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神田古書漁り記

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これもまた検印紙スクラップから。印は「相馬」。相馬といえば相馬御風か。その手の書物は持ち合わせていないので、検印を参照することができない。版元も不明。ご教示を待つ。

昨日の印を初め「学会蔵印」としたが、某氏のご注意にしたがって「学蔵会印」に改めた。「学蔵」とふつうに読んでは意味をなさないと思ったわけだが、ググる手間を省いた罰なり。おそらく生活社の『生田万全集』(学蔵会編、一九四四年)の検印紙ではなかろうか。生田萬(いくた・よろず)は群馬県館林の人、《平田篤胤に師事し、其感化を受ること大。著書数種、所詠の詩集百種。業成りて帰藩後間もなく藩政改革を建白し、却て館林を遂わる。縁ありて柏崎に来往、国学塾を開く。連年の餓饉も押詰まった天保八年六月一日、好商と結托して細民を虐げる役人を懲さんと「奉天命誅国賊」「集忠臣救窮民」の二旗を掲げ、同志数名と柏崎陣屋に斬入、自傷して浦浜に脱し自刃す。三十七歳。(「柏崎人物誌」勝田忘庵)》とか。生活社、すごい本出してたんだ。

÷

先日「福岡古書漁り記」に予告されていた通り、牧野氏は東京へ古本遠征を行われたようである。メールをいただいた全体からすれば、ごく一部で申し訳ないが、転載させていただき、古本パワーを頂戴したいと思う。

《8月29日(金)。 9:20羽田着陸。天気予報に違えて、さいわい雨は降っていない。やはり、日ごろの行いがええからやな。モノレール、JRで御茶ノ水へ直行、東京古書会館へ。客でいっぱいの書窓展での収穫》

は省略させていただくが、壽岳しづ『朝』他、やっぱりA書店は逃せないようだ。続いて崇文荘の路上、で某教授の旧蔵洋書など。明倫館のワゴンで科学ものを、巌松堂のワゴンで中野好夫、上山春平。そして

《田村書店洋書部に行って、鹿島茂氏の連載している全日空の機内誌「翼の王国」8月号を渡して、部長とあれこれ密談する。フォリオで一服して、古書モールへ。

[16] 『田中一村の世界』(NHK出版1995年) ¥1,000
[17] 新村出『琅?記』(改造社1930年・定価3円50銭) ¥4,300
[18] 南方熊楠『続南方随筆』(岡書院1926年・定価3円50銭) ¥2,000

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[16]の田中一村は初めて知ったが、孤高、異端の日本画家。「昭和の若冲」、「日本のアンリ・ルッソー」として注目を浴びたのは、貧困のはてに、奄美のぼろぼろの借家で孤独に夕食の準備中に心不全で死んでしばらくしてからのこととか。ひとごととは思えない。ルッソーはパリのジャルダン・ボタニークで熱帯植物を見ただけで、すっかり空想の絵を描いたが、田中は厳密に写実した。迫力ある。作品も少数なので、どこで実物が見られるか不明。[17]は美しい本なので、ちょっとはりこんだ。序に曰く「鈴木豹軒博士が遠西より帰朝後程なく題簽を書き与えられしに対し感謝の意深し。津田青楓画伯が西域より博望侯の将来せしに由来せる所の葡萄の房々を以って装幀の図案とせられしは嬉しく覚ゆ」。[18]の刊行のいきさつは、岡邦雄『本屋風情』に詳しい。正編もいずれ入手すべし。巻なかばに、印刷終了後に届いたという熊楠の「追補」を紙片に印刷して綴じこんであるのは奇。熊楠の厳密癖もさりながら、岡氏も誠実きわまりない。》

そして三茶書房のワゴンで一冊、明倫館にもどって、探求書だった[20] ショルツ(山下正男訳)『西洋論理学史』(理想社1960年・定価280円)¥2,000、を入手され、一日目終了。

《8月30日(土)9:00出撃。昨夜は豪雨で、雷もひっきりなしだったが、雨は止み、青空ものぞいている。上島珈琲で時間調整してから、三茶書房のワゴンで》

岩波文庫品切れポアンカレ(河野伊三郎訳)『科学と仮説』をゲットされ、書窓展第2日に突入。収穫数あれどこの一冊。

《[23] 新村出『南蛮記』(東亜堂1915年・定価1円50銭) ¥500
 [23]の表紙の南蛮帆船の絵の象嵌はすばらしい。》

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崇文荘の路上、の後に雨に降られ、ミロンガで一服。小宮山書店のガレージで神保町は切り上げて高田馬場へ。ビッグボックス9階の古本感謝市。二日目終了。

《8月31日(日)。今日は日曜なので、古書のことは忘れて、美術館三昧の予定。上野の東京都美術館で「フェルメール展」を観る。フェルメールは作品が少なく、現存するのはぜんぶで30点内外だが、そのうち7点が来日している。有名な「真珠の耳飾の少女」、「絵画芸術」は来ていないが、7点はいずれもすばらしい。とくに、「小路」の前は立ち去りがたい。》

国立西洋美術館で「コロー展」の後、《メトロで銀座に出ようとして坂を下りていくと、「上野古書のまち」というのぼりが目についた。古書漁りは昨日で終えたつもりだったが、「古書」の字が目にはいると、やはり反応して、寄っていかざるをえない。》

《鳩居堂で買い物して、銀ブラ。暮れなずむ羽田を発って夜間飛行で宇部へ帰った。これで8月も終わり。フラフラしてないで、仕事をちゃんとせなあかん。京都百万遍の秋の古本まつりと神田古本まつりまでは、古書漁りも禁欲しよう。》

いやあ、すごいバリキ、古本力である。脱帽。
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by sumus_co | 2008-09-01 20:27 | 古書日録
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