林蘊蓄斎の文画な日々
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国木田独歩『運命』(精選名著複刻全集、日本近代文学館、一九七三年。元版は左久良書房、明治三十九年)の表紙。単色刷のジャケットが付いている。装幀は小杉未醒、口絵は満谷国四郎。どちらも近事画報社の仲間である。尚学堂書店の平台にて。いつもなら見過ごしていたかもしれないが、にわか独歩ファンになったので、運命と思って購入した。まずは「酒中日記」を読む。江戸時代からありがちな金銭をめぐる事件をごく平凡なサラリーマン(教員)の悲劇として描いたところにリアルさがある。この小説とは直接の関係はないが、夕方のニュースで、借金を苦に自殺する人は東北地方に多いと言っていた。マジメなんだそうだ。

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美術館「えき」KYOTOで「黒井健絵本原画展を見る。『手ぶくろを買いに』(偕成社、一九八八年)の印象が強かったのだが、いろいろな仕事をしている。入ってすぐに展示してあった『ミシシッピ 900マイル カヌーの旅』(偕成社、一九八八年)が良かった。トーマス・ハートベントンを思わせる人物描写が成功している。他にエドワード・ホッパーぽい絵柄もあったりとアメリカ近代の画家に親近感をもっているようだ。エア・ブラシかと思わせるぼかしのテクニックに関する展示もあってその一端がうかがえた。

つづいて御池まで引き返して京都文化博物館5Fで「余啓平画展/金貞玉陶展」(〜24日)を見る。ちょうどこの展覧会をプロデュースしたY氏と作家の余啓平氏(上海在住)がいたのであれこれ説明を受ける。工筆画(細い線を主体にガッチリと描いた画)も現代美術そのもので良かったけれど、水墨画がなんとも美しい色調を出していて感嘆した。蕪村や大雅のような雰囲気を出していながらフレッシュ。京都にも仕事場を持ち、京都では三度目、初めての大作中心の発表だとか。日本語も上手だし、五十歳だというから今後も楽しみ。

堺町画廊で「しろのゆみ・田上操 チベットタンカ二人展」(〜23日)を見る。制作の様子も展示されていて興味深いものがあった。刺繍のようにキャンバスを枠に貼って丹念に描いて行くらしい。仏像には決まった像容があるので、それは勝手に変えられないが、背景は作者の裁量に任されるとか。ふしぎな世界。

ギャラリーマロニエ京都写真クラブの「第8回京都写真展」(〜23日)を見る。毎回思うが、写真表現も多彩になって、どこまで行くのか分からない、あるいは頭打ちの感じもある。このグループはレベルが高い。マン・レイ・イストさんのスクラップブック展示が異色。小生の写真(小生が撮られているのと、小生が撮ったのと)および葉書まで貼付けられていたのには恐縮した。

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最後に高島屋の画廊で「第12回21世紀の目展」を見る。宮いつきの妙な屏風画が目に残った。
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by sumus_co | 2007-12-19 21:21 | 古書日録
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