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富本銭
![]() ![]() 『新撰古錢大鑑』(久保田豊編、大地社、一九三三年)。富本銭(ふほんせん)または富夲銭(ふとうせん)は七世紀に作られた貨幣である。708年に発行された和同開珎より古いとされているようだが、これは一九九一年に藤原京で見つかって以降のことで、われわれの学校時代にはむろん和同開珎が日本最古の貨幣だと教えられた。 歴史はコロコロ変わる。教科書に堂々とカラーで掲載されていた足利尊氏や源頼朝の肖像画が近年では別人だとされてしまった例もある。昨日の季村さんの言う、書かれたものが歴史だ、という話からすれば、歴史は書き換えられるものでもある。 で、数日前に新発見として発表のあった富本銭は「富」に「ワ」かんむりを用いるなどこれまで全国で見つかった富本銭とは字体が違うそうだが、上の本にはその「ワ」かんむりの富本銭が掲載されている。ということはとっくに見つかっていたということになる。上の本の挿絵の元ネタはおそらく寛永十年(1798)版の古銭目録『和漢古今泉貨鑑』だろう(と早とちりで思ったが、コメントでご指摘いただいたように、書体が異なっている)。そこにはこういう説明がある。 《冨本七星銭 按ズルニ此銭大小一様ナラズ 大ナル者ハ極メテ厚ク製作甚巧ナリ 径リ八分 重サ一銭六分 小ナル者ハ製作佳ナラズ 径リ七分五厘 重サ九分 共上下ノ文ヲ冨本ト云 左右七星アリ 富本ノ本字皆夲(タウ)ニ作ル 宇野宗明 其文字ノ誤リヲ知ラズ 返テ冨夲(フタウ)ト称ズ 冨本ト云ハ厭勝ノ文ナルベシ 夲ハ走ルナリ 冨ヲ走ラシメバナンゾ厭勝ノ文ナラン 近世ノ俗皆 宇野宗明ガ説ニヨツテ 専ラ冨タウト云モノハ 愚ノ甚シキニアラズヤ》 著者は福知山藩主・朽木昌綱。現在では誤字というよりも「夲」は本の異体字だとされているようだ。「富本」は唐代の『芸文類聚』が引く『東漢観記』の「富民之本在於食貨」(民を富ませる本は食貨に在り)に由来するとか。 ÷ 太田さま 森有礼は明治19年に高等小学校で英語を正課に取り入れた人でしたね。漢字・漢文ももちろん中国から輸入したわけですから、国語を英語やフランス語にまるごと変えて何が悪い、ということでしょうか。そうそう陸軍はフランス語でした。大杉栄は陸軍幼年校時代にフランス語を習ったことがきっかけでアナキストになったとか(?)。 富本銭ですか・・ 藤原京以前に長野県の遺跡から出土した時には「偽銭がコンタミネーションで紛れ込み」とか言われていたことを思い出します。私も、奈良時代の役所跡を掘っていた時に、古そうな銭貨が3枚重ねられて出てきた時には、「皇朝十二銭か!」とペンタックス6×7を据えて、おそるおそる清掃してみると、「寛永通宝」と文字が浮かび上がってくるという、情けない思い出もあります。 大杉栄が、フランス語からアナキストといえば、「民法」もボアソナードのとおりになっていたら・・・ 文字通りの掘り出し物が偽銭とされていたんですね。面白い。ボアソナードは陪審制も提案したそうですが、120年先んじてましたか。 約百十何年か後に、市ヶ谷の法政大学内にボアソナードタワーが 建ちましたが・・・? 大変参考になるものを見せていただきました。 ただ、「和漢古今泉貨鑑」の富本銭はワの右の部分が右に末広がりになっているし、その下の一があるように見えますが如何でしょうか。 そして、その朽木コレクションは富本銭も含めて大英博物館に収納されているようですが、調査されているとよいのですが。 ご指摘の通りです。そうすると『新撰古錢大鑑』の図版の方が新発見のものに近いということになりますね。 藤原宮跡出土のもの、八幡城跡のもの、新撰古錢大鑑のものの共通は七曜の真中の点が太いところですね。それ以外の細かい部分では似てたり似ていなかったりです。特に字体のワと口の間隔は、「和漢古今泉貨鑑」が一番狭いようです。
それと、円の外側の線の太さと方形孔の周りの線の太さがの関係が、「和漢古今泉貨鑑」は太い・細い、藤原宮出土は太い・太い、八幡山城跡は細い・太いなどところどころ違います。
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