林蘊蓄斎の文画な日々
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ビルマ戦記

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瓜生忠夫編『ビルマ戦記』(教養社、一九四四年三版)。カバーがあるはずだが、失われている。天神さんで、百円。瓜生忠夫(うりふただを)は北野中学、東大文学部から日本映画社に入社、脚本や映画論を執筆している。

まず何と言っても文字に惹かれた。高橋錦吉を連想させる手書き明朝体だ。デザイナーの記名なし。次に数多く入っている写真も悪くない。クロースアップの多い FRONT ふうというか LIFE ふうである。

しかしこれを買う決め手は遊び紙に貼られていたレッテル。「阪神電車直営/阪神マート」。阪神電車は一九〇五年に大阪(出入橋)~神戸(滝道)間を開業した。翌年、梅田まで延長。一九三三年には商業施設「梅田阪神マート」を梅田駅に設けている。このレッテルのすぐ下のところに「20. 12. 7」と書いてあるが、昭和二十年十二月七日という意味だろうか?

本文では林田重雄の「カメラ従軍記」がなかなか迫真。

《ピン河右岸の敵が逆襲して来た。戦車について、支那兵が来てゐる。部隊本部の部落一〇〇米ぐらいまで接近した。パアンパアン、バリバリ、ものすごい音で形容出来ない。そのうち火焔弾を打込まれた。木の葉の家はすぐ火がつく。本部の一軒おいて、隣が火を発した。傷病兵、軍馬の後送で、露路は大変だ。殺気がみなぎる。キャメラを持つて伏せたまま、どうにもならない。火はだんだんひろがる。敵はますます激しく攻撃して来る。つひに部落を出て後方の低地に飛び込む。そこで李連絡員、報道班員に会ふ。李君はリックを持出す間がなかつたと告げる。本部に置いてある李君のリックには、撮影済の四〇〇尺が入れてあつた。[略]部落全部、火の海となつてしまふ。あの火焔とともに、十日間の苦労の結晶が燃えてしまつた。しかし、キャメラに装填してある一〇〇尺と背中のリックに三〇〇尺入つてゐる。これだけを有効に使ひ油田地帯を撮影しなければならぬ。》(繰り返し記号は繰り返しとした)

とまあ、カメラマンもほとんど兵隊と同じ行動をとっていたようである。
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by sumus_co | 2008-10-08 21:33 | 古書日録
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