林蘊蓄斎の文画な日々
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東遊記

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プランター栽培で穫れたわが家のイタリアン・トマト。くわしくはこちら「我家のトマトの軌跡」を参照あれ。

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先日の橘南渓『諸国奇談東遊記一』(版元不明、寛政七年序)。表紙ボロボロながら挿絵がきれいに残っている頁もある。作者は山口素絢(やまぐち・そけん)。京都生。姓は橘、字は伯陵、のち伯後、通称を武次郎、号は山斎。円山応挙の門で、十哲の一人。優美な和美人を得意とした。また花鳥画も能くする。文政元年(1818)歿、六十才。

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「熊突」という題で《加賀越中は世に名高き熊多き所……》とはじまる一章に付された挿絵。著者が猟師に尋ねた熊の捕獲方法を説明してある。冬眠している熊の穴に薪をどんどん投げ入れると、熊が怒って出てくるから、出てきたところを槍で突く。《月輪のあたりをねらいて突く也熊突かれなから其槍をかなぐり捨んとして引程にいよいよ槍深く身を貫く》。しかし槍を突き損じたならば《熊の掌にて槍の穂先を握るに丈夫なる槍の身二ツ四ツに折れ砕くさあれハ猟者もつかみ殺さるゝとなり》、突き損ねると猟師がやられる。

著者が「どうして鉄砲を使わないのか?」と質問すると、鉄砲は当っても熊は突進してくるので、槍の方がいいのだ、手負いの熊がいちばん始末がわるい、という答え。著者の結論は、猟師も漁師も勇気がある、そして《盗賊ハ又利欲に勇あり皆其習ふ所に勇ありと思ハる》だとさ、ヘンなの。

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七つ擲る」で戦前の近藤書店の書皮ことを書いたが、そのとき《銀座五丁目、今はなき》とした。しかし車谷弘『銀座の柳』(中公文庫、一九八九年)を読んでいると、こういうくだりにぶつかった。

《中学時代の私は、夏休みや冬休みに、動坂の父の家へ行って、東京の本屋をまわり歩くのがたのしみだった。神田の三省堂とか、東京堂へはいって、ぎっしりつまった厖大な書棚を仰ぐと、田舎中学生は、宝の山へはいったようで、圧倒されて、めくるめく思いをした。しかし私のいちばん好きな本屋は、日本橋の博文館の小売部だった》

《しかし私が、いちばん本を買ったのは、銀座の近藤書店で、その頃この書店は、いまの三越のならび、木村屋の前あたりにあったようにおぼえている。小さい店だが、舗道まで売り台をはり出していて、そこに島田清次郎の『地上』などが、堆くつまれていた。江馬修の『不滅の像』とか、有島武郎の『生れ出づる悩み』とか、その多くは新潮社の本で、白い表紙に、書名は赤、著者名は黒の、いずれも活字で、書名のところだけくりぬいたパラフィン紙がかけてあった。ひと目みて、それは新潮社本とわかるものが多かったようだ》

『生れ出づる悩み』(『生れ出る悩み』叢文閣)は大正七年、『地上』一部二部と『不滅の像』一〜三はともに新潮社・大正八〜九年の刊行。その頃には近藤書店は三越の隣にあったらしい。すると銀座四丁目ということになる。念のため書皮を確認すると、住所は「尾張町」である。現在の丁目で言えば一丁目から四丁目までが当時は銀座、五丁目と六丁目が尾張町。ということは、書皮に掲載された封切り映画から考えて昭和十二三年頃にはすでに当時の銀座から尾張町へ移転していたことになる。とりあえず《銀座五丁目》で間違いではなかったようだ。

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高橋輝次氏の「古書往来」が更新された。「古本屋主人の書いた小説を読む ─ 寺本知氏の詩と文学」。豊中で古本屋・文苑堂を経営していた寺本知について。

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湯川書房についての記事が連載されているブログ「本はねころんで」を某氏よりお教えいただいた。貴重な記録である。
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by sumus_co | 2008-07-31 19:38 | 古書日録
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