オックスフォードのNさんより
「ブルームズ・オークション」五月十六日の目録が届いた。A5判96頁でカラー写真(48頁)と目録が交互にレイアウトされているタイプ。世界文学の初版本の書影などはあまり見る機会がないのでいくつか引用してみる。
ジョイスの『ユリシーズ』(John Lane The Bodley Head.London., 1937. FIRST ENGLISH TRADE EDITION)。緑はダストジャケットだそうだ。カッチョいい。落札予想価格は400〜600ポンド(×約210円)
ケルアック『路上』( London: Andre Deutsch, 1958)。この目録の説明には「First English Edition」と書いてある。最初の英語版、じゃないよ。最初の英国版。本当の初版はアメリカのヴァイキング・プレスから一九五七年に出たが、翌年のシグネット版がバカ売れした。これがアメリカのセラーだと「First UK Edition」という表示になる。落札予想価格は350〜450ポンド。
オーウェル『1984』( London: Secker & Warburg, 1949)。これは緑のダスト・ジャケットだが、赤色と二種類刊行されたそうだ。どちらが先かははっきりしない。350〜450ポンド。
テネシー・ウィリアムズ『欲望という名の電車』(New Directions, New York, 1947)。デザインが洒落ている。北園克衛みたい。パクって、いや失礼、参考にしていたか。デザイナーは Alvin Lustig。モノトーンのジャケットもあるが、このピンクが正真正銘の初版本とのこと。350〜450ポンド。
アガサ・クリスティ『五匹の子豚』(Collins Crime Club, 1943)。こちらも英国初版。この作品の本当の初版は一九四二年にアメリカの Dodd, Mead and Company から「Murder in Retrospect」というタイトルで出た。ジャケットのデザインも英国版とはまったく異なる。この豚はけっこうインパクトあり。200〜300ポンド。
植草甚一も書いていたが、こういう本が日本の百均に転がっている、こともなきにしもあらず。ワッチアウト!