『趣味の古書展出品書抄目』(趣味の古書展)の一頁。文学堂書店、明治堂書店、金井書店など、十一店の合同古書展覧会の目録だが、肝心の開催年が記されていない。昭和三十年代だろうか。掲載書のうち刊年のいちばん新しいのは昭和25年。
おどろくなかれ『
月映』七冊がなんと5000円! 現在ならいったい幾らになるのだろう、想像もつかない。参考までに同じ並びの本のうち、いくつかの現在の値段を調べてみるとこんなかんじ([ ]内が「日本の古本屋」による数字)。
467 珊瑚集 初版 700 [85,000〜120,000]
470 愛書趣味 揃 1,700 [60,000]
471 書祭 天地人 850 [15,000]
他のページで安藤更生『銀座細見』が150円で出ているが、今は状態が良ければ30,000円程度はしている。二百倍だ。出世頭か? しかし単純に物価と比較して、昭和三十年頃ならコーヒーは50円なので、現在は七倍から八倍、とすれば、『月映』七冊は5000×7=35,000円……。当時はこんな程度だった。ま、ここから急激に上昇するのだろうけど。
もう一点、古書目録がらみの話題。今日届いた中野書店の『古本倶楽部200号記念別冊・お喋りカタログ』のなかに『悉皆屋康吉』(創元社、一九四五年、装幀=佐野繁次郎)が出ていた。これは戦争末期に出来ていた本が書店に出る前に空襲で焼けてしまい、戦後改めて刊行されているのだが、その戦中版と戦後版が揃っている。これは珍しい。
戦後版はむろん所持している。戦中版は何かの図版で見かけたことがあるだけ。装幀の文字は共通しているようだ。実は、『spin』03の「佐野繁次郎装幀図録」(全装幀あらため)の編集を終えて、今日、最終的にリストと図版の照合をすませ、CDに焼いたところに、これが届いた。発行日まで記載してくれているので、当然、「佐野繁次郎装幀図録」を補訂して焼き直した。なんとかセーフ。全装幀ではなくともかなり肉迫はしているはず。乞御期待。