林蘊蓄斎の文画な日々
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ル・クレジオ

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昨日のアルバムの続き。バナナかと思われる植物。二番目の母子は添景人物だけを小生がクロースアップしたもの。そしてバルビゾン派を思わせる(?)水車のある景色。今から見れば失われた日本だろうが、当時はありふれた風景だったのではないだろうか。それをわざわざ写真に撮るというのも、そういう流行があったのかもしれない。

÷

村上春樹じゃなくてル・クレジオにノーベル文学賞が行った。たしか『大洪水』(望月芳郎訳、河出書房新社、一九六九年)は持っていたし、途中まで読んだ記憶がある。しかし、たぶん、売ってしまった。作品は悪くないと思ったが、ずっと読み通すほどヒマではなかったのかも。

ネットで「ル・モンド」の記事を読むと、ル・クレジオの先祖は十八世紀にブルターニュからモーリシャス(マダガスカル島の800kmほど東方海上の島)へ移住したそうだ。モーリシャスには、たぶん前のブログに書いたと思うが、ちょっとだけ思い出がある。詳しくは『古本スケッチ帳』の「オン・ザ・ブリッヂ」を参照されたし。

念のためウィキを引用すると、一五〇五年にポルトガル人が発見(発見て、一方的な表現、この伝で行けば、ポルトガルは日本も発見したのかな)。一六三八年にオランダが植民を開始、オラニエ公マウリッツの名にちなんでこの島を命名した。十七世紀にはドイツが占領、十八世紀の間、フランスが支配し、フランス島と呼ばれた(現在は l'île Maurice)。一八一四年にイギリス領となり旧名に戻された。一九六八年に英連邦王国として独立、六九年にポール・レイモン・ベランジェが中心となってモーリシャス闘争運動(MMM)を結成。九二年に立憲君主制から共和制に移行した……。数年前だったか、TVで一度だけこの島をレポートしているのを見たことがある。なんだかとても平和そうだった。

ル・クレジオはニースで生まれたのでモーリシャスとは関係ないようだが(後年、訪れている)、父母がそれぞれ英仏国籍をもっていたので、大学はブリストルへ入り、ロンドンで最初の結婚をしている。一九六四年に「アンリ・ミショーにおける孤独」という論文を書き、ミショーと親しくなる。ロートレアモンにとりかかったが断念、アントナン・アルトーやランボーへの関心も加わった(誰かさんに似てますな)。さらに一九六八年、兵役の任地メキシコに魅了された、というような文学的青春時代を過したようである。まあ、略歴はこれくらいで。最後にル・クレジオの文学についての比喩、シャレたというかキザなセリフが載っていたので引用しておこう(訳文が間違っていたら原文でよろしく訂正されたし)。

《私はつねに、文学とは海のようなもの、いやむしろ海の上を鳥が翔ぶようなものだと思っていた、波すれすれに滑りながら、太陽を横切って行く》

"J'ai toujours cru que la littérature c'était comme la mer, ou plutôt comme le vol d'un oiseau au-dessus de la mer, glissant très près des vagues, passant devant le soleil"
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by sumus_co | 2008-10-11 22:00 | 古書日録
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