藤原てい『流れる星は生きている』(日比谷出版、一九四九年、装幀=寺田政明)。これと同じ本をずっと以前に買って持っていた。ちょっとした必要があって今年の正月に郷里の書庫から取り出して京都に持ち帰った。昭和二十四年の本だから状態は好くなかったが、それでもカバーもあり、表紙もまずまずだった。しかし、何の気の迷いか、「汚いなあ」と思って、PR雑誌や目録のといっしょに引っ括って、うかうかとチリ紙交換(といってもチリ紙もくれませんが)に出してしまった。
軽トラックを見送った直後に、郵便受けにコトン! 某書店の目録が届いた。パラパラめくっていると、な、な、なんと、今出したばかりのこの本に「少ヤケ有り」で4725円の値段が付いているではないか。目を疑った。すぐに「日本の古本屋」をチェックしてみた。昭和二十四年版の出品は、裸本(上の写真の状態、これに加えて茶色のカバーがある)1000円、状態の記述のない1575円の二点。4725円とはよほど綺麗な本なのだろう……しばしボーゼン。