本市さっそく覗いてきました。田畑修一郎「乳牛」「狐の子」(各1000円)、上林暁「悲歌」(1200円)、徳田秋声「寒の薔薇」(100円)で手に入りました。この一週間は仕事どころじゃなくなりそうです。》

さすがの炯眼である。さて、こちらは百万遍だ! 

じつは今回、テレコムスタッフというTV番組を制作している会社の企画で小生の絵描き・古本ライフを撮影することになった。かつて岡崎武志氏も出演した「Edge」というシリーズ、詩人が多く取り上げられているが、たまには変わり種をということらしい。聞くところによれば、このブログの読者のある方が推薦してくださったとのこと。TV(スカイパーフェクTV)に出る柄じゃないとは思いつつ、引き受けてしまった。百万遍ではちょっと皆様のお邪魔をすることになるかも知れない。お許しくだされ。
by sumus_co | 2008-10-27 21:13 | 雲遅空想美術館
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