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ふるほん行脚

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昨日、ある方より「画材店が店仕舞いセールをやってます」という情報をいただいて、ちょうどうまいぐあいに、そちら方面へ出る予定があったので、立ち寄った。30〜80%OFF は有り難い。ほとんどの品物は半額。初日ではなかったため、いちばん欲しかった溶き油と絵具は売り切れてしまっていたが、思わずあれもこれも買った。古本で半額はちっとも安くない。しかし画材だと話は違う。ワクワクした。

写真はステーショナリー関係の一部。赤い容器は古本者には必須の(?)ペーパーセメント・ソルベント、早い話が「シールはがし液」(ノルマルヘキサン、シクロヘキサン)。シールの糊を溶かすだけでなく、簡単な汚れを取るのにも使える。ただすべてのシールに使えるというわけではないので注意が必要だ。それからステッドラー社の鉛筆削り。鉛筆削りはけっこう好きで、ついつい買ってしまう。これは持ち重りのする高級品、定価263円(むろん半額にて購入)。

÷

田中眞澄『ふるほん行脚』(みすず書房、二〇〇八年)を頂戴した。著者の方も存じ上げないし、『みすず』に連載していたということも知らなかった。しかし、筋金入りの古本者であることは一読すれば判る。何より凄いと思うのは、書中に取り上げた本、すなわち行脚によって購入した本、をすべて読んだ、とあることだ。およそ全国180店を回って少なくとも一冊は買っている。

《私の考えでは、本はまず第一に読まれるために存在しなければならない。ゆえに、買った本は原則として読むべきである》(「あとがき」)

「えーと、じゃあ写真集や画集は本じゃないということですか。文字のない絵本とかも。ほかには理解できない言語の本、または日本語であっても判読できない本も除外しなければなりませんね」と揚げ足を取りたくなるが、たしかに、画集でも説明文や解説は読めるだろうし、少なくともタイトルくらいはあるだろう(ごくたまに何にも書いていない本もあるけど)。最悪でも、奥付や値段とかコードとか、市販された本なら必ず付いている(市販されない本もたくさんあるけど)。

しかしこれは、古本好きは買った本を読まない、という「常識」にたいする田中氏の挑戦というふうに考えてもいい。古本好きは古本を買うことが好きなのだ。一九四六年生れの田中氏自身、つづけて《やや低下してきた読書量を維持しようと思い立った》と書かれているし、本は単なる情報ではないとも書いておられる。

《本というモノはたんなる情報というにとどまらず、人間のつくりだした文化の重みを担うモノであることを、われわれの身体に実感させるのである。歩き、触れ、持ち、運び、読む。古本行脚とはじつに人間的な行為ではなかろうか。》(同)

このように実感できる田中氏こそもっとも幸福な古本者であろう。ちなみに二〇〇六年十二月には京都に来られている。吉岡書店で林清継『三里塚』、同支店で藤野幸雄『モスクワの憂鬱』、井上書店でクリスタル『消滅する言語』、京阪書房で中林庫子『マルーシャ』、赤尾照文堂で長谷川啓責任編集『〈転向〉の明暗ーー昭和十年前後の文学』、大学堂で一冊。

《大学堂のおばさんとしばし立ち話。河原町もずいぶん変わった。うちもいつまで続けられるか。続けてもらいたい。で、山本さむ『痴漢日記』(ベストブック、一九九四年刊、同年二版)、四百円。》

シブい。
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by sumus_co | 2008-04-18 20:53 | 古書日録
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