林蘊蓄斎の文画な日々
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法普戦争誌略

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渡六之助『法普戦争誌略』(須原屋茂兵衛、一八八一年)の卷之二から。法普戦争(ほうふせんそう)とは普仏戦争(ふふつせんそう、1870-71)のこと。もちろんフランスでは法(=仏)が先(guerre franco-prussienne、現在は Guerre franco-allemande de 1870 と呼ぶようだ)。プロイセンのヴィルヘルム一世とフランス皇帝ナポレオン三世の戦いだが、プロイセンの周到な準備でフランス軍は敗走を続け、ナポレオン三世は捕虜になるわ、パリは包囲されて陥落するわ、散々だった。仏軍のふがいなさに徹底抗戦を主張して市民たちが立て篭ったのがパリ・コミューンである。

六之助こと渡正元(1839-1924)は旧広島藩士。明治二年に官費で渡仏し、パリ籠城を体験した。明治五年から七年までサンシール士官学校で学び帰国。明治十年に太政官少書記官から昇進して参事院議官、そして明治二十三年には勅選貴族院議員となり元老院議官に昇った。二人の息子、渡久雄、渡左近はともに陸軍中将。

本書は渡歿後の大正三年に『巴里篭城日誌』(東亜堂書房)として再刊されている。他に訳書『仏国警察提要』(ベリアー・サンプリー著、博聞社、一八七八年)があるようだ。大佛次郎『パリ燃ゆ』にしばしば引用されている「渡正元日誌」は広島市立大学・田中隆二氏所蔵とのこと。

サンシール士官学校にはかなりの数の日本人が学んでいた。だから日本陸軍はフランス派で大杉栄が社会主義になったのは名古屋地方幼年学校でフランス語を学び……という桶屋がもうかる類いの話になるのかも知れない。ただし明治二十一年にはフランス式からプロイセン式へと大改革が行われているから、そう簡単な話でもないのだろう。

この本は某書店の二百円均一に六冊入っていた。全八冊のうち、巻一、二、四、五、六、七。むろん傷みも少なくないが、思い切って購入した。巻一には色刷りのヨーロッパ地図が折り込んである。ただしそこだけ虫食いがひどい。巻頭に銅版画の肖像が入る巻もある。明治四年というと活版印刷はまだまだ珍しい頃。東京に小幡活版所が開かれたのは明治三年十月。本書にも変体仮名の活字が多用されている。

÷

MさんよりOMM報告あり。

《OMMは年々規模が小さくなって今年は35店。なんだか並ぶのがいやで10分過ぎに到着。いつものことだが、店の配置が入組んでいるのでどこを見てどこを見ていないのか分からなくなる。とりあえず1冊と思うが中々出会えない。クラインさんで「縮刷虞美人草」大正9年14版函欠痛み500円を買う。縮刷の漱石も残りは後4冊になった。痛み本でも見ないものは見ない。杉本さんに現代教養文庫が大量に出ていた。この中から「現代詩の鑑賞」草野心平編、「現代詩を求めて」村野四郎、「戦後の詩」安西均編著の3冊100円と200円。百済さんで「座談関西戦後詩史大阪篇」500円。詩の本ばかり買っている。KOSHO SHOP満さんで佐野本を見つけた「女性」(「spin 03」 のP6 z36-1946/8参照)状態もいいし欲しいのだが我慢。昼になったがソムリエさんに出会えない。N島さんに聞いても「見てません」、一日早く東京へ行ってしまったのかしら。次は街の草さんが出る芦屋に行こうと思っています。それから下鴨です。》

ソムリエ氏は明日5日に三省堂書店神保町本店(8階特設会場)14:00より『新・文學入門』刊行記念 岡崎武志さん×山本善行さんトークセッション「新・文學入門 古本十番勝負」だ。6日は「ゴッドハンドと行こう古本ツアー」。同じ土・日と古書往来座では外市もやっている。この週末は古本が熱いゾ。

熱いといえば、本日はモーレツに暑かった。韓国製の手漉紙の団扇(うちわ)を引っぱり出した。そのていどか? と言われると困るが、エヤコンを入れると冷えすぎて仕事にならないのである。
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by sumus_co | 2008-07-04 18:21 | 古書日録
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