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西国三十三所

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奈良国立博物館で8月1日〜9月28日まで開催の特別展。西国三十三所(さいこくさんじゅうさんしょ)巡礼は《一説に奈良の長谷寺(はせでら)を開いた徳道上人(とくどうしょうにん)によってはじめられ、その後、花山法皇(かざんほうおう)の中興を経て広がっていったものと伝えられています。そもそも霊場が三十三所に定められたのは、『法華経(ほけきょう)』普門品(観音経)(ふもんぼん/かんのんぎょう)に説かれる、観音菩薩が三十三の姿をあらわして衆生(しゅじょう)を救済するという三十三身(さんじゅうさんじん)の教えに基づくと考えられます》とのこと。

ちょうど、寝込んでいるときに近松門左衛門『曾根崎心中』(岩波文庫、一九八六年十一刷)を久々に読み直して気づいたのだが、冒頭が三十三観音巡礼の案内から始まっている。現在、言うところの西国三十三所はこちら
http://www.saikoku33.gr.jp/about/
だがしかし『曾根崎心中』の西国三十三所は大阪三十三観音霊場とも呼ばれ、大阪市北区の大融寺から始まって中央区淡路町の御霊神社(新御霊)で終わるという、まあ大阪市内版である。今ではもう途絶えてしまって存在しない霊場も多いようだ(復興する動きもある)。

京にはちゃんと洛陽三十三所観音巡礼という京都ヴァージョンがあるし、全国にこれまで六百ほどの三十三所が作られたというから、かなり根強い人気があったことがわかる。京都の一番札所は六角堂である。すぐそばに京都の古書籍商業協同組合の事務所がある。京都らしい古い町家ふうの建物。

で、遊女おはつは三十三所巡りを客と終えた後、生玉の茶屋でなじみの徳兵衛と再会、そのあと徳兵衛が親友にだまされて破産し、おはつと二人して曾根崎の《天神の森》で心中してしまう。締めくくりの一節がこれ。

《誰が告ぐるとは曾根崎の森の下風音に聞え。取伝へ貴賎群集の回向の種未来成仏疑ひなき恋の。手本となりにけり》

曾根崎の森は三十三所第一番の大融寺のそばである。う〜む、三十三所を廻り終わって邂逅し、一番の近くで心中するとは逆廻りの意か? 三十三所を参拝すると、現世で犯したあらゆる罪業が消滅し、極楽往生できると信じられていたというから、《未来成仏疑ひなき》はそれを指すか、ちょっと複雑な近松らしいレトリック。

「曽根崎心中」の初版本の完本が、富山県の黒部市立図書館で初めて見つかったというニュースを新聞で見たのもその頃。ただしこれは神津武男氏の著作『浄瑠璃本研究』(八木書店、近刊)と関連があるようで、神津氏は国内の公共機関を尋ね歩き、浄瑠璃本が二万点所蔵されていることを確認したという(『日本古書通信』947号)。そのうち半分が東京にあり、3155点が早稲田大学演劇博物館にあるそうだ。近代の文芸雑誌などもそうだが、どうも関西は資料保存には熱心じゃないようだ。

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めったに注文しないのだけれど、そしてボーナスをもらったこともないのだけれど、このように数々の古書目録が届いている。ああああ。届くと、つい見てしまう。見てしまうと、つい注文してしまう。デフレ・スパイラルだ(違います!)。

『第17回東急東横渋谷大古本市』の目録にこのブログでも紹介した「北園克衛デザイン小店シオリ 昭和30年代頃 二一〇〇」が出ていた。「小店」は出品店の中村書店。『城北古書会展』では吉岡実『ムーンドロップ』が一五七五円。状態不明ながら安いでしょう。『納涼古本まつり目録』もけっこうリキが入っているようだし、『さんちか古書大即売会』でも気になるものがあった。しかし何と言っても本日、某書店目録にドエリャー掘出し本が載っていて、滅多にない(たぶん年に一回ぐらいの)ことだが、ファックスで注文してしまった。ああああ。
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by sumus_co | 2008-07-29 22:39 | 古書日録
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